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2008年10月14日

男性ファッション誌の分類・分析2008

 今回はお姉さんにもわかる男性誌講座です。男性誌の棲み分けがどうなっているのか、俯瞰するのが目的。できるだけ多くの男性誌を図に入れてみたので、若干、おかしな点はありますが、これ以上、図を単純化するのは厳しいので、その点はご勘弁を。なお、○○系とは便宜上、私が勝手につけているものも中にはあります。ではさっそくですが、各男性誌をマッピングしてみたのがこちら。

■男性誌のマッピング

男性ファッション誌分類2008.jpg

 図の説明を簡単にすると、左下がきれいめ文化圏、左上がアメカジ文化圏、右上がクラシック(伝統・定番)文化圏、右下がモード文化圏となっていて、近くにある雑誌は似たようなテイストになっています。男性誌は女性誌のようにきれいに住み分けができていないのですが、男性ファッションの終着点はアメカジかモードかクラシックになると思うので、そういう切り口で図を作成しました。赤い線については最後に説明します。

 それでは、男性誌の位置がだいたい掴めたと思いますので、各系統の説明に入っていきますね。


■きれいめ系

 トレンドを適度に取り入れ、清潔感を重視した無難なファッションが「きれいめ系」です。「普通系」ともいわれることがありますが、「きれいめ系」は「とある同じ趣向を持ったファッションをする若者達の総称(○○系)」というよりは、ファッションの傾向やさじ加減をあらわすときに使われる言葉です。「きれいめ系」よりも「きれいめ」という言葉の方がよく使われています。ファッションの程度を表す言葉なので、「ストリート系」にも「きれいめ」はありますし、もちろん、「サロン系」や「お兄系」にも「きれいめ」という のはあります。例えば、ストリート色の弱い細身の「ストリート系」も「きれいめ」ですし、古着とレイヤード(重ね着)を用いる「サロン系」も、シンプルな着こなしをしていて清潔感があれば、それは「きれいめ」になります。「きれいめ」の特徴としては、清潔感、シンプルさ、適度なトレンド、細身などが挙げられますが、そこに定義やルールは特になく、適度にトレンドを取り入れていて、清潔感があり、普通っぽく見えたら(こだわりや特徴がなければ)「きれいめ」と認識されるようです。

 「きれいめ」ではなく「きれいめ系」と括られる場合、これは主に 狭義の「きれいめ系」を意味します。代表的な雑誌はFINEBOYS。 「きれいめ系」の雑誌の特徴として、等身大、着こなしの解説が多い、 モテを意識した誌面作り、というのが挙げられますが、この特徴からもわかるように、「ファッションに強い関心がない」もしくは「ファッションビギナー」というのがターゲット層になっており、入ってきやすいよう敷居は低めに間口は広めに設定されています。図での「きれいめ系」の範囲は狭義の方でマッピングしていますが、ファッションビギナー、もしくは、ファッションに強い関心がないという点で、いわゆる「脱オタ系」や「丸井系」もこの「きれいめ系」に含まれる場合があります。

 なお「きれいめ」というのは若者にだけ当てはまる言葉で、大人になると「コンサバ」という言葉に変わります。多くの人は「きれいめ」から入り、各々の趣味趣向で、ストリート系、サロン系、お兄系、メンノン系などなどを経て、最終的にはファッションに興味が失せて(尖ったこだわりがなくなっていき)、「コンサバ」に落ち着きます。

【ポイント】「きれいめ」で始まり「きれいめ」で終わるのがメンズのお約束

■サロン系

 90年代後半から00年代前半くらいまで、日本のメンズファッションを牽引してきたのがストリート発の「裏原系」です。代表的な雑誌はsmartですが、そのsmartが2003年頃から売上が大きく落ち込んでいきます。「裏原系の終焉」と「エディ・スリマン率いるディオールオムの快進撃」の始まりです。2002年11月、伊勢丹で世界先行発売されたディオールオムの通称「ブラックデニム」がプレ値化したことで大きく注目が集まり、それ以降、流れが徐々にストリートからモード寄りになっていくのですが、その一方で、「裏原系」の中から新しいスタイルが台頭し、最後にひと花咲かせます。「タンクトップを重ね着して、その上にカーディガンをレイヤードして、ボトムスにはちょっと小ぶりなサルエルパンツを穿いてね。そういったスタイルの人は最近多い。」こう語るのは、スタイリストの野口強。2003年10月に発売されたムック、smartEXの「野口強と祐真朋樹のスペシャルトークセッション」での発言です。野口強が述べているスタイルは、「ゆるカジ・ゆるデコ」と呼ばれるものですが、今の「サロン系」と比べると、カーディガンがジレに、ボトムスがスキニーに変わったくらいで、スタイルの核となるものは、レイヤード(重ね着)、ミックス感覚、シルエット(バランス感覚)で遊ぶ、襟ぐりの緩さ、とほぼ同じなのです。

