Re:メールにお返事

 皆さんから頂いたメールの紹介や質問内容に関してのお返事をご紹介します。ご紹介に際しては、本人からの要望がない限り、必ず氏名、E-mailAdress等は非公開と致します。また、 メールを送っていただいても、必ず掲載するわけではありません。またEメールで添付された資料は、発信人が特定できたもの以外は開きません。ウイルス対策のためです。御了承ください。

 

FAX受信専用番号 03−5624−0030 (新聞などの記事をコピーした際に使ってく
ださい。その際、コピーした新聞の名前、掲載日、送信者の氏名や連絡方法を必ず記入してください)

 

タイトル 掲載日 届 い た メ ー ル と お 返 事 ( コ メ ン ト)

 

 この写真から何か読めませんか。(10月13日)  

届いたメール

  こんにちわ 神浦さん、この写真は10日にソマリアのモガディシオで誘拐されている日本人女性医師らの写真です。

 エチオピア東部で誘拐され、ソマリアに移され、今はモガディシオのどこかに監禁されているようです。犯行集団は地元記者団を目隠しして民家に連れて行き、赤羽さんと面会させたそうです。犯人は人質解放の条件にエチオピアで拘束されている仲間の釈放を求めています。

 この写真から何か読めるもんはありませんか。軍事的な視点で、どのように見えるか教えてください。他にも地元部族の民族的な見方や、顔の表情から読み取る心理学的な見方など、いろいろ試しています。

 神浦さんのわかる範囲で結構です。また推測でもよいので、この写真から何か読めるものがあれば教えてください。

コメント

 この写真には人質が映っている他に、必ず犯人の意図したメッセージが含まれています。まずリーダーは左端の男で、護身用のAK47を肩からつるしています。着ているジャンパーも防寒の役に立つものです。

 左から2番目の黒い服の男は、携帯式・対戦車ロケットRPG−7を持っています。右端の男が持っているのは、写真を拡大したらPKMの7,62ミリ機関銃でした。AK−47,RPG−7、PKMは旧共産圏でごく普通に出回った兵器です。問題は右から2番目に持っている男の武器です。いくら拡大しても棒状のもので、武器と識別できません。しかし両肩から機関銃弾(PKMのもの)の給弾ベルトをさげていますから、右端の男と二人一組で機関銃担当である可能性が高いと思います。

 右端の男が持っているPKMには短い2脚がついています。というなら、右から2人目の男が持っているのは、対空用の高脚であるように見えます。この長い銃架にPKM機関銃を取り付け、ヘリなどを狙う場合の対空射撃用に使います。

 以前、モガディシオで米軍のブッラクホーク・ヘリが撃墜されたのは、建物の屋上に特殊部隊を降下させるために、低空でホバリング中に別の建物の屋上にいたゲリラのPRG−7でやられました。ですからこの写真に込められた犯人側のメッセージとは、人質救出で特殊部隊がヘリで来れば、そのヘリを撃墜するという意味だと思います。

 米軍の救出部隊が車で隠れ家に接近すること出来ません。それこそ大変な犠牲者を出した”モガディシオの悲劇”の再現です。

 というように、私はこの写真から読み取りました。いかがですか。

 

 今朝、潜水艦を見ました。(10月10日)  

届いたメール

  始めまして、000と申します。いつも興味深く拝見させていただいております。

 今朝、9時頃、神戸のポートアイランドから、対岸の川ア重工を何気なく見ていると、黒い丸っこい物がタグに引かれて出てきました。

 段々と姿が明確になってくると、潜水艦でした。最新型の「おやしお型」だと思います。進水式はだいぶ前に、終えて船内の艤装をやっていると言うことだったので、それも終えて、呉れに向けて出航か? ただし船体番号とかは、書かれていなかったです。

コメント

 潜水艦だけは、いつ見ても不気味ですよね。いい意味で、そんな潜水艦が好きです。以前は、よく東京湾の入口あたりをヨットで走っていると、浮上した潜水艦に出会いました。

 まだ私がクルーザー・ヨットの初心者のくせに、三崎港(三浦半島)から伊豆・大島に向かう途中、強風注意報が出ていることも知らず、嵐をもろに喰らったことがあります。突然始まったあまりの強風にセールが降ろせず、ヨットが大きく傾いて死にそうな目にあいました。一緒に乗っている屈強な男たちは、初めてのヨットでデッキに這いつくばって嘔吐(船酔い)ばかりしていました。私は舵を握っていたので持ち場を離れることができません。本当に初心者だったからです。

 間もなくヨットが横転して浸水すると覚悟をしていました。その時、ヨットの後ろに真っ黒い潜水艦が浮上してきたのです。そして潜水艦の艦橋から4〜5人が双眼鏡で私のヨットを見ているのです。その時、もしヨットが沈没して嵐の海に投げ出されても、潜水艦の通報で海保が助けにきてくれると安心しました。

 その後、セールを上げているシート(ロープ)を切って、なんとかメインセールを回収することができました。それから機走(エンジンで走る)にして、後ろからの大波をサーフイングしながら東京湾口に向かいました。千葉県の内房にある富浦港(漁港)につくまで4時間ぐらいかかりました。それまでの約1時間ぐらい、ずっと潜水艦が背後からついて来てくれました。間違いなく、あの潜水艦は私たちが遭難すると見て、後ろをついて来てくれたと思います。

