ターニングポイントとは

 現在活躍している理学・作業療法士、教職員、研究者の方々へのインタビューです。
 今までの医療(教員)人生での、転換期・ターニングポイントについて語ってもらいます。
 さらに、学生時代の経験を織り交ぜながら、 勉強に励んでいる学生さんに向け、熱いメッセージやアドバイスを伝授してもらいます。

ターニングポイント

アメリカでPTに必要なスキル(全5回) 第4回

2008/09/03
杉原 弘康

アメリカでPTに必要なスキル 第4回

第4回の今回は「ビジネススキルとマネージメントスキル」の話です。

「ビジネススキルとマネージメントスキル」というのは、PTにとってすごく重要なスキルだと思っています。ちなみに、私が好きな話でもあるので、この話をしはじめると話が止まらなくなってしまいます。「ビジネススキル」というと、一見PT にはまったく関係のない分野のようですが、実際には(特にアメリカでは)PTにも深く関わっています。

「ビジネススキル」は、PT管理職・経営者だけにでなく、一般のPTにも大切なスキルなのです。例えば、PTとしての就職・異動の際に、新しい職場と勤務条件や給料の交渉をうまくすすめるのも「ビジネススキル」のひとつです。また、自分のPTクリニックの開業を目指して計画を立てていくことも「ビジネススキル」のひとつでしょう。

PTの「マネージメントスキル」といえば、自分が担当の患者さん全員の理学療法計画・スケジュールを管理することから、自分の部下のPTの業務内容を管理することまで含まれます。

では次に、ビジネススキルをPT経営者の面からお話ししましょう。

アメリカのPTはイギリス、オーストラリア、カナダのPTと同様に開業権がありまして、自分がPT免許を取得した州において、PTクリニックを経営することが認められています。その規模は、株式市場に上場しているような大きなPTクリニック(会社)から、小規模の個人経営のクリニックまで様々です。

私もこの1、2年をメドに、小規模(個人経営)でのPT開業を目標にしています。私の場合、クリニック開業成功の鍵は「専門特化のマーケティング」と「身の丈経営」だと考えて、ビジネスプランを練っているところなのです。

それでは、ビジネススキルとマネージメントスキルを高めるには、どんな知識が必要なのでしょうか。私たちPTが仕事と収入を安定、継続させるためには、臨床スキルとともにファイナンス(医療保険と理学療法の支払いの仕組み)、マーケティング(どんな患者さんがいて、自分はどんな理学療法を提供できるのか)、医療法と政策(Health Policy)などを、PTが関わっている範囲で知っておくことが大切です。

実際にアメリカのPT養成校は、これら分野のことを教えることを義務づけられています。私が修了した大学院の DPT (Doctor of Physical Therapy)
課程では、マネージメントの講座が必修で、その中には将来リハビリテーション部またはPTクリニックを運営するであろう日に備えての、予算案の作り方の講義も含まれていました。そのため、私自身もその講義の課題として予算企画書を作ったりしました。こういったスキルは、先ほどお話したPTの開業権に大きく関わってきます。

このように考えてみると、「ビジネススキルとマネージメントスキル」を磨くことは、PTとしての仕事をスムーズに行い、またPTとして自分自身を高めて、将来への可能性と夢を広げていくためにとても重要なスキルに思えてならないのです。
 

 


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