 この「ゆるカジ・ゆるデコ」が、ファッションのモード化の影響を受けながら徐々に「サロン系」へと装飾性を強め、2005年あたりから10代を中心に爆発的に広がっていき、今に至ります。サロン系と呼ばれる理由は、美容師がこの手のファッションを好み、それに憧れる男性が影響を受けるという構図があるからで、ファッションの特徴として、個性的、緩めの着こなし、ブランドはハイブランドから古着までなんでもあり、フェミニン、ユニセックス(レディースも着用する)、ビューティーにもこだわる、ナイーブ、というのが挙げられます。女性には「草食男子」に見えるかもしれませんが、サロン系の雑誌には恋愛・エロ系のネタがギャル男雑誌並みに充実していて、例えば、BiDaN11月号には「超カワイイ女の子出没全国MAP」なる驚きの日本縦断ナンパマップまであったりするので、「草食男子」の中に潜む「白いギャル男」にご注意を

 なお、2007年の春に「サロン系」のカリスマ、奈良裕也がchokichokiを卒業したことで、「サロン系」の勢いは少し落ちましたが、それでもchokichokiのフォロワー的雑誌は次々と創刊されています。「サロン系」の雑誌はファッション誌というよりも、名前のとおり、ヘアスタイルよりの内容となっているのも特徴です。

【ポイント】裏原敗れて重着あり 東京モードにしてサロン系深し

■お兄系

 レディースには「お姉系」というクラスターがあります。本来は、 「ギャル」のお姉さん路線のブランドや雑誌を「お姉系」というのですが、その意味が拡大解釈され、お姉さんっぽいファッション、すなわち、CanCam、JJ、ViViなどのいわゆる「赤文字雑誌系」が「お姉系」として定着していきました。では、「お兄系」もそうかというと、これが逆なんですね。「お兄系」は、「ギャル」に対する「ギャル男」のように、「お姉系(当時のお姉系の聖地は名古屋だった)」の対となるファッションとして、2002年ごろ名古屋に登場したものです。「きれいめ」と同じように、「お兄さんっぽい」という程度を表す言葉で、 主にセレブ(当時だとベッカム)に憧れる大人っぽいジャケパンスタイルが「お兄系(広義)」だったのですが、それが2003年にギャル男に飛び火し、ドルチェアンドガッバーナ、ディースクエアード、ディオールオムなどのセレブなブランド(ハイブランド)を取り入れるスタイルが流行り始めます。バーバリーブラックレーベルで固めた「バー男」なる「ギャル男」もいたようですが、2005年には「ギャル男」のお兄さん路線が「お兄系(狭義)」として認知されていくようになり、2006年3月、渋谷109Aにお兄系フロアができたことにより、「ギャル男≒お兄系」が確定したのです(図でのお兄系の範囲は広義でマッピングしています)。

 「ギャル男」というのは一枚岩ではなく、サーファー系、バイカー系、ロック系、ホスト系、B系、アメカジ系、デリッカー系と「ギャル」の如く多岐にわたるので、ニアリーイコールで結ばれる「お兄系」というのもバリエーションが豊富なのですが、「盛りウルフ」と呼ばれるヘアスタイル、黒を基調としたタイトでハードな服、デコラティブなベルト、先が尖ったブーツ、クロムハーツのようなごつめのシルバーアクセサリーといったものを身につける傾向にあり、一言でいえば、休日のホストのファッションです。小悪魔agehaというキャバ系の雑誌のヒットにより、次々と姫ギャル・キャバ雑誌が登場したように、MEN'S KNUCKLEのヒットで、現在、HOST KNUCKLE、Men's Yukai、MEN'S SPIDERとホスト系ファッション誌が次々と創刊されています。「お兄系」の核はホストマインドにあるようです。