 もう20年も前の話しで、私がヨットで最も怖い思いをした思い出です。それ以来、潜水艦や潜水艦乗りに親しみを感じるようになりました。

 

 引用した防衛ハンドブックについて質問です。(10月7日)  

届いたメール

  毎日楽しく拝見させて貰っています。 ところで質問なのですが、

http://www.kamiura.com/new9_2k8.html

>防衛ハンドブック(朝雲新聞社刊)の平成20年度版によると、

>パトリオットPAC3の速度は2〜4q/S(秒速)となっている。

 これは何ページに記載されていたのですか? 4q/S(秒速)は、あまりにも速過ぎると思うのです。 マッハに直すと、なんとマッハ12です。

 実はイスラエルのアローという大型のMD用ミサイルで、マッハ9です。 大気圏外で迎撃するMDはこれよりも速いのですが、PAC3やアローは 大気圏内で迎撃します。 巨大なアロー・ミサイルよりも小さなPAC3が速度が速いというのは 考え難いので、朝雲新聞が間違えている可能性があります。

  ちなみにノドン弾道ミサイルの終末速度はマッハ10くらいだそうです。

  ところで同じ朝雲新聞社の「自衛隊装備年鑑2008-2009」を読んだのですが、 SM-3の最大射程は1200km、最大射高250kmと書かれていました。 もしこれが正しいとすると、凄まじい数値ですね。

コメント

 引用したデータ(数字)は、防衛ハンドブック(平成20年版)の593ページです。この表によれば、PAC3の速度についてはー(横線)がありますが、2段上のペトリオットとして、PAC2,、PAC3の区別なく、速度が2〜4q/Sとなっています。パトリオットの発射機がほぼ同型ですから、PAC3の速度もこの範囲に入ると入ると考えて記載しました。ちなみにPAC3の射程は20キロと数値を出しています。

 しかし秒速4qはいかにも早すぎるので、速度範囲の遅い方の秒速2キロで計算しました。PAC3を仰角70〜80度ぐらいで打ち上げても、最大マッハ6程度の速度は可能と思います。それぐらい出さないと、マッハ10ぐらいで落下してくる弾道ミサイルを効果的に迎撃できないと考えています。

 しかし防衛省の公表データを探しても、これ以外の数値を公表していません。ブッシュ政権が台湾にPAC3を売却することを認めた(議会の承認はまだ)ので、台湾側からもう少し正確な数字が出てくるかも知れません。

 装備年鑑のSM−3ですが、本当なら凄い性能だと思います。しかしこれは日米が開発中のSM−3のブロックUの目標数字ではないでしょうか。海自のイージス艦が搭載しているのはSMー3ブロックTですから、これほどの性能はないと思います。(私は射程が400キロ程度と考えています)

 イージス艦搭載のSM−3についても、射程や最大射高については、今まで防衛省が数値(性能)を公表していません。ご指摘の今年の装備年鑑(08ー09)が初めてということになります。私の手元の最新の装備年鑑(07−08)です。今日にも神田の書店に行って新刊を購入してきます。しかし私の気持ちとしては、装備年鑑のSM−3の性能(データ)を間違えていると思います。それを朝雲新聞社がブロックUと誤解したのか、もう少し調べてみる必要があるような気がします。

 

 飛行艇が対潜作戦をしますか。(10月5日)  

届いたメール

  神浦さん初めまして 会社員をやっております0000と申します。

  いつもホームページを楽しく見させていただいております。

  特に刻一刻と流動する新聞、テレビにおける情報の信憑性がわからないときに大変重宝させていただいております。

  さて私事 仕事柄、軍事絡みの飛行を目にする機会があるのですが、 先日、岩国より飛行艇がレスキューシーガルのコールサインにて 鹿児島に着陸後、そこから四国のだいぶ遠方の方まで行き、何かしらのミッションを行い鹿屋に戻ってきました。

  そのときは急患絡みなんだろうと思っていたのですが、 後日、たまたま空自の方とお話する機会があり、 それによるとおそらく潜水艦絡みであるということまでは教えていただけたのですが、以降の詳細は遠慮して聞くことができませんでした。

 飛行艇と潜水艦、私の知識の範疇ではどうも結びつかないのですが、何かイメージできるところのものがありますでしょうか? いかんせん情報が不足しているので、わからなければわからないで結構ですので、どうか見識をお聞かせ願えればと思います。

  加えて今回のような質問は仕事上知り得たものですので、自衛隊の者ではないにしろ厳密に言えば守秘義務に反する物も含まれます。もちろん対外秘の指示が出ているものは例外として、 このような事柄も質問に加えてよろしいものでしょうか?

