発端 なぜかリンク先がなくなっています。 (私の検索が下手なのかもしれませんが) それで、m3.comにあるものをコピーしておきます。著作権上、問題かなとは思いますが、毎日新聞がいかに歪曲した報道をしたかの証拠として全文を残しておく必要があると考えますので、あえて、、、 −−−−−(以下引用)−−−−−− 意識不明、6時間“放置” 妊婦転送で奈良18病院、受け入れ拒否 脳内出血死亡 06/10/17 記事:毎日新聞社 提供:毎日新聞社 ID:334061 病院受け入れ拒否:意識不明、6時間“放置” 妊婦転送で奈良18病院、脳内出血死亡 ◇手術は60キロ先の大阪 奈良県大淀町立大淀病院で今年8月、分娩(ぶんべん)中に意識不明に陥った妊婦に対し、受け入れを打診された18病院が拒否し、妊婦は6時間後にようやく約60キロ離れた国立循環器病センター(大阪府吹田市)に収容されたことが分かった。妊婦は、脳内出血と帝王切開の手術をほぼ同時に受け元気な男児を出産したが、約1週間後に死亡した。遺族は「意識不明になってから長時間放置され、母体の死亡につながった」と態勢の不備や病院の対応を批判。大淀病院側は「できるだけのことはやった」としている。過疎地の産科医療体制が社会問題化する中、奈良県や大淀町は対応を迫られそうだ。(31面に関連記事) ◇県外搬送常態化 遺族や病院関係者によると、妊婦は同県五條市に住んでいた高崎実香さん(32)。出産予定日を過ぎた妊娠41週の8月7日午前、大淀病院に入院した。8日午前0時ごろ、頭痛を訴えて約15分後に意識不明に陥った。 産科担当医は急変から約1時間45分後、同県内で危険度の高い母子の治療や搬送先を照会する拠点の同県立医科大学付属病院(橿原市)に受け入れを打診したが、同病院は「母体治療のベッドが満床」と断った。同病院産科当直医が午前2時半ごろ、もう一つの拠点施設である県立奈良病院(奈良市)に受け入れを要請。しかし奈良病院も満床を理由に、応じなかった。 医大病院は、当直医4人のうち2人が通常勤務をしながら大阪府を中心に電話で搬送先を探したが決まらず、午前4時半ごろ19カ所目の国立循環器病センターに決まったという。高崎さんは約1時間かけて救急車で運ばれ、同センターに午前6時ごろ到着。脳内出血と診断され、緊急手術と帝王切開を実施、男児を出産した。高崎さんは同月16日に死亡した。 大淀病院はこれまでに2度、高崎さんの遺族に状況を説明した。それによると、産科担当医は入院後に陣痛促進剤を投与。容体急変の後、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の妊婦が分娩中にけいれんを起こす「子癇(しかん)発作」と判断し、けいれんを和らげる薬を投与した。当直の内科医が脳に異状が起きた疑いを指摘し、CT(コンピューター断層撮影)の必要性を主張したが、産科医は受け入れなかったという。 緊急、高度な治療が必要な母子について、厚生労働省は来年度中に都道府県単位で総合周産期母子医療センターを指定するよう通知したが、奈良など8県が未整備で、母体の県外搬送が常態化している。 大淀病院の原育史院長は「担当医が子癇発作と判断して処置した。脳内出血の疑いも検討したが、判明しても対応しようがなく、診断と治療を対応可能な病院に依頼して、連絡を待っていた。ご遺族とは誠意を持って対応させていただいている」と話した。一方、高崎さんの遺族は「大淀病院は、脳外科を備えながら専門医に連絡すら取っていない。長時間ほったらかしで適切な処置ができていれば母体は助かったはずだ」と話している。【林由紀子、青木絵美】 ◇「確認可能なはず」 妊婦が意識を失った場合、子癇発作と脳内出血の差はどう判別されるのか。県立医大の小林浩・産科婦人科教授によると「いずれもけいれんを起こし、普通どちらなのかは判断できない」という。一方、別の産科医は「頭痛があり、妊娠高血圧症候群がないなら、脳内出血を疑うべきだ。病院内にCTがあるなら、確認は可能だったはず」と話す。 遺族は「脳内出血を疑う情報が、転院依頼先の病院に伝わっていれば、次々と断られることはなかったのでは」と訴える。 −−−−−(引用ここまで)−−−−− 「意識不明、6時間“放置”」。 すごいインパクトのある見出しです。 そして、内容もあることないこと歪曲して悪者を作り上げ、さらに悲しみに沈む遺族とその遺族による担当医や病院への非難、といういかにもというパターン。 (最後の部分を見てください、実名を出している人のコメントと「別の産科医」という誰か分からない人のコメントの違いを。本当にそんなコメントをした産科医がいたんでしょうか?) で、「ひどすぎる、この日本でこんなことが行われたのか、誰がやったのだ、やったやつはつるし上げだ!!」、たぶん、この記事を読まれた一般のかたは、多くがそう思われたでしょう。事実、ワイドショーでは出演者が関係者をたたきまくっていました。 お笑いだったのは、医療ジャーナリストを自称しているが実際は写真家とかいう人を引っ張り出してきて、医者たたきをやらしていたことです。この人に「子癇とは、これこれで」と解説させているんですから、これが笑わずにおられるでしょうか? しかし、事実経過はかなり違うようです。 m3.comに関係者から入手したと思われる事実経過の情報が書き込まれていました。それによると、かなり違うのです。それが分かってきたのでしょうか、「6時間“放置”」というのはやらなくなった。6時間放置などしていないのです。また、「当直の内科医が脳に異状が起きた疑いを指摘し、CT(コンピューター断層撮影)の必要性を主張したが、産科医は受け入れなかったという。」というのも嘘のようです。 (毎日がリンク先を削除したのかどうか分かりませんが、もししたのなら、自分の記事に責任がとれなくなった可能性がある) −−−−−(ここから引用)−−−−− 報道されている内容について 投稿者: 近畿産婦人科学会会員 近県の者ですが、詳細な情報を入手しました。 患者さんは予定日超過で入院し、入院当日からPGE2の内服で分娩誘発されていて、当日の午後に服薬を終了、自然に経過観察していたところ、準夜帯から自然陣発したとのことです。ところが、午前0時頃に突然意識消失のような症状が出現したため、産科当直医が院内の内科当直医に診察を依頼し、内科医の診察を受けました。 内科医が対光反射や一部の神経学的所見を診たところ、意識レベルが低い(痛み刺激には反応あり)ものの他の異常所見が無く、また陣痛発作時には産婦が声を上げて痛がるなどしたため、産科医と内科医で「陣痛発作に伴う失神だろう」と判断したとのことです。この際に「内科医がCT検査を行うことを主張したが産科医が拒んだ」などと報道されていますが、両者の間でそんな押し問答のようなやりとりはなかったようです。その時点では血圧は正常で、子宮口も4cm程度開大していたため分娩経過を診ることになり、産科医 は当直室に戻ったとのことです。 しかし、その約1時間半後に痙攣発作が生じ、この時点では血圧が180前後まで上昇していたため、産科医が子癇発作と判断し、マグネゾールを静注して奈良医大病院に搬送を依頼ました。ところが、奈良医大の産科病棟が陣痛待機室のベッドまで入院患者が溢れるほど満床であったため受け入れることができず、また、容易に搬送先が見つかりませんでした。大淀病院の産科医の先生はいつでも搬送できるよう、今か今かと「受け入れ先が見つかった」との連絡を待ちわびていたらしく、CT検査ももちろん考えたようですが、( 今、患者を動かして再発作を起こしたら母児ともに危険かもしれない)(CT検査に行っている間に搬送先が見つかったと連絡が来るかもしれない)など考えて躊躇されたようです。苛立つ家族に囲まれ、産科医自身も大阪の高次医療機関に数件電話するなどしたようですが、全て断られたとの事でした。最終的に搬送先が見つかったのは、搬送を申し入れ てから二時間余り過ぎた後でした。 聞けば聞くほど悲しい内容です。報道では、かなり産科医を悪辣に糾弾しておりますが、このような経過では同情を禁じ得ません。一番の問題は、受け入れるベッドの絶対数が奈良県では不足していることにあるように思います。