日刊ゲンダイ本紙を脱帽させた優勝巨人の伏兵4人
巨人が2年連続のリーグ制覇を達成した。日刊ゲンダイ本紙では5月20日付の紙面から、「巨人が絶対に優勝できない100の理由」と題し、94回にわたって巨人が抱える問題点を追及、不安要素を指摘してきた。カネに飽かせて獲得した圧倒的な戦力を擁しながら、ヤクルトとの開幕カードに3連敗。一時は首位の阪神に13ゲームもの大差をつけられた。その間、ベンチの采配ミス、覇気のない選手のプレー、決して少なくないチーム内の不満や火種も露呈。それらを、叱咤(しった)激励の意味も込め、時に球団の怒りを買いながらも、回を重ねてきた。
が、巨人はそれらのマイナス要素をはねのけ、後半戦に入って怒涛の快進撃。ヘボ阪神の失速もあったとはいえ、セ史上最大の逆転劇を成し遂げた。それを可能にしたのは、日刊ゲンダイ本紙も、恐らく原監督も見抜けなかったであろう、若手、脇役の活躍だった――。
●血ヘドにまみれるトレーニング≪鈴木尚広(外野手・12年目)≫
14秒台でトップクラスといわれるベース1周(塁間は27.43メートル)を13秒33で駆け抜ける。
「今は多分、もっと速いと思う。直線ならボクより速い選手はいるかもしれないけど、ベースランニングは誰にも負けない自信がある。自分がどこまで速く走れるのか。怖くなるときがある」
絶対的な自信を持つ俊足を武器に、今季はリーグ5位の28盗塁を記録。7月18日の横浜戦から「1番・中堅」に定着すると、巨人の野球が明らかに変わった。
快速を生かした守備で投手陣を何度も助け、攻撃のバリエーションも格段に増えた。鈴木尚が、チームの顔でもある高橋由を追いやってレギュラーをつかんでからの巨人の勝率は、40勝18敗1分けで驚異的な.690。非力だと言われ続けた打撃でも打率.305と成長を見せつけ、いずれも勝敗に直結する貴重な3本塁打も放った。
「春のキャンプのときです。昨年96試合に出場した鈴木尚の起用法について、原監督に聞いた。すると、『鈴木の1番? 痛がりだからねえ』と故障がちを皮肉ってけんもほろろだった。原監督だけでなく、誰も期待していなかったと思います」(巨人OB)
そんなひ弱なイメージを払拭(ふっしょく)するために、本人は陰で猛烈な努力を積んだ。年俸がまだ600万円だった時代から、生活費を切り詰めて個人トレーナーと契約。
オフには前夜の食事を吐いてしまうほどのトレーニングを行い、好きな酒もほとんど口にしなくなった。
「うれしすぎて、涙も出てこない」
貢献したと実感できる初めての優勝に、鈴木尚の笑顔は絶えなかった。
●バネにした1年目の失笑≪越智大祐(投手・3年目)≫
「なんだ、アレ!?」
早大から05年のドラフト4巡目で入団。1年目の春季キャンプでブルペンに入ると、二軍のコーチや選手、報道陣から笑いが起こった。
下半身が突っ立ち、上体だけで投げるギクシャクした投球フォーム。150キロの剛速球を投げる本格派の触れ込みは、一日で物笑いの種になった。
しかも、大学の単位が取れず、プロ1年目は学生との二足のワラジ。愛媛の新田高から推薦で進学したため、中退すると母校の推薦枠が取り消されるという事情があったとはいえ、チーム関係者にも「何を考えてるんだか」と呆れられた。
1年目のオフには背番号35が62に“降格”。昨年まで一度も一軍登板機会がなかったそんな戦力外候補生が、一気に花を咲かせた。
初の開幕一軍メンバーに入ると、敗戦処理から勝ち試合のセットアッパーに出世し、阪神の久保田と並ぶリーグトップの68試合に登板。防御率2.40の活躍は、誰にも想像できるはずがなかった。
●ジャイアンツは天国です≪山口鉄也(投手・3年目)≫
ここまで(10日現在)66試合に登板し11勝(2敗1S)。すべて中継ぎ登板で2ケタ勝利を挙げたのは球団史上初。グライシンガー、内海に次ぐチーム3番目の勝ち星を挙げる。
米マイナーリーグ出身の逆輸入投手。育成選手からのし上がった。層の厚い巨人では異例のことだが、原監督、尾花投手総合コーチの信頼は絶大。先発転向の構想もある。
チーム内では「ぐっさん」と呼ばれ親しまれる。3年目の今季、「寮を出てもいい」と球団から許可が出たが「まだ早い」と断った。
「最高の環境」というトレーニング施設完備のジャイアンツ寮に残ることに決め、坂本をマイカーに乗せて球場に通っている。
●超プラス思考の19歳≪坂本勇人(内野手・2年目)≫
3月28日の開幕戦。巨人では94年の松井以来14年ぶりとなる10代開幕スタメンを勝ち取った。この時、19歳の若武者がシーズン最後まで生き残ると何人が想像しただろう。それでも坂本は優勝を決める143試合目までラミレスとともに全試合スタメン出場。周囲は「切り替えが早い」と驚くが、意外にも繊細な一面があるという。
10日現在、リーグワースト2位タイの15失策。開幕当初はエラーをするたびに落ち込んでいたという。痛恨の失策を犯した試合後、ある選手がこう言って励ました。
「ゴールデングラブを5回も取った田中幸雄さん(元日本ハム)は2年目は25個もエラーしたんだ(リーグワースト)。それに比べれば、今のハヤトはうまい方だ」
坂本は「25個ッスか?」と目を輝かせたという。気が楽になった坂本の守備力は格段にアップ。正遊撃手へと成長した。
●「きみたちみたいな人がいるから、ファンがいろいろな話を知れる」≪原監督≫
優勝決定前日の9日、原監督は日刊ゲンダイ本紙記者にこう言った。
「94回も(連載を)やったのか!? で、もう終わっちゃうの? まだ、優勝するか分からないじゃないか」
が、その表情は満面の笑み。当日の横浜戦には敗れたが、優勝を確信したかのような顔だった。
連載では、原監督の求心力や采配を問題にすることも多かった。
それでも、「きみたちみたいな人がいるから、ファンがいろんな巨人の話を知ることができるということもあるからね」と、余裕で受け流した原監督。
神宮球場で8度、宙を舞ったこの日は、目を真っ赤にして「最後まで諦めずに戦ってくれたスゴイ選手たちが歴史、伝説をつくったと思う。選手たちの強さに引っ張られた」と話したが、これでまだ終わりじゃない。昨年は、クライマックスシリーズで中日に3連敗の赤っ恥をかいた。その先の日本シリーズも含め、原監督の厳しい戦いは続く。
(日刊ゲンダイ2008年10月11日掲載)
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分かるのがいいですね。海外の試合でジュニアの皆とコミュニケーショ
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遼くんが今も学んでいる英語とは