 個人的には情報の提供も含めて、自己責任において行いたいと 思うのですが・・ 神浦さんの考えをお聞かせ下さい。 いろいろとご多忙な中、このような細々とした質問は失礼と思いつつメールさせていただきます。もちろん気が向いたらで結構ですので、返答を気長にお待ちいたしております。 それでは 。

コメント

 すいません。頂いたメールをことをすっかり忘れていました。今朝、ふとメールのことを思い出してメールボックスを調べ直しました。私も昔は航空無線を聞くのが楽しみで、携帯の無線機(レシバー)を買って、飛行場付近でカメラを構え、管制塔の交信を聞きながら、離発着する飛行機の写真を撮っていたことがあります。かなり昔の話しです。

 ご質問の件ですが、岩国から鹿屋に飛来したのは海自の救難飛行艇のUS−1A(US−2)だと思います。US−1は対潜飛行艇のPS−1を母体にして救難機として製作されました。今は水陸両用の飛行艇は小笠原など離島や、太平洋(遠洋)での漁船など、急病人を緊急移送(空輸)していますが、もともとは対潜作戦が主な任務でした。潜水艦がいそうな海域に着水し、水中ソナーを海中に降ろして潜水艦を探査しました。

 しかし海自に対潜哨戒機のP3Cが配備されるようになって、作戦効率の悪いPS−1は対潜任務を解かれ、救難機のUS−1からUS−2に発展したと考えていました。しかしメールを頂いて気がついたのですが、言うまでもなくP3Cは常時飛行する必要があります。潜水艦を探知するためには、低空旋回などの飛行しながら行います。これでは燃料の関係で飛行時間の制約があります。しかし飛行艇なら海面に着水して、エンジンを切って、長時間の待ち伏せなどの探知活動が可能です。それに対潜作戦を行う護衛艦よりも早い時間で目的の海域に到着できます。通信はUS−2なら衛星通信を使うことができるし、海自の情報・指揮通信システムにリンクさせることができます。

 これら飛行艇の特性を海自が放置しているのはもったいないと思います。もし急病人などの移送(飛行場に救急車が出迎え)でなければ、そのようなミッションか訓練を行っていた可能性が高いと思います。

 最近、護衛艦の稼働率が悪いと聞いています。海自の乗員不足や活動範囲(任務)の拡大、それに重大事故などが原因です。そこで海自が再び飛行艇の特性を生かそうと、対潜作戦の研究や訓練している可能性は大です。

 これらの活動は防衛秘密の指定を受けているわけではないし、航空無線を聞いていればわかる内容です。例えば、マスメディアの方が、飛行艇の取材を行い、部隊関係者の方が、「最近は対潜作戦の研究や訓練を行っています」と話しても、それは秘密情報を漏らしたことにはなりません。むしろ国民の知る権利に答えた情報公開です。しかし飛行艇がどのような機器で潜水艦の探査を行っているとか、また音源を捉えるソナーの性能などは秘密情報になるでしょう。

 最近は潜水艦探知のパッシブ・ソナーもデジタル化で、昔のような熟練職人的なソナーマンは必要がなくなったと聞きました。新しいデジタル・ソナーを搭載すれば、飛行艇でも精度の高い潜水艦探知を行えるようになったかもしれません。

 それから私がHPに掲載するメールは、秘密情報の有無に関係なく、必ず個人を特定できないように加工します。むろんメールが伝えたい内容は触りません。その点は十分に気をつけています。安心してください。

 

 ヒル次官補、北朝鮮テロ支援国家解除か?(10月2日)  

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【ワシントン草野和彦、ソウル堀山明子】(神浦・・・・・・毎日新聞・電子版です)

 北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議の米国首席代表、ヒル米国務次官補は1日、平壌を訪問。 北朝鮮側に、自ら検証計画を作成し6カ国協議議長国の中国に提出するよう、新たな提案を行った模様だ。 北朝鮮がこれを受け入れれば、テロ支援国家指定を暫定的に解除するという。
 米国務省高官が同日、明らかにした。米側の新提案に対する北朝鮮側の反応は確認していないという。 米国はこれまで、北朝鮮が、米国側から求められた検証計画を受け入れないことを理由に、テロ支援国家指定解除を先送りにしてきた。

 これに反発した北朝鮮は、寧辺(ニョンビョン)核施設の復旧作業を開始。訪朝したヒル氏の新提案は、事態打開のための妥協案ともいえる。 一方、韓国国防省によると北朝鮮当局者は1日、日程調整が続いていた南北軍事当局者間の実務者協議について 「板門店で2日に開催」との韓国提案を受け入れると通達してきた。この場で北朝鮮核施設の復旧状況や検証問題の原則的立場を表明する可能性もある。

http://news.livedoor.com/article/detail/3842235/

 どうも近いうちに解除されそうですか、あまりにも酷すぎませんか?

 核兵器を保有したまま、自己申告すれば解除って、こんな事が許されるならみんな核兵器を保有したがるでしょうね。 アメリカは日米関係はどうでもいい、適当に脅せば大人しく従うとでも思ってるんでしょうか。 でも結局日本は何も出来ないんでしょうね・・・・ それを見透かされてしまっているのか。核兵器の対象は日本かもしれないのに。

コメント

 このメールの前部の掲載記事は、今日の朝刊にはまだ掲載されていないと思います。今朝、月始め恒例の「所長ご挨拶」を書くために、朝4時に起床してパソコンに向かっていると、午前5時半頃にこのメールが届きました。この時期にアメリカが「テロ支援国家指定解除」を行う理由は何か。その後、朝刊各紙の宅配が届いたので、読売新聞の記事で、今日のWhte New!「北、核実験場復旧の兆し」を書きました。