刑事事件へと進展しそうな気配ですが、このような例が刑事訴追されることを、我々は容認してはいけないと思います。 −−−−−(引用ここまで)−−−−− 別の人のメッセージ。 内容はほぼ同じ。 −−−−−(ここから引用)−−−−− 見解の相違 投稿者: 一二産科二二産科 ソースが確実なきょう聞いた話。 当夜の当直は外科系は整形外科医、内科系は内科医、産婦人科は奈良医大から派遣の当直医。 患者さんは午前0時に頭痛を訴えて失神、ただ痛みに対する反応(顔をしかめる)はあった。産婦人科当直医は念のため内科当直医に対診を依頼、内科医は「陣痛による失神でしょう、経過を見ましょう」ということになった。しかしその後強直性の痙攣発作が出現し、血圧も収縮期が200mmHgになったので、子癇発作と判断、マグネゾールを投与しながら産婦人科部長に連絡した(引用者訂正、この部分は間違いだそうです、大淀病院は一人部長で、この日はその部長が当直していた、後のメッセージで訂正されています)。部長は午前1時37分、連絡してから約15分程で病院に到着。以後二人で治療にあたったが、状態が改善みられないため、午前1時50分、母 体搬送の決断を下し、奈良医大へ電話連絡を始めた。 午前2時、瞳孔散大を認めるも痛覚反応あり。血圧は148/70と安定してきた。この時点で頭部CTも考慮したが、放射線技師は当直していないし、CT室が分娩室よりかなり離れたところにあること、患者の移動の刺激による子癇の重積発作を恐れ、それよりも早く高次医療機関をさがして搬送するほうがよいと判断、電話をかけ続けたが、なかなか 搬送先がみつからない。 午前2時30分、産婦人科部長が家族に状況を説明、そのあいだにも大淀病院の当直医や奈良医大の当直医は大阪府をふくめて心当たりの病院に受け入れ依頼の電話をかけつづけた。家族はここで「ベビーはあきらめるので、なんとか母体をたすけてほしい。ICUだけがある病院でもいい」と言ったので、NICUを持たない病院にまで搬送先の候補をひろげ、電話連絡をとろうとした。家族も消防署の知り合いを通じ、大阪府下の心当たりの病院に連絡をとって、受け入れを依頼した。この頃には産科病棟婦長 (助産師)も来院、手伝いはじめてくれた。大淀病院看護師OGで患者さんの親戚も来院し、多くの人が集まり始めた。けれども受け入れてくれる施設が見つからない。担当医は当直室(仮眠室)から絶望的な気分になりながら電話をかけ続けたし、大学の当直医は大学の救命救急部門にまで交渉に行ったが子癇は産婦人科の担当で、我々は対処できないと言うことで受け入れ拒否された。午前4時30分、呼吸困難となり、内科医が挿管したが、その後自発呼吸ももどり、サチュレーションは98%と回復した。その後すぐに国立循環器病センターが受け入れOKと連絡してきたので、直ちに救急車で搬送した。患者さんは循セン到着後CT検査等で脳内出血と診断され、直ちに帝王切開術と開頭術をうけたが、生児は得られたも のの脳出血部位が深く、結局意識が戻らないまま術後8日目の8月16日死亡された。 仮眠する暇などあったと思いますか。 地獄のような深夜の分娩室や当直室の雰囲気がひしひしと感じられますね。 奈良県警さん、誰を逮捕するんですか。また病院長さん、産婦人科には門外漢なんだから、誰か産婦人科専門医に相談して記者会見して下さい。 なんだか福島の事件にそっくりの展開になってきました。 新聞報道とはずいぶん違うでしょ。 −−−−−(引用ここまで)−−−−− 2番目のメッセージの訂正 −−−−−(ここから引用)−−−−− 続見解の相違の訂正 投稿者: 一二産科二二産科 だらだらと書きすぎ多くの人に誤解を与えたようなので簡潔に書きます。 1.主治医=担当医=産婦人科部長で、当日の産科当直は産婦人科部長ただ一人でした。産婦人科部長に連絡したというのは、院内(部長室か当直室でしょう)にいる産婦人科部 長に連絡したということです。お詫びして訂正します。 2.当直の内科医と産婦人科部長の間でCT撮影について議論した事実はなく、当該内科医もそんなことは言っていないし、カルテにもこれに関する記載はない。 