【ワシントン=鵜飼啓】米国務省当局者は9日、北朝鮮核問題を巡り、米政府が核計画の検証対象を北朝鮮が申告した施設に限ることを基本的に受け入れることを決めた、と明らかにした。日本など6者協議参加国の意向を確認した上で、ブッシュ大統領が受け入れを判断し、北朝鮮のテロ支援国家指定を解除する。
米紙ワシントン・ポストやFOXニュースの電子版は9日、政府筋の話として「早ければ10日にもテロ指定が解除される」と伝えた。
北朝鮮が申告した施設は寧辺にある原子炉や再処理施設など、プルトニウムによる核開発関連施設。検証を申告施設に限る案は、6者協議の米首席代表のヒル国務次官補が1〜3日に訪朝した際に北朝鮮側と基本合意していた。
申告には核兵器を製造する施設やウラン濃縮による核開発、核拡散は含まれておらず、米政府内には「当初の検証計画に比べて相当弱いものになった」(当局者)との批判も残るが、6者協議の枠組み維持を目指すライス国務長官やヒル氏らが押し切った。
英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は「大統領より下のレベルでは、ほかの4カ国に不満がなければ合意を進めるべきだという意見でまとまった」との米政府当局者の言葉を伝えた。日本などの合意が得られれば大統領に受け入れを進言するという。
国務省のマコーマック報道官も9日の会見で「6者協議参加国すべてが検証計画で合意しなければならない。今はそこまで来ている」と述べ、各国の合意を待っていることを示唆。また、「満足できる検証体制が出来れば、各国ともに義務を満たす」と述べ、速やかにテロ支援国家指定を解除する考えも示した。