京都大学のサークル「めんどり学部」の家族会で、交流を深めるメンバーたち=京都市左京区
在学中にママやパパになった大学生たちが、悩みや育児情報を共有して助け合うサークルが各地で誕生している。目指すは学業と子育ての両立。大学間の交流も生まれている。(向井大輔)
今夏のある日の昼下がり。京都大学(京都市)の女性研究者支援センターに、子育てサークル「めんどり学部」のメンバーと家族が集まり、年に2回の家族会が開かれた。
「あそこの幼稚園の園長さんは親身になって相談に乗ってくれるよ」「湿疹にはあのメーカーのせっけんがいい」
おにぎりなどを持ち寄って昼食を食べながら、保育所の情報から子どもの病気、家事の手抜き術まで話題は尽きない。傍らでは子どもたちがパズルやボール遊びに夢中だ。
メンバーは現在9人。同志社や立命館、京都女子など近隣大学の学生も参加し、卒業生とも連絡を取り合っている。月1回の定例昼食会のほか、メールやホームページで情報交換している。
妊娠中に仲間入りした3年生の西郷南海子(みなこ)さん(21)は「育児書ではよく分からないし不安。実家も遠いから、こうやって同世代や経験者と話すと安心する」と話す。メンバーには、看護師経験者もいて、困った時はすぐにアドバイスを受けているそうだ。
設立は05年8月。大学院の博士課程で学びながら1歳数カ月の長男を育てていた前田治子さん(30)らが中心となった。
農学研究科で研究に追われる前田さんは出産1カ月前まで実験室に入り、出産3カ月後には復帰。家族3人での生活を始めると、今度は保育所探しに悪戦苦闘した。学生は「働いていない」とみなされ、優先順位が低くなることもあるという。「周囲に相談相手がいなくて、つらかった」
同じ悩みを持つ人がいるはずだと思い立ち、似た立場の学生夫婦と一緒にサークルをスタートさせた。