【ポイント】ホストマインド=ガイアが俺にもっと輝けと囁いている

■ストリート系

 「ストリート系」はカバーする範囲が広く、広義では若者のファッションのほとんどが「ストリート系」に含まれるのですが、ここでは広義ではなく、狭義の「ストリート系(通称スト系)」を取り上げます。定義は難しいのですが、「ストリート系」はカルチャーに根ざしたスタイルが特徴なので、ファッションよりもライフスタイルに近いもの、といえるのかもしれません。スタイルとしてはアメカジ中心にバラエティに富んでいるのですが、「B系(ヒップホップ系・Bボーイ系)」と「エクストリーム系(スケーター系・サイクル系)」が2大柱となっており、「ストリート系」の雑誌を開くと、ファッションだけではなく、音楽やエクストリームスポーツの情報にも力が入っていることがわかります。

 「B系」と「エクストリーム系」のファッションは、アメカジがベース、動きやすいよう全体的にゆったりめ、雰囲気がハード、スポーティー、足元は主にスニーカーと類似点が目につきやすいので混同されがちですが、両者は違うものです。例えば、どちらにも右足の裾を上げる着こなしがありますが、「B系」の場合は「危険な武器は持っていない」というサインで黒人のラッパーを模倣したもの、「エクストリーム系」は自転車のチェーンに裾が巻き込まれたら危険なので、巻き込まれないよう裾を巻くっている、と理由が違います。バッグボーンが異なるので、他にも、好むスニーカーブランドやアクセサリー(小物)の 使い方などいろいろと差異はありますが、ヒップホップの大衆化と雑誌の影響で、「B系」と「エクストリーム系」の境界線が薄れつつあるのが現状です。

 最近は、ポップでエキセントリックな「ニューウェーブ系・エレクトロ系(大枠ではヒップホップ系)」というスタイルが台頭してきており、シャッターシェードなどおもちゃ風サングラスがこの夏ストリートで大ブレイクしました。見逃せない動きです。

【ポイント】「流れゆる ヤンキー思想 内に秘め」スト系心の川柳

■メンノン系

 「メンノン系」という層や俗称は一般的にはありませんが、MEN'S NON-NOの影響力はかなりのものだと思うので、MEN'S NON-NOっぽいファッションを「メンノン系」とし、参考までにマッピングしてみました。ファッション誌としては、毎月10日に発売される、MEN'S NON-NO、POPEYE、Men's JOKER、FINEBOYSあたりが代表的な雑誌で、オシャレ好きの男性の中ではもっとも人口が多い層です。

 「メンノン系」はきれいめからモードまで幅広くカバーしているのですが、「ドメブラ」と呼ばれる、ストリート色の強い国内のデザイナーズブランド、例えば、ナンバーナイン、Nハリウッド、ラッドミュージシャン、ファクトタム、アタッチメント、ミハラヤスヒロ、ジョンローレンスサリバンあたりを好むのが特徴。それらのブランドを中心に、ハイブランド、古着、ファストファッション、セレクトショップオリジナルを合わせ、その時のストリート感覚で着崩します。そのさじ加減は人それぞれで、ストリートよりだったり、モードよりだったり、きれいめよりだったり、お兄系よりだったり、そのスタイルは多種多様です。

 「メンノン系」そのものも、トレンドによってその範囲やポジションが変わってくるのですが、今はモードよりに大きく傾いているので、「モードカジュアル系」ということもできます。ディオールオム、ラフシモンズ、コムデギャルソン、マルタンマルジェラ、バレンシアガなどの、ハイブランドを取り入れている人も結構いるようです。

【ポイント】広義でのモード系 またの名を量産型モード系

■モード系

 「モード」という言葉自体は「流行」という意味ですが、それが「モード系」と括られると、「デザイナーにより生み出された最新の服装をしている人」という意味になります。パリ・ミラノコレクションに登場するようなハイブランドを好み、無彩色を中心に、エッジィでスタイリッシュに全身をまとめるのが特徴。モード雑誌highfashionの名前に由来して「ハイファッション系」と呼ばれることもあります。この「モード系」はかなり少数派で、モード誌として不動の人気を誇っていたMR.High Fashionが、2003年に、22年の歴史に幕を閉じたくらいなのですが、その2003年を境に「モード系」が徐々に増えていきます。2003S/Sコレクションの高評価で話題の中心に躍り出たディオールオムと、同じくその年にリニューアルオープンした伊勢丹メンズ館の影響です。特に、2007-2008a/wまでディオールオムを指揮していたエディ・スリマンの影響が大きかったと思います。

