書店や文具店の手帳コーナーが、そろそろ気になるころになった。一口に手帳といっても家計簿付きや日記の書けるもの、有名人の監修したものなど実に多彩だ。
日本で本格的に手帳が作られたのは、明治政府が末尾に関連法規などを付けた官用のものが始まりだそうだ。今では社会の必需品的な存在へと普及し、スケジュールの管理以外にも幅広く利用されている。
雑誌「プレジデント」が、そんな「手帳術」を特集している。大手建設機械メーカーの会長は、発想がわいたらすぐに短いキーワードで書き込む。「見える化」しておくことで、発想を途切れさせず仕事の質が高められる。経営を貫く姿勢でもある。
新聞などで気になった数字の表やグラフを切り抜き、手帳に張って覚えるという大手船会社の社長。記憶した数字が有機的に結びついた時、突然将来の世界経済の姿が見えたりする。「手帳は未来の戦略を描く道具」と言い切る。
手帳の価値は、いかに工夫して使いこなせるかだと痛感させられる。特に手書きの場合は記憶力を高め、すぐに情報として活用できるなどの強みがある。
「手帳術」はビジネスの世界に限ったことではない。個々の生活を楽しく意義あるものにするためにも、一層工夫をこらして手帳の付加価値を高めていきたい。