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宝塚市立病院、医師確保へ給与200万円増 兵庫
巨額の累積赤字を抱える宝塚市立病院が10月から、勤務医の手当を見直したことが14日分かった。累積赤字額が約106億円にものぼる中で、進行する医師不足に歯止めをかけようとする「苦肉の策」。緊急手術などの手当を新設し、従来の4つの手当を増額することで、18年度に県内の公立病院で最低だった給与平均を約18・5%アップさせ、医師を確保する。「将来の黒字化を目指した投資」とする病院側の思惑は吉と出るか−。
新設したのは、緊急手術を行った際の手当や麻酔医を対象とした待機手当など。緊急手術手当は4時間未満で2万5000円が、待機手当は1回3000円が支給される。従来の手当のうち、時間外手当にあたる分などを増額した。
この措置で、18年度に県内の公立30病院で最低だった1人あたりの平均給与約1260万円から、約200万円アップする。
同病院の医師の定数は92人。昨年10月には83人が勤務していたが、今年9月までの約1年間で14人が退職。10月現在で常勤医57人、嘱託医12人の計69人にまで激減した。
この影響で、今年4月から産科が休診。10月からは、夜間の救急患者の受け入れに備える当直医が4人から3人に減った。一方で、19年度に1カ月あたり約1万人だった入院患者は、20年度には約8100〜8800人となった。
手当を見直すことで、医師不足や患者数減少を食い止めるのが目的だが、同病院は19年度決算は約6億5000万円の赤字で、累積赤字は約106億2800万円にも及ぶ。20年度は、市の一般会計から計約13億7700万円を繰り入れる予定だが、手当の見直しによって、年末にも資金不足に陥る可能性がある。
市が支援を検討しているが、同病院は「医師不足に伴って患者数が減少すれば収益が余計に悪化する。資金繰りは苦しいが、将来の黒字化を目指した投資と考えている」としている。