 ガブリエル・シャネルが機能的でアクティブな、マスキュリンな服で「女性性」を解放したデザイナーなら、エディ・スリマンはフェミニンな服で「男性性」を解放したデザイナーだといえます。シャープなカッティングとスキニーなシルエットの服で男性のナルシシズムを肯定し、 メンズファッションから「男らしさ」というコードを取っ払ったのです。そのクリエーションに、マスキュリンとフェミニンの境界線はなく、ただ、ひたすら、エディ・スリマンが追い求める、ロックでミニマルな「美しさ」が際立っていたのです。

 このエディ・スリマンのクリエーションに刺激を受け、男性がストイックに「美しさ」を追い求めるようになります。ハイファッション(モード)の世界に傾倒する男性が増え、ハイブランドやビューティーにも手を出すようになっていきます。そのような男性と共に、モード誌やモードよりのファッション誌も増えていき、2008年9月、ついにモード誌の権威VOGUEから「美しい男たちへ」とVOGUE HOMMES JAPANが創刊されたのです。

 VOGUE HOMMES JAPANが創刊されたことにより、今後も「モード系」の男性が増えていくと思いますが、海外では、ハイファッションを好む層はゲイと見なされています。「例えば、私の本業は音楽家であり、日常的にスタイリスト、デザイナー等と職場を共にします。そして彼等の多くがゲイ・ピープルであり、恥ずかしながら私は火を噴く程のヘテロです」と著書『服は何故音楽を必要とするのか?』で菊池成孔が述べていますが、モードやファッション関係の本を読めば、ハイファッション好きにはゲイが多いということがとてもよくわかります。しかし、ハイファッションが好きだからといって、日本の「モード系」もゲイの傾向にあるとは一概にいえず、そこには、服オタクと呼ばれるファッションマニア、サロン系の一部のミーハー層、ハイブランド好きのオヤジといろいろ混ざっているからです。日本の「モード系」はまだまだ発展途上で、今後どのようなクラスターになっていくのかはまだ不透明ですが、 なんにせよ、全身を高額なハイブランド、それも最新のもので固めるわけですから、美しさを求めるにせよマニア気質にせよ、そのこだわりは、半端でないことは確かです。

【ポイント】ゲイが出るかマニアが出るか モード界は魑魅魍魎

■イタオヤ系

 「大人のファッションは中身が滲み出るものなので、表面的なことではなく、着こなしの教養を身に着け、中身を磨こう」という硬派なスタンスがかつては主流でした。結果、洋服のディテールとうんちくで地味な争いが繰り広げられていたのですが、その教条主義で思考停止気味だったオヤジ市場に、「ちょい不良(ワル)」「ちょいモテ」「大切なのはお金ではなくセンスです」と軽佻浮薄ワードをたんまりと持ち込んで、大きな風穴を開けたのが、ご存じ、岸田一郎が仕掛けたLEON(2001年9月創刊)なのです。その風穴に吸い込まれていくように、TARGET(休刊)、UOMO、cassady(休刊)、Straight(休刊)、Safari、OCEANSなどが次々と創刊され、オヤジビッグバンが起こります。クラシック(≒伝統・定番至上主義)なオヤジ市場がファッション化し、流行を意識したビジネスウェアを着こなすオヤジが増加。それに伴い、女性のようにファッションやビューティーにこだわるのがタブー視されなくなっていくのですが(メトロセクシャルブームも後押し)、それは若者にも影響を与え、メンズファッション全体を活性化させたのです。