 私が推測するのは、これはアメリカの緊急避難的な措置で、北朝鮮が大量に配備している生物・化学兵器の誤発射を防ぐためと思います。誤発射とは疑心暗鬼になっている北朝鮮軍が、韓国軍や在韓米軍が侵攻(北進)してくると誤認し、ソウル市街や在韓米軍の頭上に生物・化学兵器を打ち込むことです。

 そのような緊張した雰囲気を避けるために、アメリカは緊急避難的にテロ支援国指定解除を行って、北朝鮮軍の緊張を緩和させる狙いがあると思います。北朝鮮の核開発再開を恐れているわけでは絶対にないと思います。いよいよ北朝鮮情勢が一気に緊張してきた証拠です。韓国ばかりか、アメリカもかなり追いこまれていると思います。

 

 私の友人は空挺レンジャー隊員か。(10月1日)  

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  神浦さん、ちょっと変なことを質問しますが、私の友人に陸自の元空挺隊員がいます。年齢は35才ぐらいだと思います。元陸自で習志野の第一空挺部隊にいたそうです。

 自衛隊にいたのは4年間で2任期だったと話していました。私が知りたいのは友人が空挺部隊のレインジャー隊員であったかどうかです。本人は空挺レンジャー過程を終了してバッジをもらったと話しています。でも空挺部隊の写真を見ると、落下傘のマークのバッジを胸につけていても、レンジャーバッジはつけていません。

 除隊の時の階級は陸士長だったと話しています。陸士でもレンジャー過程を受けることができるのでしょうか。私の友人なので、ウソをついていると思いたくありません。神浦さんのわかる範囲で教えてください。

コメント

 陸士クラスが空挺レンジャー訓練を受けることは難しくなっています。昔は確かに陸士クラスでもレンジャー訓練を受けていました。しかし最近は若い陸曹や幹部を中心にやっているようです。

 というのは、空挺レンジャー訓練は全過程を3か月ほどかけてやります。訓練を受ける隊員は1回30人が限界です。それを年間4回やっても、途中で脱落し、再挑戦でバッジを貰う者を数えると年間100人のレインジャー訓練終了者が精一杯です。

 空挺部隊にいれば、誰にでもレインジャーバッジをとれるチャンスを与える方針です。しかし年間100人という制限がありますから、どうしても若い陸曹や幹部を優先して、空挺レンジャー訓練を行うようです。

 しかし昔は陸士でもレインジャー訓練をやっていた時代があったことも確かです。もしかしたら友人はその例外の中に入る人かも知れません。あまり厳しく問いつめないで、友人として仲良くやってください。私の友人に大学の通信教育を中退した人が、自分の経歴を00大学中退としているのを知っていますが、何も言わないことにしています。そんなことはどうでもいいのです。

 

 27日の女性自衛官の件ですが、追加情報です。(9月30日)  

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  神浦さんこんにちは、000です。(神浦・・・・9月27日のメールの方です)

  先日、女性自衛官(今は婦人自衛官とは言わないのですね。そ う言えば 看護婦も看護士に変わっていました)についてメールを差し上 げましたが その後、ネットで確認したところ以下のような事が分かりまし た。

  事実関係をよく確認せず感覚でメールしましたことをお詫び致 します。

・平成5年に(男女雇用機会均等法施行?)一部を除き、原則 全職種・職域を女性自衛官に開放

・女性自衛官に対する配置制限の理由は  @母性の保護  Aプライバシーの保護  B経済的効率性  C捕虜となる可能性 → 平成19年に「近接戦闘の可能性 」に変更

・陸自における配置制限部隊  @普通科中隊  A戦車中隊  B偵察隊  C施設中隊  D対戦車ヘリコプター飛行班  E化学防護(小)隊  F坑道中隊等

  これを見ると野戦特科中隊に配置制限は無いみたいですね。配置制限部隊以外は 「近接戦闘の可能性が無い?」とか「男性自衛官にプライバシーは無い?」とか いろいろ突っ込むところはありそうです。

 普通科、特科、機甲 科の本部中隊や 本管中隊はNO中隊と同じくらい近接戦闘の可能性があると思うのですが。 予備自衛官の召集訓練で私が見た女性自衛官は本部管理中隊が担任部隊だった時と勘違いしたのかもしれません。すみせん。

コメント

 私もいろいろな自衛隊OBに電話して聞きました。例えば、普通科の連隊本部には女性自衛官が配備されているそうですが、その下の普通科中隊にはいないそうです。やはり事務処理能力が高く、各部隊が女性自衛官の配属を求めているようです。

 こんな例も聞きました。九州と韓国の中間にある対馬では、若い女性の給与は対馬空港で働くANA(全日空)の地上職員(高卒程度)が最も高額だそうです。しかし対馬に女性自衛官が配属されてANAの給料を超したそうです。対馬出身の女性自衛官で、対馬から転勤する気がなければ最高の職場だと言われているそうです。

 さらに女性自衛官は増える傾向にありそうです。今までの5パーセント枠を越えることが検討されているようです。私が聞いた印象では、女性自衛官を10パーセント枠に広げるようです。この新しい背景には、男子の2等陸士の募集難があるようです。

