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【主張】海自隊員死亡 精鋭部隊なればの規律を

2008.10.15 03:28
このニュースのトピックス主張

 自衛隊の精鋭部隊であればこそ、厳格な規律と高いモラルを示さなくてはならない。こうした期待と信頼を裏切るきわめて遺憾な事件だ。

 海上自衛隊の特殊部隊「特別警備隊」隊員を養成する第1術科学校の特別警備課程にいた3等海曹が、格闘訓練中に頭を強打して死亡した。15人を相手に格闘させられ、14人目からあごにパンチを受け転倒したのだという。

 多人数を相手にした訓練は異例とされる。海曹は前記の課程を途中で辞め、別部隊への異動が決まっていた。海自幹部は訓練について「(異動の)はなむけのつもりだった」と遺族に説明したようだが、制裁目的の集団暴行だったとすれば、断じて許されない。海自幹部の説明も耳を疑う。

 集団制裁が常態化しているのではないかとの指摘もある。海自警務隊が傷害致死容疑などで調べ、呉地方総監部も事故調査委員会を設けた。厳正な捜査と原因の徹底究明を強く求めたい。部内のかばい合いはあってはなるまい。

 一方で特別警備隊は厳しい訓練がなければ、必要なときに役割を果たせない。平成11年の北朝鮮の工作船事件を契機に2年後、不審船に乗り込み、立ち入り検査や武装解除する目的で創設された経緯がそのことを示している。

 70人規模の隊員は海自内から選抜されるが、過酷な訓練で挫折を余儀なくされる隊員も少なくないという。ただ、精強な部隊には厳しい訓練が不可欠だ。特警隊と第1術科学校は国民の信頼を取り戻す努力を続けてもらいたい。

 自衛隊員は「ことに臨んでは危険を顧みず、身をもって専心責務の完遂に務める」と宣誓する。自分の生命を国家・国民のために提供するが、果たして国家・国民は自衛官への社会的処遇を十分に行っているだろうか。これまでの処遇もまた、自衛官のモラルを低くしてきた要因の一つであることを忘れてはならない。

 今回の事件を含め、海自では昨年から、護衛艦「しらね」火災、イージス艦情報漏洩(ろうえい)事件、イージス艦「あたご」の衝突事故、護衛艦「さわゆき」火災などが続発している。背景には慢性的な艦船の乗組員不足などが指摘されている。長期航海に伴う海自の艦艇部隊が不人気職種であるためだ。

 日本の「海の守り」をいかにして揺るぎないものにするかも問われている。

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