 LEONでは「イタリアのオヤジ」を「イタオヤ」と略し、それをロールモデルとしているのですが、他誌もこのイタリアンファッション・イタリアンカジュアルというのを軸とし、ファッションを提案しています。90年代のクラシコイタリアブームで、一部のオヤジ達の目はすでにイタリアに向いていたのですが、うんちくやクラシックばかりではなく、センスやモードにも目を向けるよう仕向けたのが、昨今の「イタオヤ系」雑誌です。UOMOは上品なオヤジ、OCEANSはいいパパを目指しているオヤジ、Safariは路線を変更してLAセレブに憧れているオヤジ、と、各誌、ちょい悪LEONに対抗するような切り口で誌面を展開し、二匹目のドジョウを狙っているようです。なお念のためにいっておきますが、イタオヤとは「痛いオヤジ」の略語ではありませんよ(笑)

 余談ですが、オヤジ雑誌だからといって、全てがLEON系というわけではありません。うんちく系のMen's Ex、対象年齢を一気に35歳に引き上げMen's Ex化したMEN'S CLUB、モード一辺倒なハイエンドオヤジSENSEとTheCOVER magazine、そして次で取り上げる「アメオヤ系」、と実に多彩なのです。

【ポイント】ファッションいろいろ 雑誌もいろいろ オヤジだっていろいろ 咲き乱れるの

■アメオヤ系

 「551ZXX」「101Z」「11MWZ」。普通の人には何のことだかわからない この記号ですが、何を意味しているのかわかってしまうのが、「アメオヤ系」の人たちです。本来、「アメオヤ」という言葉はありませんが、「イタオヤ」があるのでそれに対抗して作ってみました(笑)意味としては、アメカジを愛するオヤジという意味で、何の捻りもありません。世間では、オシャレにうるさいオヤジといえば、LEONのようなイタカジオヤジですが、それとはまた別のベクトルで、オシャレやアメリカンなライフスタイルにこだわっているのが「アメオヤ系」なのです。

 この「アメオヤ系」、一般的には「ラギッド系」といわれています。ラギッドを辞書で引くと、丈夫な、しっかりした、荒い、無骨な、質素な、といった意味が出てきますが、一言でいえば、古き良き時代のアメカジ大好き系という感じでしょうか。ストレートにいえば、ヴィンテージマニアなので、記号やタグを見ただけで、年代やモデルの区別がつきますし、ヴィンテージを忠実に再現する、ウェアハウス、フルカウント、エヴィスなどのレプリカブランドや、ヴィンテージラバーのラルフローレンがトレンドを度外視して展開する、RRLを好むわけです。

 「アメオヤ系」の火付け役は雑誌Free&Easy。そのアメカジへの情熱とヴィンテージに関するうんちくが、アメカジ、デニム、スニーカー、ヴィンテージで育った、裏原世代の1つ前「Boon世代(当時のBoonの部数は70〜80万部くらい)」のハートを捉え、2006年くらいからちょっとしたブームになっています。2007年にはアメリカのカルチャーを幅広く紹介する雑誌lightningから、ファッションに特化した2ndが創刊され、こちらも人気を博しているようです。しかし、そのアメオヤ達が若い頃お世話になったであろうBoonが、今年の5月で休刊となりました。「Boon世代」のアメカジ好きはFree&Easyや2ndに流れ、若い世代の取り込みには失敗した、という形になったのでしょうか。

【ポイント】「隣のヴィンテージは渋い」と古着屋に走る漢(オトコ)たち

■おわりに

 以上、8つのクラスターを簡単に俯瞰してみましたが、皆さん、冒頭の 赤線のことを覚えているでしょうか。ちょっしたおまけなのですが、気になっている人も多いと思うので、ずばりいいますと、あれは「モテ線」です(笑)この線から遠ざかれば遠ざかるほど、そのファッションのこだわりは女性に伝わりません。伝わったとしても、普通の女性には理解が困難だと思います。年齢で読む雑誌が変っていく出世魚的な女性誌に対し、男性誌はモード・アメカジ・クラシックのどの頂を目指すか、何をどれだけこだわるのか、で読む物が変わっていく傾向にあるのですが、年齢的には左下から右上に向うにつれ上がるよう、なるべく配置しているので、女性ウケ重視の男性は、赤線を参考に、雑誌をステップアップしていけば問題ないと思います。それではこの記事が何かの参考にでもなれば幸いです。



ニックネーム dale at 18:13| Comment(15) | TrackBack(0) | 男性誌ウォッチ
この記事へのコメント
またまたおもしろかったです。

