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2008年10月16日

◎いしかわ県人祭 「ふるさと意識」集結する場に

 今月二十四日に都内のホテルで開催される「いしかわ県人祭in東京」を、北陸新幹線 開業へ向け、官民挙げて取り組む「二〇一四年」対策を後押しする強力な「ふるさと応援団」の旗揚げの場としたい。首都圏からヒト、モノ、情報を石川県に吸い寄せるには、反対側から送り込む力も必要である。県人組織にはそうした役割をぜひ担ってほしい。

 県人祭には約千人の参加が見込まれ、出身者やゆかりの人たちが集う催しとしては近年 にない大規模なものとなる。政治、経済、文化など各界各層に広がる県人ネットワークは石川県にとって大きな財産であり、そうした分厚い人脈を上手に生かせば、首都圏における石川の情報発信をはじめ、観光誘客や人材誘致、企業誘致などでも大きな力となる。

 首都圏には市町や学校単位など八十を超える県人組織が存在し、それぞれ同郷のきずな を確認する場として機能している。ふるさとへの思いが結集する県人祭を機に、親睦団体にとどまらず、石川との結びつきをより意識した支援組織になることを期待したい。

 いしかわ県人祭では「いしかわ物産市」として県と全十九市町がブースを出展し、観光 情報の発信、特産品販売などが行われる。まさに、ふるさと尽くしの祭典であり、参加者にとっては生まれ故郷の魅力や温かさを再認識する場となろう。

 県内では地域資源を生かしたブランド品開発などが活発に行われているが、まず県出身 者にファンになってもらうことが大切である。ふるさとの魅力はそこに住んでいる人より、離れて暮らす出身者の方がよく見えるかもしれない。首都圏ではどんな情報発信が効果的か、気づいたことがあればどんどん助言してほしい。

 北陸新幹線開業が近づくにつれ、出身者のふるさと意識はますます高まることだろう。 特定の県人組織に属していなくても、何らかの形でふるさとへの力になりたいと思う人は少なくないはずである。県人祭の熱気が、若い世代を含め、県出身者やゆかりの人たちの掘り起こしや組織化を促すきっかけになることを望みたい。

◎中国製インゲンに農薬 徹底捜査で原因究明を

 市販の同じ中国製冷凍インゲンを食べた東京都内の女性一人や千葉県の男女二人が舌の しびれなどを訴え、東京の女性が一晩入院する事態が起き、そのインゲンから輸入を許可する上限基準値の三万四千五百倍に当たる農薬・有機リン系殺虫剤のジクロルボスが検出された。原液に近い濃度で、何者かが混入した疑いもあり、警視庁が捜査を始めた。

 日本の輸入元は、インゲンを生産した中国の農場と冷凍処理した工場のいずれでもジク ロルボスが使用されていなかったと発表しており、製造元の煙台北海食品有限公司(山東省)も日本側の取材に対して「緊張している。今、調査中だ」と語ったとだけ報道されている。今のところ中国での混入と断定できないが、中国へも知らせ、在庫のインゲン袋の鑑定を急ぎ、流通ルートを徹底捜査し、事実を明らかにしなければならない。

 有機リン系の殺虫剤という点では昨年末から今年にかけて問題になった中国製冷凍ギョ ーザから検出されたメタミドホスと同じだが、メタミドホスは日本で使用が禁止されており、ジクロルボスは中国や日本で農薬や屋内用の蒸散剤として使われている。

 ジクロルボスはメタミドホスで問題になった冷凍ギョーザの一部からも検出されている 。吸い込んだり、皮膚に付着したりすると、頭痛や呼吸困難を引き起こすなど急性毒が強く、劇物に使用されている。捜査の進展によっては中国の捜査当局と連携した追跡が必要になってくる。

 メタミドホスが検出されたギョーザ中毒事件は未解決だ。中国の捜査当局は今年二月、 中国で混入したとする日本側の捜査結果を無視し、中国での混入を否定する発表を行った。が、その後、中国で回収された同じギョーザで中国でも中毒事件が起き、その捜査がどうなったのかが分からないのだ。

 これとは別に茨城県と名古屋市で中国製粒あんから有害物質のトルエンと酢酸エチルが 検出されている。そこへ今度のジクロルボスである。事実を突き止め、対策を立て、不祥事を皆無にするのは日中双方の利益だと強調したい。


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