勝負の世界に「もし、こうだったら」の仮定の話は禁物とされる。だが、もし阪神がプロ野球日本一になっても、岡田監督は辞任するのだろうか 大差をつけて首位を独走してきたチームが、土壇場でセ・リーグ優勝を逃した。屈辱の責任をとっての辞意、と報じられるが、まだ日本一になる望みが断たれたわけではない 2、3位でも日本シリーズ出場の資格が得られる奇妙な「敗者復活」の仕掛けが、今のプロ野球にある。最後まで興行を盛り上げたいという、そろばん勘定から生まれた。昨年も巨人がリーグ優勝したが、日本一の座は2位の中日にかすめ取られた 勝負事は、常に強者が勝つとは限らない。寝耳に水だったテロ支援国家の指定解除は、超大国・米国が世界の最貧国に屈したような出来事である。いったんはご破算に見えた指定解除が、核を振り回す北の「瀬戸際戦術」で復活してしまった 勝負事は、げたを履くまで分からない。げたを履いても、なお分からないのが国際政治かもしれない。プロ野球の世界は、そんな複雑怪奇さとは無縁であってほしいが、雲行きは何やら怪しい。
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