 

 ソマリア沖の海賊対策について。(9月29日)  

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  神浦元彰さん  9月27日付のWhat's Newで、ソマリア沖の海賊対策に海上保安庁の大型巡視船の派遣を検討してはどうか、とのご提言にひと言。


 そのような検討もけっこうですが、海賊対策はやはり周辺国の警察力で取締を強化すべきではないかと思います。同じ『毎日新聞』9月26日付夕刊の【カイロ発・高橋宗男記者】の記事は、海賊多発の背景を次のように紹介し、その解決策の方向にも触れています。

 

…… ア デン湾はスエズ運河につながる紅海の出入り口にあり、年間約2万隻の船舶が通過するにもかかわらず、ソマリア政府による領海での海賊取り締まりは皆無に近 い。そんなソマリアにも海賊被害が激減した時期があった。イスラム原理主義勢力「イスラム法廷会議」が首都モガディシオを制圧した06年6月以降の半年間 である。「法廷会議」が海賊の摘発を強化し、イスラム法シャリーアに基づき厳罰に処したからだ。しかし「法廷会議」と国際テロ組織アルカイダの関係を疑っ たブッシュ米政権は、06年12月のエチオピア軍によるソマリア侵攻を支持。「法廷会議」は敗走し、暫定政府が全土の掌握を宣言した。これを境に海賊被害は再び上昇カーブを描き始めた。こうした経緯をふまえ米誌ニューズウィークは「米国の対テロ戦争が招いた政変が海賊を横行させた」と指摘している。国連安保理は6月、ソマリア領内で外国船舶による海賊捕捉を承認する決議を採択した。


 つまり、周辺国がその気になれば、 海賊被害を減らすことができるということです。マラッカ海峡の海賊対策も同様ですが、わが国が取るべき態度は、まずは周辺国が連携して海賊対策を取ってく れるよう、働きかけや調整をすることではないでしょうか。その中で、当該国から「日本も海上保安庁の巡視船を派遣してくれ」との要請があれば、その際にできうる範囲での協力・支援を行うべきだと思います。
 また、海上保安庁の大型巡視船には40ミリ機関砲を搭載している艦船もあり、巡視船とはいえ、諸外国からすれば、軍艦と見なされかねないことも十分考慮しておくべきだと思います。

コメント

 私が言いたいことと一致していると思います。海洋警察は地元の政府に任せるのが最適だと思います。海洋交通の妨害はその国にとって大きな損失になります。日本が協力して、そのよな海洋警察を育成することは素晴らしい国際貢献だと思います。

 ただし、ソマリアのように政府が機能せず、無政府状態であれば、国際的な海洋治安機関が協力して、海賊を取り締まることが必要です。その時に、日本の場合は海上自衛隊ではなく、海上保安庁の方が向いていると思います。

 海上保安庁の巡視船が40ミリの機関砲を持っていても、絶対に軍艦ではありません。警察と軍事は明確に分かれています。いくら日本の機動隊員(警察)が狙撃銃やMP5(サブマシンガン)で武装しても、警察行動として限界があります。軍事行動はできません。

 海賊相手なら、巡視船を出すのが一般常識です。米海軍がアデン湾に艦艇を派遣しているのはアルカイダ系のテロ組織を追跡するためで、海賊対策のためではありません。

 

 陸自では戦闘職種に女性自衛官がいました。(9月27日)  

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  神浦さん、こんにちは。ご無沙汰してます、000です。

  HPは毎日見ていますが、仕事が忙しくてなかなか メールが出せませんでした。

  今日は、気になるコメントがありましたのでメールしました。

  9/23の「護衛艦に女性自衛官」の中で「これからは陸自の戦闘部隊(例えば普通科)にも広がる新しい人事配置と推測する」と書かれていましたが、私が退職した20数年前、すでに施設科へWACが配属されていました。

 ご存知のように施設科は後方支援部隊と思われがちですが、地雷原の開設や戦闘中における浮橋の設置など、普通科より敵陣に近いところで作業する最前線の部隊です。

 また、退職直後に私がいた野戦特科部隊へWACが配属 されたと元の同僚が喜んでいましたし、予備自衛官の招集訓練では、担任部隊である普通科のNo中隊にWACがいました。これらから婦人自衛官の第一線部隊配属は陸自の方が早かったようです。

  HPのリニューアル、楽しみにしています。では。

コメント

 私がいた頃は女性自衛官といえばナース(看護婦)で、それ以外は見たことがありませんでした。ですから昔、富士学校(静岡県)に行った時に、女性自衛官が作業服(戦闘服)を着て勤務してのを見て驚きました。制服で勤務していたのを見たのは、昔の第32普通科連隊(市ヶ谷駐屯地)の連隊司令部のような気がします。20年ぐらい前の話しですね。でも記憶違いかもしれません。

 当時は婦人自衛官(WAC)と呼びましたが、今では陸海空共通で女性自衛官というそうです。戦闘職種といえば、オウム事件が起きた頃、駒門(静岡県)の第1戦車大隊に女性自衛官(たしか2尉)が初めて配属されたと聞いたことがあります。戦車には乗らないそうですが、大隊司令部の要員だと聞いた記憶があります。

