NTTドコモが、高機能機種「900シリーズ」と廉価機種「700シリーズ」の2系統に分けていた商品分類を抜本的に見直し、機能の絞り込みやデザインなどによる4シリーズを新設する。11月の秋冬商品発表時に新シリーズ第一弾を投入する。
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商品シリーズの抜本変更は2004年2月の「900i」登場以来4年ぶり。これまでシリーズごとに仕様を細かく標準化していたメーカー政策を改め、端末開発の自由度を増すとともに価格の幅を広げる。飽和状態にある携帯電話市場の活性化と減少傾向にあるシェア維持が狙いだ。
番号持ち運び制度や価格政策の立ち遅れによる顧客流出といった逆風のなか、ドコモは今年度から、顧客ニーズ重視とサービス見直しを検討してきた。今回、900/700シリーズといった“ドコモ仕様”の要件を緩和することで、メーカー主体の端末開発を促進。長期化する買い替え期間を縮める刺激策にしたい考えだ。
ドコモの秋冬モデルは(1)ファッション性(2)スリムさ(3)動画再生などの最新機能(4)高級感−の特徴をそれぞれ重視した4シリーズを設定する。機能を絞った分、価格も従来商品より安価になる見通しだ。
ドコモはこれまで、高級感や多機能性を重視した900シリーズと、廉価で機能を絞った700シリーズを設けていたが、これらのシリーズは来年前半にも販売を終了する見込み。新シリーズは、700シリーズよりさらに機能や特徴を絞り込むことで価格を抑えつつ、利用者のこだわりにも応える狙いがある。
ドコモは、今年4月から、修理品受け取り店舗を顧客が選べたり、端末紛失時に通信機能を使って無償で端末を探すなど、顧客満足度向上に役立ちそうな新サービスを打ち出してきた。4〜9月の契約純増数は54万9300件で2位となるなど、復調が鮮明になっている。
携帯電話は国内普及台数が1億台を超え、成長は頭打ち。8月の出荷台数は前年同月比48%減と急ブレーキがかかっている。ドコモは、利用者の生活シーンに合わせた機能を備えた端末を廉価に提供することで、新規顧客開拓と、既存顧客の買い替え需要も刺激したい考えだ。
◇
【予報図】
■選択肢広げ市場活性化狙う
NTTドコモが第3世代携帯電話サービス「FOMA」の代名詞となっている「900/700シリーズ」の商品体系を見直す背景には、キャリア主導で展開してきた端末投入に限界が見えてきたことがある。メーカー育成に役立った面もあるが、飽和市場の構造変化という危機感がドコモに決断を迫った。
ドコモの新たなシリーズは、従来のように半年ごとにフルモデルチェンジをするのではなく、シリーズごとに仕様の変更の幅が異なる見通し。最新機能重視のシリーズは機能変更を頻繁に行い端末価格も比較的高価になる。一方で、薄さやファッション性など機能面での大幅な変更が必要でない機種では“マイナーチェンジ”で済むため、価格も安くなり、メーカーも同じ型番を利用した端末を長期間販売しやすくなる。これにより、メーカーの端末事業の自由度が高まる一方、利用者も端末選択の自由度が広がり、市場が活性化すればキャリアも恩恵に預かるという構図だ。
機能の高い日本の携帯端末は「開発ペースを落としても、海外への輸出なども十分に可能」(三菱UFJ証券の森行眞司シニアアナリスト)だが、携帯電話事業者のビジネスモデル見直しがメーカーの競争力強化を後押しする半面、淘汰(とうた)を促す可能性も高い。(黒川信雄)
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