ネットブックも多様化の時期に入るのかもしれない。Eee PCの成功で自信をつけたASUSTeKが発表したのは、薄くて軽くて格好良いという「Eee PC S101」だ。そういうのは、Mac Book Airを始めとする付加価値の高い高級機種の特徴なのだが、それを699ドルで売るという。恐るべき量に裏付けられていなければ不可能な数字だ。
ただし、そういう方向に行って良いのかという疑問も感じる。もっと実用性重視で良いのではないかと。なんというか軽自動車が無理矢理スポーツタイプのモデルを作っているような無理を感じるのだ。どうせ作るなら格好良いものをというのはメーカーのサガだが、外注デザイナーを使うようになって、市場と合わない気取った製品を多発して凋落した例もある。ぜひ、ベーシックな製品にも力を入れてほしいものだ。
ちなみに、今回Windows XP搭載機のみSSDが16GBと小さい。MicrosoftのULCPC規定によるものと推定されるが、もうHDDは160GBまで許しているのだからSSDの制約もゆるめるか、いっそ無くしてしまえば良いと思う。いまのままでは、Microsoftは、業界の発展を阻害する、単なる保守的な既得権者にしか見えない。端から見ていてとても格好が悪い。
ネットブックが低価格で買える理由は、CPUやOSがネットブック用の特別製品であり、特別な低価格になっているからだというのが通説だ。
つまり、OSで言えば、単なるDSP版のWindows XP Home Editionよりも、ULCPC版のXP Homeの方がずっと安いライセンス料になっているらしい。
だがしかし、安いものが好きなのは個人だけではない。しかも、この奈落へ墜落しつつあるような景気のなかでは、企業だって少しでも経費を削りたい。どうしても安いモバイル端末がほしいがWindowsはXP Professionalの機能がいる、という要望も多いという。というわけで、ネットブックにDSP版Windows XP Professinalという組み合わせの製品を作るメーカーもでてきたわけだ。
ULCPC版HomeからDSP版Professionalの差額が2万円というのは、かなりバーゲンだと思う。ただ、Microsoftにとっては、あまり面白くない現象であることも間違いない。あきらめてULCPC版Professionalを出せば良いのにというのは外野の声であって、それならVista Businessを買ってダウングレードしてくれというのがMicrosoftの言い分だろう。でも、それでは差額が2万円ではすまないだろう。