 陸自の女性自衛官は、戦闘職種であっても、戦闘部隊ではなく、司令部要員や車両・武器などの整備員として配属していたのでしょうか。ちょっとよくわかりません。近いうちに同期生会があるので、そのあたりのことを聞いてみます。

 そうそう同期が野戦特科(野砲)の大隊長をやっているとき、隊長車のドライバーを若い女性自衛官がやっていて、演習に出かけた時、濃霧で道に迷って大変だったと愚痴を聞いたことがあります。野戦特科にもいたことになりますね。

 しかし女性自衛官を戦闘職種の戦闘部隊に配属したと聞いたことがありません。母性という本能が戦闘という行為に適していないからだと聞きました。

 

 ところでJーRCOMの読者層は大体どんな風なのか?(9月25日)  

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  神浦さんこんにちは。 いつもJ-RCOMを楽しく拝読しております。が、ある疑問が湧きました。

 J-RCOMの読者層は、思想傾向、世代、 軟派とか硬派といった「乗り」の面では、どんな風なタイプの方が多いのでしょうか。

 感想のメールなどで大体傾向が探れそうに思えるのですが、「自衛官に新移民」「河野談話」などで 神浦さんが比較的ハト派、リベラルな見方でコメントを載せると、決まって非常に真面目ではあっても、かなり手厳しい感想が載ることが多いので、基本的にはタカ派、右方面の方の、読者、閲覧者が多いと見るのが正解でしょうか。

 各方面から大体均等に感想を選択、掲載していても純粋に「ハト派」は少ないと見 ます。

  届く感想メールには「売国奴!二度と読まん!」など殆ど、怒りに任せた殴り書きもあるのでしょうか。 「平和を求めるなら、軍事を知れ」は正しくても、日本に定着するのにはまだ年月がかかりそうです。

  どちらにしろ、賞賛の意見も、批判的意見も分け隔てなく掲載するというのは、宗教や党派のHPなどではまず実行されず、本当に勇気の要る凄い事だと思いますよ。

コメント

 本当にすごい立場の人が読んでおられるようです。むろん、高校生も読んでいる人もいます。時々、何かのパーティーで同席した初対面の人から、「いつも読んでいますよ」なんて言われて驚いたことあります。それを詳しく明かせば、このHPを自分で自慢することになるので控えます。もう右とか左とか関係ありませんね。

 先日、ある人が軍事を本気で勉強したいので、「何を読めばいいか教えてください」と言われたので、「私のHPを読んでください。お金がかかりませんから安くつきます」と答えたことがあります。おそらく、その人のことは皆さんが知っている知的(文化人※)な方です。

※テレビ界で文化人とは、国会議員、大学教授、弁護士、医師、評論家、新聞記者、スポーツ選手などの職業の人を言います。1番組の出演料が5万円以下で、普通の芸能人の1/20以下の格安ギャラです。

 

 潜水艦はクジラ? 領海が心配です。(9月24日)  

届いたメール

  神浦さん 00です。

 防衛省が今さら 「鯨を誤認」「音紋はとれなかった」 とか言いだしているようなのですが。

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2008092001000848.html

 領海侵犯というたいへんな問題についてこのようなドタバタ喜劇を繰り広げるとは絶望的な気分になります。 外務省の横やりか何かなのでしょうか。 それとも海自の力量劣化が極まっているのでしょうか。

  P.S

 .慰安婦については「Gパン主計ルソン戦記」(光人社)の記述が率直で公平な印象を受けました。   著者の金井英一郎少尉(故人)は自らも慰安所を利用しており、朝鮮人慰安婦についてかなり同情的な描写をしております。

コメント

 HPを読んでいる何人の方から、「潜水艦はクジラの可能性ありと防衛省が言い出しました」というメールを頂き、何のことかわからず、ニュースをネットで調べましたが、それらしい記事を見つけることができませんでした。このニュースだったのですね。

 むろん、こんなものは無視して結構です。こんなゴミ情報に振り回されるようでは軍事稼業をやっていられません。そうですか”土佐の高知の沖では 潜望鏡を出すクジラが泳いでいる ヨサコイ ヨサコイ”ですか。民謡の”ヨサコイ節”に新しい歌詞ができそうですね。

 まあ、ご察しの通り、外務省あたりから何か言われたのでしょう。ヨサコイ、ヨサコイです。

 

 従軍慰安婦問題の河野談話に関して反論です。(9月23日)  

届いたメール

  神浦さん

 L.A.在住の00です。 いつもHPを拝読させて頂いております。

 さっそくですが河野談話に関して 私は中長期的にみて、河野談話がアジア諸国との関係改善にそれほど寄与したとは思いません。

 河野談話以降、韓国中国は外交のカードとして使用していると思います。そして河野談話に関して、賛成反対がわき起こり、結果的に騒動を起こした感があります。

 神浦さんのおっしゃる「互いに自分の傷を自覚し、相互に話し合って、未来を考えなければ和 解と友情は生まれない。」に全く同感です。しかし河野氏のように無自覚に、事実認定されていない事に関して謝罪していては、むしろ問題を複雑にし、しいては韓国中国に不快感を与えるような気がします。

 素人が生意気を書いて申し訳ありません。 軍事情報の記事とは違い、政治的な記事は色々と認識の違いがありますので、あくまでも僕の意見を述べさせて頂 きました。


P.S.
 以下は小野田さんの手記です。いわゆる「従軍慰安婦」に関して、一読の価値があると思い添付致しました。
.........................................................

