民主党の前田雄吉衆院議員(比例東海)が代表を務める政治団体が05~06年の間、経済産業省が特定商取引法違反で業務停止処分にした東京都港区のマルチ商法業者から計80万円の講演料を受けていたことが14日、分かった。前田議員は業界団体からも政治献金を受けた一方、国会で業界を擁護するような質問をしていた。前田議員は14日、講演料を返還する意向を表明した。
前田議員が代表を務める資金管理団体「未来政策研究会」と「民主党愛知県第6区総支部」の政治資金収支報告書によると、前田議員は東京都港区の「ドリーム・オブ・トータル・コミュニケーション」から「支部」が05年4月に50万円、「政策研究会」が06年12月に30万円の講演料を受け取っていた。また、業界の政治団体「流通ビジネス推進政治連盟(現・ネットワークビジネス推進連盟)」から03年に100万円、05年8月に50万円の献金を受けていた。
トータル・コミュニケーションは化粧品や健康食品などのマルチ商法で、経産省が07年11月、勧誘の目的を隠したり、「絶対にもうかる」などとして誘っていたとして、3カ月間の業務停止命令処分にしていた。
ネットワークビジネス推進連盟のホームページによると、前田議員は同連盟のアドバイザー。前田議員は04年3月の衆院予算委第7分科会で、マルチ業界について「ごく微々たる少しの悪質な業者がいる。これを厳格に取り締まって、このネットワークビジネスにまじめに汗している皆さんがばかを見ないようなな警察行政を行っていただきたい」などと質問するなど、計4回、業界に関する質問をしている。
前田議員は愛知県出身で、当選3回。前回の総選挙で愛知6区から出馬し、比例東海ブロックで当選した。現在は同党愛知県連副代表。
前田議員の愛知県春日井市の事務所は「本人とは連絡取れず、事務所ではコメント出来ない」と話している。前田議員は自身のホームページで「業界に厳しい言葉も述べており、擁護をしているわけではありませんし、全マルチ業者を肯定しているわけではありません。しかし、業務停止命令を受けた会社からの講演料をいただいておりました。講演を行った時点では業務停止命令を受けていなかったとはいえ、全額返金させていただきます」などとコメントした。【月足寛樹、丸山進】
毎日新聞 2008年10月14日 12時46分(最終更新 10月14日 14時22分)