みなさまに
以下の文面<キャンディ事件の現状について>は2年ほど前から<事件>について問い合わせのあったマスコミ各社に送っていた文書です。
(<水木注>とあるところは、2006年1月16日に書き加えました。)
みなさまにはご心配、ご協力をいただきながらそのままにしていたことお詫びしなくてはなりません・・・。
水木がこの件について話せば、結局、非難と嘆きになってしまうことが切なく、なるべくなら自然な形で静かに事がおさまることを願っていました。
しかし、いがらし氏はどうしても判決に納得がいかないらしく、最高裁判決から4年もすぎた今でも、相変わらず水木への誹謗中傷を繰り返しています。聞くたびに耳に熱湯を注がれる思いです。
キャンディのマンガ作品を愛し、忘れずにいてくれる読者の方たちの事を思うと、いたたまれず、原作者としてどうすればいいのか・・・苦悶は去りません。(これからも、ずっと。)
しかし、このような状況では水木は自分の気持を偽ってまで、マンガに手を差し伸べることはできません。水木の平安はもう見るのさえ苦痛になってしまったあのマンガの<絵>から遠ざかることしかないのです。
読者の人たち、ほんとうにごめんなさい・・・。
2006年1月17日 水木杏子
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キャンディ事件の現状について
7年間に及んだこの事件は、<著作権問題>にすりかわってしまいましたが、わたしは<詐欺>相当の事件だったと判断しております。
<著作権事件>としてみれば、判決が確定したのに何故、原作者は出版などを拒否しているのか、不可解に思われるのも当然かもしれません。
しかし、<未だに解決していない詐欺事件>として、考えていただければ、とても作品を生かせる状況ではないと、少しはお分かりいただけるかと思っています。
判決後も、事件になった多くの不正について求めてきた情報開示には何の回答もなく(むろん謝罪も、賠償金でさえ未払いを残す)現在(2004年 4月)も倉敷、山中湖美術館<水木注 2005年3月閉館。倉敷美術館は2005年9月提訴。>で不正はつづいています。
昨年(2003年)には韓国の中堅どころの出版社から<ハードカバーの漫画>が出版されました。この春(2004年 4月現在)になっても韓国であふれんばかりのグッズがみつかっています。
今までの事件の流れと人脈から(香港、韓国、中国ルート)、アジア、ヨーロッパなど海外で現在に至るまで次々に発覚している<出版、グッズ、DVD>などについても、いがらし氏がおこした香港の会社<キャンディ・コーポレーション>等が関わっていると疑わざるを得ません。
そんな数々の疑念、問題がきれいに解決しない以上、<汚いものに蓋>をしたまま、作品を生かせるわけがありません。事件はまだ終わっていないのです。
また、いがらし氏は<原作を書いていない>と裁判中も(それ以前からの発言とも発覚)原作者否定をし続け、最高裁判決後でさえもその<名誉毀損的発言>を継続していることがわかっています。
2004年4月には京都の精華大学芸術学部教授であり漫画家協会理事の牧野圭一氏やマンガ学会理事、長谷邦夫氏、牛木理一氏<水木注 “この事件に群がる学者たち”参照>などがこの事件の検証もせずに、いがらし氏の片棒をかついでフォーラムまで開催しています。京都、精華大学マンガ文化研究所主催により開かれた<いがらし氏援護のフォーラム>は人を集めて二日間にも及び、<原作者否定>を広めたと聞いています。
<水木注 この件は扶桑社の『SPA』(2004年6月8日号)で竹熊健太郎氏が取材、テキストを書いています。竹熊氏は水木にも取材を申し込まれ、電話で受けました。精華大学において欠席裁判をされた水木にも話を聞くべき、と判断した編集部や竹熊氏のおかげで一方的な記事を書かれずにすみました。また、後日フォーラムを聞いた人に<名誉毀損に当たると思うので証拠として“精華大学”に抗議、テープを求めた方がよい、との助言を受けましたが水木自身の精神衛生上よくないので、そのままにしています。それに、事件の検証もせず、一方的に水木を貶めることがいっそう作品の再生を阻んでいることにさえ気がつかないような人々(しかも、若者を育成する大学も)を相手にすることがバカバカしくもありました。>
<なぜ、出版できないのか>それはいがらし氏の内にこそ、回答があるはずです。
また、わたしにとって一番の弱みである<読者>のことを必ず楯になさるのは、卑怯というものでしょう。この事件の内実をよく知る純粋な読者なら、<汚れたままのキャンディなどみたくない>というはずです。出版できなくしたのは誰なのか、お考えいただきたいものです。
多くの読者の支持を得、たくさんの人が関わり、またなにより自分の大事な分身でもある作品の出版をあきらめなくてはならない・・・。
それがどんなに辛い決断だったか、それでもそうせざるを得ない状況を少しでもご理解いただけたら、と願っています。
付記
以上が<キャンディ事件>について問い合わせがあったときマスコミ各社にお渡ししていた文書です。
今回(2005年秋)『封印作品の謎』の著者、安藤健二氏の取材を受けました。その際、再度深く考えました。そして、簡単に<封印>という言葉を使った自分を恥じています。
確かに今まではこれも<封印>の範疇かもしれないと甘んじていましたが、この言葉を使うと、あたかも原作者、水木の意志で封印されてしまった、と受け取られることを取材を受けて強く感じ、冷水を浴びされた思いがしました。
この事件は、水木サイドの初動ミスによって<詐欺事件>が<著作権侵害事件>にすりかえられてしまいました。あたかも<著作権問題>について論議されたような結果を招いてしまい自らの愚かさとはいえ残念でたまりません。
また、その問題を正当化せんといがらし氏の弁護士、取り巻きの漫画家や漫画評論家たちが画策しています。
この漫画作品はそういった人たち(この事件を検証しようともしない、また作品を本当に愛しているともいえない)によっていっそう暗闇に追いやられているのであって、<封印>とは全く意味が違うことを少しでも理解していただけたら、と願っています。
また、本が出ない、といわれますが、いったいどこの出版社がこの問題の多い作品を出版してくれるでしょうか。
2006年現在まで、しつこく出版を求めてきたのはコンビニでしか販売しない(マンガジャパン元事務局長の原氏が関わっている)出版社ともいえないところだけでした。
まともな出版社なら道義的にも事件がきちんと解決しない以上、出版は控えるはずです。
水木は講談社以外、許可しないつもりですが、その版元、講談社でさえ問題がきれいに解決しない限り、出版することはないでしょう。
水木杏子