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特殊部隊員死亡の訓練、遺族に「異動のはなむけ」と説明(1/2ページ)

2008年10月14日

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写真「遺族に申し訳ない」と謝罪する杉本正彦・海自呉地方総監=13日午後5時10分、広島県呉市の海自呉地方総監部、加戸靖史撮影写真3等海曹が訓練中に頭を強打し、その後死亡した海上自衛隊第1術科学校の体育館=14日午前、広島県江田島市、本社機から、日置康夫撮影写真陸上自衛隊の徒手格闘大会の競技光景。ルールや防具は海自も共通しているという=07年2月27日、香川県善通寺市

 広島県江田島市の海上自衛隊第1術科学校で起きた3等海曹の死亡事件で、海自側は訓練について遺族に「異動のはなむけ」と説明した。転出直前の15対1の異例な対戦に、遺族の疑念と悲しみが募る。

 徒手格闘訓練は、空手と柔道を合わせたような自衛隊独特の格闘技で、防具やグローブを着用するが、実戦を想定し、「軽いけがは珍しくない」(自衛隊幹部)という。特別警備隊の養成課程では7月にも、課程をやめる直前の隊員が16人を相手にして、歯が折れるなど顔を負傷した。

 海自地元トップの杉本正彦・呉地方総監は13日、報道陣に対し、「優秀な隊員を失い残念」と述べる一方、「事故」との見方を強調した。しかし、海自幹部の1人は、15対1という対戦は「隊内でも聞かない」という。

 「(養成課程を)辞めるからといって、なぜ15人で殴る必要があったのか」。3等海曹の父親(51)は13日、愛媛県内の自宅で海自側の対応への不信感を口にした。訓練で息子が倒れた日から1カ月以上たっても、海自側からは十分な説明を受けていない。海自側が訓練について「(異動の)はなむけだった」と父親に説明したことも、集団暴行だったのではないか、という疑念を強めている。「事実を隠すために時間を稼いでいるとしか思えない。非を認め、ちゃんとわびてほしい」と訴えた。

 3等海曹は5歳から地域のスイミングスクールへ通い、海と水泳が大好きだった。中学を卒業するころには海上自衛隊へのあこがれを強めていたという。高校2、3年では生徒会副会長を務め、他の生徒からの信頼も厚かった。海自入隊が決まっていた高校の卒業式では、同級生を喜ばせようとして「何かあったら海自から助けにくるけん」と笑顔で話していたという。

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