現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 社会
  4. その他・話題
  5. 記事

北海道・奥尻島でワイン工場稼働 来春の発売目指す(1/2ページ)

2008年10月14日7時0分

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真収穫したブドウの仕込み作業をする従業員ら=檜山支庁奥尻町湯浜の「奥尻ワイナリー」

 日本海に浮かぶ奥尻島で、島で栽培されたブドウから初めてワインを作る工場が完成し、稼働を始めた。北海道南西沖地震の津波で大きな被害を受けてから15年。公共事業の減少などで島の経済が低迷する中で、新たな「奥尻ブランド」の商品として、来春の発売を目指す。

 島西部の神威脇(かむいわき)地区に建つワイン工場は2階建て、延べ床面積1460平方メートル。1〜8トンのタンク40基を備え、総事業費約5億円をかけて9月末に完成した。稼働初日は、従業員が収穫したばかりのブドウを大きな受け皿に投入、機械で破砕する仕込み作業が行われた。

 ワイン造りを手がけるのは、島内最大手の海老原建設の海老原孝社長(54)。工場を経営するのは、海老原さんが役員を務めるグループ会社の「奥尻ワイナリー」だ。

 海老原さんがワイン造りを思い立ったのは、もともとワインが好きだったのと、建設会社の将来を考えてのことだった。93年の地震後5年ほどは「復興特需」に沸き、ピーク時の受注額は20億を超えた。だが、公共事業の減少などに伴い、現在は10億円前後に。

 「いずれ公共工事が減るのは分かっていた。だが社員のリストラはできない」。島内の遊休農地の活用と年配者も従事できる農作業であることを考慮し、99年、ヤマブドウの栽培を始めた。最初の2年間は天候と土壌調査を行い、01年にはワイン専用種を植えた。建設会社の従業員2人を道内のワイン会社に「修業」に出した。

 思わぬ自然災害もあった。04年に北海道を襲った台風18号で、苗木の4割が塩害でやられてしまった。「ショックだったが、強い品種と弱い品種が分かって、かえってラッキーだった」と海老原さんは振り返る。

 工場には新たな雇用の場としての期待も集まる。社員3人のほか、パート7〜8人が作業に従事。ブドウ畑と合わせると、20人前後の就労の場が提供できるという。

前ページ

  1. 1
  2. 2

次ページ

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内