電圧加え超電導 世界初の成功 東北大グループ

 東北大原子分子材料科学高等研究機構の川崎雅司教授(電子材料学)と東北大金属材料研究所の岩佐義宏教授(固体物理学)のグループは、絶縁体を組み合わせた物質に電圧を加えることで、超電導状態をつくり出すことに世界で初めて成功した。これまで金属を極低温まで冷やすか、銅や鉄などの酸化物系物質をつくることでしか起こせなかった超電導が、電気制御という第三の手法で発現可能になった。

 川崎教授によると、多くの研究者が絶縁体に電圧を加えて超電導を起こそうと挑戦してきたが、成功例はなかった。
 グループは、ともに絶縁体のチタン酸ストロンチウムとポリエチレンオキシドを組み合わせた回路を作製。電圧をかけてセ氏零下約273度まで冷却した結果、絶縁体同士が接する部分のチタン酸ストロンチウム側で電気抵抗がゼロになった。

 電圧は乾電池並みの低さで、従来より容易に超電導状態になるかどうかが分かり、超電導を起こす物質かどうかを調べることができる。
 川崎教授は酸化物を、岩佐教授は有機分子を用い、それぞれ電気制御を研究している。得意分野の材料を組み合わせることで、超電導物質の新たな手法による発見に成功した。

 川崎教授は「超電導を起こす第三の手法が見つかった。停滞していた超電導物質の研究が一気に進む可能性がある。より高い温度での超電導の実現も夢ではない」と話している。
 研究成果は13日、英国科学誌ネイチャーマテリアルズの電子版で公表された。
2008年10月13日月曜日

宮城

社会



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