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新型インフルエンザ:発生監視へ医師派遣 外務省、インドネシアに

 新型インフルエンザの発生が心配されるインドネシアで、患者発生を監視するサーベイランスシステムの支援事業に外務省が乗り出す。新型インフルエンザ対策で、日本が海外での患者対応にかかわるのは初めて。国立国際医療センター(東京都新宿区)の医師らを20日、現地に派遣する。国際貢献だけでなく、発生地域での実地経験を国内発生時の対応に生かす狙いもある。【関東晋慈】

 インドネシア保健省からの要請を受け、国際協力機構(JICA)が約3億8000万円の政府開発援助(ODA)を使い、同国中部の南スラウェシ州で3年間実施する。

 世界保健機関によると、インドネシアでは05年7月、鳥インフルエンザの人への感染が初めて確認された。9月10日現在の死者は112人で、世界の死者の約半数を占める。

 中でも南スラウェシ州は、鳥インフルエンザの集団発生が多発。人口が多いうえ、交通の要衝のため、新型インフルエンザ発生・拡大のリスクが高い。

 しかし、同国の監視体制は未成熟。鳥インフルエンザの最初の感染例も、原因ウイルスを特定できたのは約3カ月後。06年にサーベイランス指針が作られたが、担当者の教育や現場との連携が機能していないという。

 計画では、日本から医師5人とスタッフ1人を派遣。同州内の20県と3市に調査チームを配置し、保健所と連携して患者発生を監視、情報を共有する体制を築く。事業終了後は全33州に拡大する。チーフアドバイザーとして赴く国際医療センターの平山隆則医師(33)は「インドネシアでの早期発見は日本での被害を減らすためにも欠かせない」と話す。

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 ■ことば

 ◇サーベイランス

 「監視・調査監視」の意味。感染症サーベイランスの場合、発生状況を継続的に調査・集計することで、感染症の流行防止に役立てる。日本では戦前から始まり、99年施行の感染症法で対象疾患を定めた(現在98疾患)。これらについて患者発生や病原体などの情報を医師、保健所、自治体が共有する。過去のデータを分析することで流行予測も可能になる。

毎日新聞 2008年10月15日 東京朝刊

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