一方、東京都内にある外資系のマルチ商法関連会社は06年4月、業界で組織する「ネットワークビジネス推進連盟」からあっせんされ、販売員向けのイベントに前田議員を招き、講演料として同議員の資金管理団体「未来政策研究会」に30万円を支払った。
この会社の担当者は前田議員について「ネットワークビジネスは悪い面が強調されている。そういう業界に目を向けてくれている。業界としてはありがたい存在」と話す。
別の会社の幹部は、前田議員が業界を擁護する内容の著書を07年4月に出したことを評価する。「会員組織って、自分たちを援護してくれる本を書いてくれることには敏感なんですよ」と打ち明ける。同社は出版記念の講演会を前田議員のために催し、講師として招いたという。
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〈マルチ商法(連鎖販売取引)〉 購入者が販売員にもなって、新たな購入者を増やす販売方法で、ピラミッド型に販売網が広がりやすい。業界内部ではネットワークビジネスと称している。経済産業省の把握する業者数は約280社で、年間総売り上げは約1兆円(06年度)。
金銭の配当だけを目的として無限に会員を集める「ねずみ講」とは違い、マルチ商法は商品やサービスを提供するため合法とされる。ただ、目的を告げない勧誘や品質などでうそをつくと、特定商取引法違反となる。
マルチ業者に対して、経産省は07年度に同法違反で業務停止など9件の行政処分を出した。全国の消費生活センターに、マルチやマルチまがいの取引をめぐって寄せられた相談・苦情は、同年度は2万4261件。