【AFCU-19選手権予選 総括】タイとの激闘の末にグループE1位通過を果たしたU-18日本代表。来年のAFCU-19選手権への課題は個のレベルアップ [ J's GOAL ]
★AFCU-19選手権予選 試合結果
11.06(火)/スパチャラサイスタジアム
日本 3-1 チャイニーズタイペイ
11.08(木)/スパチャラサイスタジアム モルジブ 0-1
日本
11.12(月)/スパチャラサイスタジアム
日本 8-0 ミャンマー
11.14(水)/スパチャラサイスタジアム ラオス 0-5
日本
11.18(日)/タイ・ジャパニーズスタジアム
日本 3-2 タイ
※日本はグループ1位となり、2008年にサウジアラビアで開催予定の決勝大会に進出決定。
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●11.18(日)/タイ・ジャパニーズスタジアム
日本 3-2 タイ
得点者:11分(タイ)、14分(タイ)、39分 金井 貢史(日本)、63分 鈴木 惇(日本)、94+分 山崎 亮平(日本)
タイ戦を翌々日に控えた16日の練習後、ラオス戦から視察に来ていた小野技術委員長は、その日の朝オシム日本代表監督が倒れたことを選手に伝えた。そして、最後に「同じ代表ファミリーとして誇りを失わないでゲームをやり抜こう」と締めくくって、日本への機上の人になった。その誇りの一つはグループEを1位で通過すること。グループ最大のライバルであるタイと共に4連勝の勝点12で並んだ日本は、この第5戦に1位通過を賭けていた。
しかし、これまでは引いて守ってはカウンターを狙うというチームからどう点を取るかに手を焼いてきた日本にとって、タイは別次元だった。ある程度前に出てきたミャンマーやラオスの比ではないタイのレベル。ビルドアップしながら背後を突くだけでなく、サイドハーフが中に入ればサイドバックがそのスペースに入ってくる連動性もあった。慣れないタイで4試合をこなした日本選手は身体の切れもいまひとつで、連動性を発揮できないまま早々(11分、14分)と失点する。ボランチが2枚とも上がってしまい、中盤がぽっかり空いた日本はセカンドボールが拾えずに何度もピンチを迎え、0-2という状況に追い込まれてしまったのだ。
決定機の数から言えば、0-4になってもおかしくない内容だった。39分に金井貢史(横浜FMユース)のヘッドで1点差に追いついて前半を終えるが、最大のライバル・タイの底力と自分たちの未熟さを思い知らされた前半だった。
後半はタイの攻撃が単調になりラインも間延びし、流れが日本に傾く。タイの足が徐々に止まり始めたことも味方した。選手を入れ替え、ポジションを代えることでサイドに起点を作ることができるようになった日本は、63分に鈴木惇(福岡U-18)が同点ゴール決める。得失点差で日本を下回るタイは同点では1位通過がない。それだけに、セパタクローのように足を振り上げ、何が何でも勝ちに出てくる。つまり、荒いプレーが多くなる。
しかし、意地でも負けられない日本はロスタイムに山崎亮平(磐田)が逆転ゴールを決める。この結果、日本は5戦全勝でグループEの1位通過を決めた。
だが、これでは終わらなかった。試合後に熱くなったタイの選手が起点になって小競り合いが起き、乱闘寸前という状態になってしまう。このことにも驚いたのだが、タイの監督は小競り合いが収まった後、選手を土下座させてスタンドの観客に頭を下げさせた。なかなかアジアのサッカーも指導者も熱い。そして、日本の心も熱かった。
戦前から「タイ戦には絶対に勝つ」と話していたGK・権田(F東京)はこの試合も先発をしたのだが、2失点目は自らのミスが原因だった。U-16日本代表(布監督)時代に、AFC U-17選手権2004(日本開催)でタイに負けたことで世界(U-17ワールドカップ)への切符を掴み損ねていただけにタイは彼の鬼門だった。それを払拭するための試合でもあったのだが、このミスで気持ちが揺れることが心配されていた。しかし、権田は残り約80分間しっかり仕事をして得点を許さなかった。試合後、感動と責任を果たした安心感が涙腺を緩ませたのか、涙を流した権田。まさに男泣きだった。牧内監督は「結果的に非常によかった。タイに対する鬱積した感情は払拭できたと思う」と目を細めた。
■AFC U -17選手権に向けて
1年後のAFC U -17選手権(08年・サウジアラビア)。日本の最大の課題は個のレベルアップだろう。いくら組織的に戦っても攻守のゴール前で差が出るのは個の力。また、主導権を取る時間を長くするためにも基本的な技術の精度が上がらなければならない。フィジカルに優る相手に主導権を握られれば、ほとんどの時間と体力を守備に費やすことになってしまうからだ。
もちろん組織として、チームの戦い方のレベルアップも必要だが、この点については合宿や海外遠征を重ねることである程度目処はつく。ほとんどの選手が来年度はJリーガーか大学生になるU-18日本代表チーム。Jリーグのクラブでレギュラーを取れる選手はそう多くないだろうが、高いレベルを頭に思い描いて日々を過ごせるかどうかで差が出てくるはず。来年1月のカタール国際ユース(U-19)親善大会が最初の海外遠征になる。アジア1次予選では味わえなかったレベルの相手にどんな戦いを見せるのか、ここが最初のスタートになる。
以上
2007.11.23 Reported by 松尾 潤
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★【AFC U-19選手権大会 予選】U-18日本代表チームメンバー
http://www.jsgoal.jp/japan/news/youth/article/00055968.html
★AFCU-19選手権予選 中盤戦レポート
http://www.jsgoal.jp/japan/news/youth/article/00057218.html
★AFCU-19選手権予選 序盤戦レポート
http://www.jsgoal.jp/japan/news/youth/article/00057000.html