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ニュースナビ:米金融危機 世界が沈む(2/6ページ)

 同9日には韓国産業銀行との交渉が不調に終わったとの報道が伝わり、リーマン株に対する売りが殺到、この日だけで値下がり幅は約45%に達した。事態を重く見たリーマン経営陣は急きょ、決算発表を1週間前倒ししたが市場の不安は晴れず、リーマンの株価は12日までの4日間で8割も急落。週末には「身売り」がほぼ確定的となった。

 「公的支援するつもりはない」。金曜日の12日夜、ニューヨーク連銀にリーマン救済を協議するために集まった金融機関首脳らは、ポールソン米財務長官の強い姿勢に驚いた。バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)、英バークレイズなどリーマンの身売り先に浮上した金融機関も及び腰に転じ、リーマン救済の話し合いは難航した。

 一方、米証券大手メリルリンチのジョン・セイン最高経営責任者(CEO)は、公的支援に消極的な金融当局の姿勢を見て危機感を募らせた。「次に市場に狙われるのはうちだ」。セイン氏は翌13日午前、バンカメのケネス・ルイスCEOにひそかに電話を入れた。

 2人は午前のうちに協議し、日曜日の14日夜にはバンカメによるメリル買収を発表。ほぼ同時刻、救世主になるはずだったバンカメを「横取り」される形になったリーマンには「破綻不可避」の報道が一斉に流れた。米メディアが「血塗られた日曜日」と呼んだ14日、米証券4位リーマンは市場から事実上退場、同3位メリルも大手銀の軍門に降った。

 リーマンが破産手続きに入った15日。ニューヨーク株式市場のダウ平均は前週末終値比504ドル安となり、01年9月の米同時多発テロ以来の下げ幅を記録した。資本不足を指摘されていた米保険最大手AIGの株価は1日で約6割も下落、終値は4ドル台と「破綻か身売りか」の選択を市場から突きつけられた。

 「明日の午後、ホワイトハウスに来てほしい」。ポールソン米財務長官にブッシュ大統領から伝言が届いたのは15日夕。AIG救済策を協議するための緊急招集で、ポールソン長官はすべての予定をキャンセルした。

 AIGは前週末までの1週間で、株価が約47%下落。リーマン・ショックがひろがった15日の暴落で経営破綻は目前に迫っていた。米議会や市場関係者の間では、リーマンへの公的資金投入を拒んだ米金融当局を非難する声が急拡大。わずか数時間前、ホワイトハウスでの記者会見で「(リーマンへの)公的資金投入を考えたことは一度もなかった」と言い切ったポールソン財務長官だったが、この時点でAIGの公的管理への道筋はほぼ固まっていた。ちょうど同じころ、ニューヨーク連銀ビルには米連邦準備制度理事会(FRB)の幹部とAIG首脳、証券大手ゴールドマン・サックス(GS)の首脳らが集まっていた。「民間で700億~750億ドル(7兆~7兆5000億円)のつなぎ融資を出せないか」。NY連銀のガイトナー総裁からの要請に、その場で即答できる経営トップはいなかった。

2008年10月15日

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