派遣会社から「増田さんなら正社員になれますよ」「この仕事は正社員になれるチャンスがありますよ」みたいな言い方をされると非常に萎える。転職エージェントとしてのあんたとこの会社には興味ないし、紹介予定派遣も登録時に希望しないと告げていたはずだ。今の僕が満たされていない立場にあると勝手に決めつけ、勝手に吉報かのように話を持ってこられても困る。この世の中には望んで派遣社員という立場を選んでいる人が居ることを、本職のあなた方が理解していなくてどうすんの。
悪気は無いのだろうから大して腹は立たないけど、なぜ僕が「正社員になれずにあがいている人」に見えたのかが正直なところよくわからない。彼らがそう思うということは、ひょっとして大多数の派遣社員というのは「出来れば将来的には正社員になりたい」と考えているってことだろうか。そんな馬鹿な。僕のように根無し草で、いろんな地域でいろんな職場でいろんなことをやりたいと考えている人間は大勢居るはずだ。
なのに、派遣社員を勝手に格差社会の被害者かのように決め付け、派遣会社を悪の組織かのように叩いて同情してくれる人たちが確かに居るようだ。その気持ちだけで十分です。大して知りもしないのに勝手なことは言わないでください。
派遣会社叩きとしてよく使われるセリフの代表格に「奴らは派遣社員から何十パーセントもピンハネしてボロ儲けしている」という類のものがある。あんなもん妄言もいいとこだ。マージンなんてせいぜい30%程度でしかない。良心的ではないか。25%以上が経費で消えるのだから、手元に残る額なんてたかが知れてる。世の中にはその30%のマージンが丸々派遣会社の懐に入ると考えているノータリンも居るようなので、そういう輩の存在も派遣会社・派遣社員への評価を貶める要因となっているのだろう。
派遣会社のIR情報や決算時の資料をきちんと読んだことのある人ならわかるだろうが、日本の人材派遣会社はどこも利益率が低い。大手のテンプスタッフやスタッフサービスの利益率はせいぜい2%~5%の範囲。インテリジェンスは6%以上叩き出しているが、あそこは転職エージェントの事業も手広くやっているので、そこに助けてもらっているだけだ。人材派遣事業部としての利益率は他社と大差ないだろう。
人材派遣会社の平均利益率を多めに見積もって、仮に5%としてあげよう。たったの5%ですよ。世の中10%以上の利益率を叩き出している大手企業はいっぱいあるのに、5%程度の人材派遣会社が暴利と言われる筋合いなんてどこにも無いはずだ。ただでさえ薄利多売構造で頑張っている中、最近「マージンを開示しろ」という声が上がっているようだ。派遣会社にしてみれば派遣社員というのは商品そのものであって、これは日本橋の電気屋で価格交渉するときに店員に仕切り価格を教えろと言っているようなもんだ。寝言は寝て言ってくれ。僕としてはマージンが派遣社員に開示されるようなことになれば非常に困る。他の多くの真面目な派遣社員の人たちだって困るはずだ。
当り前の話だが、マージンを開示してしまえば、派遣社員側が案件を選ぶにあたって派遣会社を天秤にかけることになるだろう。そうなると「アデコさんは30%と言っていますよ。パソナさんはなぜ35%なんですか」といった交渉が当たり前になってくる。最終的には派遣会社間の価格競争に陥り、どの業者もマージンは似たり寄ったりになることは明白。これはつまり、派遣会社が事業で他社との差別化を図ることが難しくなることを意味する。
派遣会社によってサービスに対する「お金のかけどころ」は結構違う。提供している福利厚生の種類も、質も、社員さんのフットワークも違う。フジスタッフなどは給与明細やタイムシートなどが電子化されていて魅力的だし、未だにそれらに着手していないインテリジェンスは残念だけれども、僕にとっての魅力的な案件はそこが一番たくさん持ってる。OSSに理解もあり、学術活動への貢献に力を入れているパソナテックもまた魅力的だ。アデコは条件はともかく、アホみたいに頻繁に案件紹介の連絡が来るので嫌いではない。
繰り返しになるが、マージンを開示することで、確かにこれらの企業は切磋琢磨するだろうが、その結果コストを切り詰めた先にあるサービスはどこの会社も似たり寄ったりになるに違いないのだ。僕はマージンなんてものは実績を積んで勝ち取っていくものだと思っているので、たとえば同じ派遣会社を利用している者同士で「Aさんはマージン20%でBさんは50%」という構図があったとしても、それはごく自然なことだと考えている。マージンを開示するとこの構図を維持するのがほぼ無理になってしまう。頑張ってユーザから高い評価を得てる人も、そうでない人も同じマージン率になることに僕は我慢できない。こんな不公平がまかり通る仕組みなら要らない。
僕は派遣会社はピンハネなんてしていないと考えている。企業は派遣社員に対して5%を支払っているわけではない。「コスト削減という名のサービス」を提供してくれる派遣会社に対して支払ってくれているのだ。その5%は「本来僕がもらって当然」のお金ではない。のぼせちゃいけない。
話が逸れてしまったが、派遣会社はボッタクリ企業では無いし、派遣社員も誰しもが「被害者」ではないということを知って欲しい。
双方に対するあらぬ誤解だけならいざ知らず、勝手な同情はやめてもらいたい。迷惑だし失礼だし、そもそもうぬぼれが過ぎやしませんか。
長い。冒頭に3行で要約を書いてから本文に入れ。
だから2chルールを持ち込むなと(ry
偽装請負に依存してる中小企業(多重派遣をしているソフトハウス)なら叩かれてもいいよね?
請負会社と人材派遣会社を同一視しちゃいかん。前者はつい最近までむちゃくちゃやってた。結局、実態が「派遣」なので最近になってようやく派遣会社らしく振舞うことを要求されはし...
似たり寄ったりになるのが嫌だからマージン開示するなってことか。 似たり寄ったりになるのかな。逆に開示することで多様化することはないの? マージンを開示していない例と上げた...
悪気は無いのだろうから大して腹は立たないけど、 嘘だ。
一般的には、派遣は社員になりたくて仕方ない人がやむを得ずなるもの。 主婦で派遣だと、納得されるけどね。
そんな奴は本来は派遣社員になるもんじゃないよ。そういう奴が出てきたのはここ10年前後の話。派遣社員っていうのはもともと流れの包丁人と同様、腕一本で業界を渡り歩く存在。今の...
マンガ「派遣社員松島喜久治」がもっと流行ればいいのに。
サラ金会社が他社との差別化をはかりにくい理由って、上限金利があるからかなんだろうね。マージン規制すれば派遣業界も金太郎飴状態になると思う。
昔は、月単金300万円で請け負って、120万円で外に出す、偽装請負カンパニーらしきもの?がまかり通っていたからでしょ。 300万>>120万>>80万>>40万 みたいな...
そういう違いがあるなら、なおさらマージンは公表するべきじゃないか? A社ではマージンが高い代わりに何らかのサービスがある B社ではマージンが低い代わりに殆ど何もしない さぁ...
20%以上が経費として抜かざるを得ないということを財務表から推察できない人間はおかしい、という話。
「派遣会社を擁護する人間は派遣会社関係者しかありえない」的な思考をする人間が結構いることを、はてブコメントを見てるとよくわかる。随分と愛社精神旺盛で、地味ーな宣伝工作も...