月経周期に関連して、心身の違和感を訴える方は少なくありません。そのうち、排卵後から月経開始までの一定の期間に起こる、生活に支障を来すほどの強い精神的、身体的症状を、月経前症候群(PMS、Premenstrual Syndromeの略)と呼びます。イライラ、抑うつ、不安感、眠気から、乳房痛、腹部膨満感、頭痛、むくみ、易疲労感まで、150以上あるといわれるほど症状は多彩です。
発症の理由としては、卵巣ホルモンの異常、水分貯留、血糖代謝異常、セロトニン欠乏などいろいろと言われていますが、まだ明らかではありません。それぞれの症状に対する対症療法、ホルモン療法、抗不安薬や抗うつ薬、漢方薬などの治療が用いられますが、すっきり改善しないことも多いようです。
生活のうえでの養生も大切です。糖分やカフェインの摂取を控える、炭水化物を定期的にとり血糖の低下を防ぐ、過労を避け睡眠を十分にとる、入浴、適度な運動、その方にあったリラクセーション法。ご自分の不調な時期のリズムをつかみ、調子に合わせて活動量を減らしたり増やしたりすることも重要です。
この半年、一年の間に、いつもより調子よく過ごせた周期はなかったでしょうか? 思い出してみてください、その時は何がいつもと少し違ったかを。その中にも、あなたのPMSを改善させるための、たくさんのヒントが隠れています。(関西医科大学附属枚方病院女性心療内科、杉本貴美子)
毎日新聞 2008年10月12日 大阪朝刊
10月12日 | 続・女性の健康50話:第29話 月経前症候群-PMS |
10月5日 | 続・女性の健康50話:第28話 切り替えをうまく |
9月28日 | 続・女性の健康50話:第27話 仕事を続ける難しさ |
9月21日 | 続・女性の健康50話:第26話 多くの性差 |
9月14日 | 続・女性の健康50話:第25話 女性外来の現状 |