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■クラミジア感染症 |
STD・性病の中で現在一番多いのが、この性器クラミジア感染症です。理由はクラミジア保菌者に無症状の者が多いのが原因です。 |
クラミジアの電子顕微鏡像 |
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■電子顕微鏡で観察したクラミジアの各種粒子です。様々な粒子が確認できますが全てクラミジア菌です。
(原因)淋菌性尿道炎と同じように、通常のセックス以外にオーラルセックスでも感染しますから注意が必要です。最近は、男女ともにクラミジアの咽頭感染が流行しています。
(症状)クラミジアの潜伏期間は1〜3週間です。症状が発現する場合は、男性で軽い尿道炎、急性副睾丸炎、女性で子宮頚管炎です。特に女性の場合は、腹膜炎・流産・不妊症の原因になります。
(治療法)クラリシッド・クラリス・ガチフロなどの抗生剤がクラミジア菌に効き目があります。 |
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■淋病 |
淋菌(ナイセリア・ゴノレアneisseria
gonorrhoeae)によって伝染するSTD・性病の代表です。 |
淋菌性尿道炎(実例写真) |
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■写真のように黄色の膿が出て下着が汚れます。尿道が赤く腫れ、膿が出て、非尿時に強い痛みを感じます。
1回のセックスでの感染率は30%と高率です。
男性の場合、排尿痛や膿の出現で症状が分かりやすいのですが、女性の場合は、ほとんど自覚しないまま病気は進行するので発見が遅れます。
また、最近では咽頭(のど)の感染率が高く、性器淋菌感染者の30%に咽頭淋菌が検出されることが判明し、オーラルセックスが原因という現状です。
(治療法)淋菌に殺菌力のある抗生剤の内服か注射です。 |
淋菌の位相差顕微鏡800倍像 |
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■この写真は上の実例男性患者さんの尿道に付着した膿をスライドグラスに取り、すぐに位相差顕微鏡で観察した像です。黒ゴマのように細かく無数に認められる粒子はすべて淋菌です。輪郭(りんかく)が白く光っている細胞はすべて白血球です。淋菌を取込んでいるが淋菌を殺すという使命を果たせなかった白血球の悲鳴が聞こえて来るような写真です。これが膿の正体です |
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■性器ヘルペス |
単純ヘルペスウィルス(herpes simplex
virus)によって感染するSTD・性病です。 |
ヘルペス潰瘍【写真1】 |
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■ヘルペスの痛み方は人それぞれです。この患者さんは非常に強い痛みで来院しました。ご覧のように潰瘍(かいよう)状のびらん状態です。
潜伏期間は3日〜7日です。水疱、潰瘍、びらん、色素沈着の経過を取ります。痛みは神経痛様症状・チクチク感・陰部全体の痛みなどいろいろです。女性の症状は男性より強く、歩行障害になるほどです。
(診断)特有の水泡と浅い潰瘍で診断は容易です。不顕性感染の場合は血液検査で判断します。
(治療法)抗ヘルペスウィルス剤の内服(商品名:バルトレックス・ゾビラックス)と軟膏の治療が基本になります。しかし再発を繰返す場合は骨盤内の仙髄神経節に潜んでいるので、完治は難しいのが現実です。女性の場合、生理が来るたびに発病することがあります。
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ヘルペス潰瘍【写真2】 |
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■この病気の特徴は痛みです。潰瘍そのものの痛みと神経痛の痛みを伴います。また患部近くの神経麻痺を起こす可能性があり、排尿障害や排便障害などの機能障害を来たすことがあります。
性器ヘルペスは肛門にも出来ます。 |
ヘルペス色素沈着【写真3】 |
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■感染をすると、潜伏期(2日〜10日間)を経て水泡形成します。水疱はほどなく潰れ、潰瘍状【写真1・2】になり色素沈着【写真3】をし治ります。
(重要)一度感染すると骨盤内の陰部神経節にヘルペスウィルスのDNAが侵入し潜伏します。そして体調の悪い時や女性の生理の時に活動し始め症状が出現し繰返します。完全に治るまで根気と時間が必要です。 |
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■梅毒 |
梅毒はトレポネーマ菌によるSTD・性病の代表的病気です。 |
梅毒の初期感染 |
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■梅毒の感染の多くは、菌を排出している感染者との性行為によって感染します。梅毒は粘膜や皮膚の微小な傷口から侵入し、感染して3週間程度で感染部位に軟膏様硬結が発症します。
初期硬結(第1期梅毒)
感染して3週間程度で感染部位に赤色をしたしこりのような初期硬結が発症します。感染後の発生頻度は3%以下と非常に少ない。 |
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■その後、初期硬結を中心に潰瘍を形成して周囲が硬く盛りあがる硬性下疳(コウセイカゲン)になります。
硬性下疳(第1期梅毒)
初期硬結がつぶれて、痛みのない潰瘍・糜爛(びらん)になります。 この潰瘍の分泌液からトレポネーマ菌を検出することができます。
(診断)近年では、症状として現れない潜伏梅毒が多いことから、抗体を検査する梅毒血清反応検査を用いることが多くなっています。
(治療法)抗生剤(ペニシリン)による治療が基本です。 医学の進歩から、近年では3,4期の梅毒に罹ることはほとんどありません。早期に発見できれば、完全治癒します。 |
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■尖形コンジローマ |
HPV(human papilloma virus
ヒト乳頭腫ウィルス)によって伝染するSTD(性行為感染症・性病)です。 |
