冬を前にクローバーやオオバコに目をつけたらしい。今日も山の方向へ帰って行った=大間町大間
本州最北端の青森県・大間崎近くに14日、立派な角の雄鹿が現れた。駐車場近くのテントサイトで、草をはむ姿に観光バスで訪れたツアー客も「自然豊か」と大喜び。
だが、青森県ではニホンカモシカは生息しているが、シカは絶滅種。この春、大間町内で「幻のシカ」が確認され、町民の間でうわさになっていた。エゾシカが海流に乗ってやって来た? などと謎を呼んでいたが、2日前からは岬周辺に出没していた。
4尖(せん)の角をもつ成獣で、体が比較的小さいことなどからホンシュウジカと見られている。青森県のレッドデータブックでは「県内では1910年代に絶滅した」とされ、施設などで飼われていた個体が北上したらしい。海までは約100メートル。津軽海峡のブラキストン線(生物分布境界)を渡りたかった?!
岬で食堂を営む男性(53)は「マグロに続く名物にしよう」と笑う。毎日山へ追い立てられてしまうが、「明日もきっとやって来る」。