小野田寛郎「私が見た従軍慰安婦の正体」

 「正論」平成十六年一月号より

 首相の靖国神社参拝や従軍慰安婦の問題は、全く理由のない他国から の言いがかりで、多くの方々が論じているところだ。南京大虐殺と同様 多言を弄することもあるまいと感じていたのだが、未だに妄言・暴言が 消え去らない馬鹿さ加減に呆れている。

 戦後六十年、大東亜戦争に出征し戦場に生きた者たちが少なくなりつ つある現今、私は証言として、「慰安婦」は完全な「商行為」であった ことを書き残そうと考えた。

 外地に出動して駐屯する部隊にとって、治安維持と宣撫工作上最も障 害になる問題は、兵士による強姦と略奪・放火である。そのためにどこ の国もそれなりの対策を講じていることは周知の通りである。大東亜戦 争時、戦場には「慰安婦」は確かに存在した。当時は公娼が認められて いる時代だったのだから至極当然である。

 野戦に出征した将兵でなくとも、一般に誰でも「従軍看護婦」と言う 言葉は常識として知っていたが、「従堰慰安婦」と言う言葉は聞いた者 も、また、使った者もいまい。それは日本を貶める為に後日作った造語 であることは確かだ。

 淫らな言葉だが、中国戦線では「ツンコ・ピー」「チョウセン・ ピー」と呼んでいた筈であるが、他の人の見ている所でする筈のないこ とだけに、「慰安所」のことも「慰安婦」のことも、公の場で自己の見 聞を正確に発表する人が少ない。あまり詳しいと「よく知ってるね」と 冷笑されるのが落ちだろう。

 では何故、君は、と私に聞かれるだろうが、幸い私はその実態を外か ら観察出来る立場にあったから、何も臆することなく、世の誤解を解く ために発表することが出来るのだ。

◆漢口の「慰安所」を見学

 商社員として十七歳の春、中国揚子江中流の漢口(現武漢)に渡った 私は、日本軍が占領してまだ五カ月しか経っていない、言わば硝煙のに おいが残っている様な街に住むことになった。当時、漢口の街は難民 区・中華区・日華区・フランス租界・日本租界・旧ドイツ租界・旧ロシ ア租界・旧英国租界に分かれていて地区ごとにそれぞれ事情に合った警 備体制が敷かれていた。

 日華区とは日本人と中国人とが混じって住んでいる地区で、そこに住 む中国人は中華区に住む者と同様「良民証」を携帯しており、そうでな い者は警備上難民区に住まされていた。難民区は日本兵も出入りを禁止 されていて、私たち在留邦人は届け出て許可を得なければ出入り出来な かった。それだけ危険な場所だった。

 私は、仕事が貿易商だから、難民区以外はよく歩いた。ある日、汚れ た軍服を着た兵士に「慰安所はどこか知りませんか」と路上で尋ねら れ、一瞬思い当たらず戸惑った。しかし看板に黒々と「漢口特殊慰安 所」と書いて壁に掲げていて、その前に歩哨と「憲兵」の腕章をつけた 兵隊が立っている場所を思い出したのでその通り教えてあげた。映画館 と同様に日華区にあった。汚れた軍服から推測して、作戦から帰ってき た兵士に間違いない。街を警備している兵士は、そんな汚れた軍服で外 出してないからだ。

 私は「特殊慰安所」か、なるほど作戦から帰った兵士には慰安が必要 だろう、小遣い銭もないだろうから無料で餅・饅頭・うどん他がサービ スされるのだろうと早合点していた。

 ところが、私の知人が営む商社は日用品雑貨の他に畳の輸入もしてい て、それを「慰安所」にコンドームなどと一緒に納入していたので「慰 安所」の出入りが自由であった。彼に誘われて一般在留邦人が入れない 場所だから、これ幸いと見学に行った。

 私たちは、憲兵に集金の用件を話してまず仕事を済ませた。日が暮れ ていたので「お茶っぴき」(客の無い遊女)が大勢出てきて、経営者と 私たちの雑談に入ろうとしてきたが追い払われた。そこには内地人も○ 人も中国人もいた(現在、鮮○は差別用語とみなされ、使われない。し かし朝鮮半島が日本統治だった当時は「日本人、朝鮮人」などと言おう ものなら彼らに猛烈に反駁された。彼らも日本人なのだからと言う理由 である)。

 群がってきた彼女たちは商売熱心に私たちに媚びてきた。憲兵は特別 な事情の時以外は、部屋の中まで調べに来ないからである。料金は女性 の出身地によって上中下がある。また、利用時間も兵士は外出の門限が 日没までだから日中に限られるが、下士官は門限が長く、将校になれば 終夜利用出来る。料金も階級の上の方が割高で、女性たちは当然、同じ 時間で多く稼げることになる。