この赤い線から外れずに、しかしその上でいかに他人と差別化を図るかが、男に課された難題だと思います。。
Posted by at 2008年10月14日 18:59
JOKERとメンノンは位置が逆では?
それとFINEBOYSのセンスなんて…
Posted by hamcup at 2008年10月14日 19:00
自分はメンノン系に当てはまりましたが
確かに量産型ですね(笑
Posted by roma at 2008年10月14日 19:33
凄いですね。
メンノンを「量産型モード系」
と称したのが上手いです。
Posted by tree at 2008年10月14日 20:01
いい図だね。赤い線の対極に左あがりに青い線を描けば『俺』になる。
どの各雑誌のスタイリングもフツーだがビギンとチョキチョキおもしれ〜
Posted by ヒーロ at 2008年10月14日 22:05
お見事だと思います。
ご苦労をそれなりに分かった上であえて書きますと、
JOKERとメンズクラブ、ガイナーは、「きれいめ」のイメージがありますけど前にJOKERを読んだ時はロックかお兄系かとも思いましたが。そんなに最近、チェックしてないのであまりいえないです、笑。

メンノンを「量産型モード系」、大人のアメカジをアメオヤ(カジオヤでも)とかナイスネーミングだと思いました。

「草食男子」の中に潜む「白いギャル男」にご注意を、などどこかエスプリが効いてますね、笑。
Posted by 週刊コーディネート at 2008年10月14日 22:21
メンノンの量産型モードとチョキの白いギャル汚ワロタ
読み応えのある面白いネタありがとうございますた
Posted by 名無し at 2008年10月14日 22:28
これほどの長文、ほんとにいつもお疲れ様です(笑)
いつも楽しみにしてるので次回も頑張ってください!
Posted by kazuta at 2008年10月14日 22:45
いやあ力作ですねえ。「お兄系」の説明がひっかかっていたとこを言ってくれていたのでとても良かったです。広義とか狭義とか一般の人にはなにがなんだかわからない話ですね(笑)
Posted by TABITO at 2008年10月15日 00:01
男性誌の分類・分析を読むと、女性誌との分類のされ方と違うなと改めて感じました。

女性誌の場合、確かに年齢での縛りが男性より強い気がします。ファッションに一番敏感であると思われる「10代後半から20代後半」の身体的変化が男性よりも大きいからかなと思ったり。

あと、男性は社会人になればオンとオフのファッションを「スーツ」で区切れますが、女性は制服がないとその境界が曖昧だったり…その点でも男性は自己の「スタイル優先」になり、男性誌の分布もまたしかりなのかなと思います。

長文失礼しました。いや〜面白かったです!
Posted by イクミ at 2008年10月15日 00:03
面白かったです。
ところで、「クラシック」と「コンサバ」はどう違うのでしょうか? 重なる部分が多いように思うのですが。
たとえば(ちょっと前までの)「Men's Club」はクラシック? コンサバ?
Posted by 通りすがり at 2008年10月15日 01:24
お疲れ様です
守備範囲の広さにいつも驚かされます
Posted by   at 2008年10月15日 02:54
お疲れさまです、いつも楽しく拝見させてもらってます。さすがPOPEYEが参考にさせてもらっているサイトだと書いてあったので本当に参考になります。私はメンノとポパイとファインとジョーカーを読みますが、やはり最近は、ポパイとファインがかなりキテいると感じます。どう思いますか?
Posted by 是非弟子にしてください at 2008年10月15日 04:23
自分はB系の服装をしていますが、裾をあげるのは好きじゃないのでしていてかったのですが

>例えば、どちらにも右足の裾を上げる着こなしがありますが、「B系」の場合は「危険な武器は持っていない」というサインで黒人のラッパーを模倣したもの、「エクストリーム系」は自転車のチェーンに裾が巻き込まれたら危険なので、巻き込まれないよう裾を巻くっている、と理由が違います。

初めて知りました、なぜ捲くってるのだろうと疑問に思ったことがあったので、勉強になりました。
Posted by 通りすがり at 2008年10月15日 06:06
毎度お疲れさまです。
相変わらず言葉の使い方が巧みですね。


アメカジ、アメトラが好きで、細身にまとめてる21の私はどこに入るんですかね?w
Posted by ゲルゲ at 2008年10月15日 09:21
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