尖圭コンジローマ(イボイボ) |
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■男性の亀頭部や包皮にイボイボができます。これは尖圭コンジロームというSTD・性行為感染症です。 ヒト乳頭腫ウィルスによって感染します。潜伏期間が1ヵ月から9ヶ月と長いので、感染経路が不明なケースがしばしばです。早期に治療しないと再発して治療するのが難しくなります。
亀頭部左辺縁に直径5mmのイボ状の乳頭腫(コンジローム)を1個と直径3mm・2mm・1mmの3個の計4個を認めます。 この患者さんは仮性包茎でこの病気にかかり易い状態です。 |
尖圭コンジローマ(カリフラワー) |
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■陰茎環状溝の周囲に花が咲いたように広がった尖圭コンジローム
(診断)女性では膣内に綿棒を挿入・擦過し膣分泌液を検査します。男性の場合には、この検査はできないので、視診でイボを確認するしか方法はありません。 現在、尖圭コンジローマの血液検査はありません。
(治療法) 内服治療:抗ウィルス剤 薬剤治療:抗がん剤軟膏 外用治療:抗がん剤・抗ウィルス剤 手術治療:外科的切除・電気凝固術・レーザー治療
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■フォアダイスと真珠様陰茎小丘疹 |
フォアダイス |
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■尖圭コンジロームと勘違いして悩む若者が多くおられます。これはSTD・性行為感染症ではありません。成人男性の65%に認められる生理的な現象です。
(重要)包茎手術専門クリニックや美容整形外科で、フォアダイス・真珠様陰茎小丘疹を「尖圭コンジローマの疑いがある」と言葉巧みに包茎手術やオプション手術を行い被害にあっている方がいらっしゃるそうです。
女性の場合の膣前庭乳頭症も生理的現象なのですが、尖圭コンジローマと誤診されることが多いので注意が必要です。
区別すべき尖圭コンジローマの特徴
非対称性に発生し、まばら 表面の色は正常皮膚色と異なる 大きさは大小不同で統一感がない 痛みやかゆみはない ひたすら増殖のみ
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真珠様陰茎小丘疹 |
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■フォアダイスと同様に生理的な現象で成人男性の20%に認められます。ペニスの環状溝に沿って観察できます。尖圭コンジロームと外見上の違いは、尖圭コンジロームは大きさがまちまちで不ぞろいですが、珠様陰茎小丘疹は大きさが小さくて粒が揃っていることです。
(治療法)どちらも病気ではありませんから治療の必要はありません。それでも美容的に気になったり、劣等感になっているのであれば、その心を治すという意味でレーザー光線や電気焼灼で治療します。ただし、病気ではないので保険が利きません。当院では自費診療になります。 |
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■毛じらみ |
大きさ1mm前後の「毛じらみpthirus pubis
」という吸血性昆虫によって伝染するSTD・性病です。 |
毛じらみの暗視野顕微鏡像 |
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■肉眼では陰毛部に小さなほくろのような毛じらみの成虫が確認できます。しかし顕微鏡で確認するとご覧のようなグロテスクな昆虫です。 陰毛にフケのようにこびり付いたタマゴも発見できます。
(症状)陰毛部の非常な痒みである。その痒さは、男女を問わず人前で陰部をかきむしるほどと云われている。
また、吸血した皮膚より出血して下着に血痕が点々と付着するので、血尿を訴えて患者さんが来院することがある。
成虫は約1ヶ月間生存し、その間に1匹当たり30〜40個の卵を産みます。卵から成虫になるまで約1ヶ月間です。 |
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(治療法) 陰毛がないと毛じらみは生きていけませんから剃毛(ていもう:毛をそる)処置かスミスリンパウダーという殺虫剤を陰毛に振り掛けます。
■剃毛(ていもう):陰毛を全部剃ること。成虫が生息できない環境にし、卵を陰毛に産み付けられないようにする。何かの事情で剃毛出来ない場合には、次の2つの方法をとる。
■櫛でブラッシング:目の細かい櫛で陰毛を丹念にすくことで、陰毛に付着した卵を除去する。
■殺虫剤:商品名スミスリンパウダーを1日1回陰毛部に散布して成虫を殺す。2週間続ける。
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■カンジダ性亀頭包皮炎 |
カビ(真菌)の仲間であるカンジダ属カビによって発病します。 |
カンジダ性亀頭包皮炎(カサカサ) |
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■男性のカンジダ性亀頭包皮炎の場合は女性と異なります。男性の場合は、カンジダの多く生息する膣を持った女性とセックスをすると、男性のペニスに大量のカンジダが付着してそのままにしますから、カンジダ性亀頭包皮炎になるのです。特に包茎の男性の場合に多く発症する傾向にあります。
女性の場合、白いカッテージチーズ状のぽろぽろしたおりものが出る、炎症を起こし、強いかゆみを感じる、などがあります。
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カンジダ性亀頭包皮炎(ポツポツ) |
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■写真のように亀頭部から環状溝にかけて地図状の隆起した発疹が観察できます。症状として痛痒い感覚があります。
患者さんによって肉眼的所見は様々なバリエーションがあります。
(治療法)カビを殺す薬、抗真菌剤が治療薬です。男性の場合は患部に軟膏を塗っていただきます。女性の場合は膣剤を挿入していただきます。外用薬で改善がなければ、抗真菌剤の内服を試みます。 また、包茎手術も治療の選択肢として考えます。
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