3.奈良医大に搬送受け入れを要請したとき、大学当直医は緊急帝王切開で手術室にいた。 4.マグネゾールで痙攣はおさまり、以後投与中は痙攣の再発はなかった。 5.CTGは入院の全経過中ほとんど装着しており、患者には担当の助産師がほとんど付き添っていた。 6.カルテのコピーは病院側から報道陣にあらかじめ配布されたらしい。報道サイドは看護記録の経過をもとにストーリーを作っているが、カルテの内容については専門的で、t echnical termもあり、十分に把握していない。 7.患者家族の親戚に当たる勤続50年近かった元総婦長が病院側と患者家族の橋渡し役(スポークスマン?)になっている。 以上です。ここに訂正してお詫びします。 −−−−−(引用ここまで)−−−−− 上記の情報をまとめられた人のブログがあります。私がまとめるより遙かによくできているので、ここのブログを読んで私はまとめる意欲がなくなってしまった。それで手抜きですが、、、 なお、これだけは言っておきます。 近畿産婦人科学会会員という人と一二産科二二産科という人のメッセージは、医者である私が読んで、矛盾点を指摘できません(一方毎日の記事はつっこみどころ満載)。その上、読んでいて、その場にいるような臨場感さえ感じました。つまり、私には信用のおける内容だということです。少なくともおかしい部分はない。 http://sword.txt-nifty.com/guideboard/2006/10/_5_1ebe.html 奈良産科転送事件続報 5 じっくり読んでみて下さい。 毎日の記事がいかに歪曲されているものか、それも悪意を持って歪曲したとしか思えない、そのような記事だと分かるでしょう。 なお、このニュースは毎日のスクープのようです。 そして、この事件を毎日にリークしたものは、どうも大淀病院関係者のようです。 −−−−−(ここから引用)−−−−− 続見解の相違2 投稿者: 一二産科二二産科 3.カルテの看護記録に、わざわざ、すでに退職した元総婦長が来院したと記載あり。(死亡した患者さんの大叔母か祖母にあたる人のようだが離婚しており、関係は不明) 勤続50年だったそうで、病院長とも長い付き合いで、ツーカーの仲だったという(元看護婦の証言)。産婦人科部長とも旧知の仲だったが、産婦人科部長は、退職後も口をはさみに着たりするこの人物(70歳前後か?)を快く思っていなかったようだ。実際最初の書き込みにも書いたように、彼女自身が消防署員などから病院のリストを手に入れ、搬送受け入れについて多くの病院に連絡している。この人物から多くの病院側情報などがマスコミに漏えいし、今回の騒動を仕組んだ可能性がある。大淀病院のスタッフの間では有名 人。 −−−−−(引用ここまで)−−−−− なんか裏にありそうです。 |
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タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
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奈良産科転送事件続報 5
キーワード 奈良県、大淀病院、産科、産婦人科、子癇、転送、搬送、放置、脳内出血、 ...続きを見る |
道標 Guideboard 2006/10/21 21:34 |
内 容 | ニックネーム/日時 |
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脳内出血の部位についての情報です。 |
院長 2006/10/22 00:53 |
私は最初から疑問に思っているのですが、このケース、本当に脳内出血なんでしょうか? |
院長 2006/10/22 00:56 |
CTをとっておろうがいまいが、この症例の予後に変わりはない。 |
院長 2006/10/22 00:57 |
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