 半島出身者に「コチョ(伍長─下士官)かと思ったらヘイチョウ(兵 長─兵士)か」、「精神決めてトットと上がれネタン(値段)は寝間で ペンキョウ(勉強)する」とか、笑うどころではない涙ぐましいまでの 努力をしているのも聞いた。内地人のある娼妓は「内地ではなかなか足 を洗えないが、ここで働げば半年か一年で洗える」といい、中には「一 日に二十七人の客の相手をした」と豪語するつわものもいた。

◆どこにもいなかった「性的奴隷」

 ここで親しくなった経営者の話を紹介しよう。「体力的に大差がない 筈なのに、内地人は兵士たちと言葉が通じるために情が通うのか、本気 でサービスして商売を忘れ健康を害してしまう。そのために送り返さね ぱならず、経営者にとって利益が少ない。兵隊さんには内地人ばかりで 営業するのが本当だが」と本音を漏らしていた。

 私の育った街には花柳界があったので、芸妓と酌婦をよく眼にした が、当時は玄人女と呼ばれた彼女たちの外出姿でも一般の女性と見分け ることが出来た。その目で見れば漢口の街でも同様だったが、特に朝鮮 人の女たちは特色があった。というのは彼女たちは数人で外出してくる のだが、民族衣装ではなく、着慣れないツーピースの洋装のせいで着こ なしが悪く、また歩き方にも特徴があって一目で見分けられた。

 彼女たちは実に明るく楽しそうだった。その姿からは今どきおおげさ に騒がれている「性的奴隷」に該当する様な影はどこにも見いだせな かった。確かに、昔からの言葉に、「高利貸しと女郎屋の亭主は畳の上 で往生出来ぬ」というのがあった。明治時代になって人身売買が禁止さ れ「前借」と形は変わったが、娘にとっては売り飛ばされた」ことに変 わりはなかった。

 先述の「足を洗う」とは前借の完済を終えて自由の身になることを言 うのだが、半島ではあくどく詐欺的な手段で女を集めた者がいると言う 話はしばしば聞いた。騙された女性は本当に気の毒だが、中にはこんな 話もある。「『従軍看護婦募集』と騙されて慰安婦にされた。私は高等 女学校出身なのに」と兵士や下士官を涙で騙して規定の料金以外に金を せしめているしたたかな女もいた。またそれを信じ込んでいた純な兵士 もいたことも事実である。日本統治で日本語が通じた故の笑えない喜劇 でもある。

 ところで、その「慰安所」にどれだけの金が流れたのだろうか。これ が「慰安婦」が「商行為」であった確かな事実である。私の次兄が主計 将校で、漢口にある軍司令部に直接関係ある野戦衣糧廠にいたので「慰 安所」について次のような統計があると教えてくれた。

 当時、漢口周辺には約三十三万人という兵力が駐屯していたが、ある 理由で全軍の兵士の金銭出納帖を調べた。三分の一が飲食費、三分の一 が郵便貯金、三分の一が「慰安所」への支出だった。貯金は給料の僅か な兵士たちにとって嬉しいことではなかったが、上司から躾として教え られている手前せざるを得なかったのが実情だった。私も初年兵として 一ケ年、江西省南昌にいたが、食べたいのを我慢して貯金した。

 一人の兵士がそれぞれ三等分して使った訳ではないだろうが、人間の 三大欲は食欲、睡眠欲と性欲と言われるだけに、貯金を睡眠に置き換え ると全く物差しで測った様な数字である。ちなみに当時の給料は兵は一 カ月平均十三円程で、その三分の一を約4円として計算すると三 十三万人で総額約百三十二万円になる。「零戦」など戦闘機一機の価格 は三万円と言われたが、実に四十四機分にも相当する。

 サラリーマンの初任給が四十円そこそこの頃だったのだから、経理部 の驚くのも無理のない話である。

 以上が、私が商社員として約三年半の間、外部から眺め、また聞き得 た「慰安所」と「慰安婦」の実態である。

 私が漢口を去った昭和十七年夏以降に、漢口兵站(作戦軍の後方に あって車両・軍需品の前送・補給・修理・後方連絡線の確保などに任ず る機関)の副官で「慰安所」等を監督した将校の著した『漢口兵站』と 照合してみたが、地名・位置等について多少の相違点は見いだしたが、 本題の「慰安所」について相違はなく、より内情が詳しく記されてい た。これでは誰がどう考えても「商行為」であるとしか言いようがない だろう。

 「商行為」ではない、軍による「性的奴隷」であるとそれでも強弁す るとすれば、知らな過ぎるのか、愚かで騙されているのか、そうでなけ れば関西人が冗談めかして言う「いくらか貰うてんの?」なのかもしれ ないが、あまりにも馬鹿げた話である。

◆問題にして騒ぎ出す者たちの狙い

 次に、軍関与の暴論について証言する。私は二十歳で現役兵として入 隊、直ちに中支の江西省南昌の部隊に出征した。初年兵教育が終わって 作戦参加、次いで幹部候補生教育、途中また作戦と、一ケ年一度の外出 も貰えずに久留米の予備士官学校に入校してしまったから、外出して 「慰安所」の門を潜る機会に恵まれなかった。

 だが初年兵教育中、古い兵士には外出がある。外出の度にお土産をく れる四年兵の上等兵に「外出でありますか」と挨拶したら「オー、金が 溜ったから朝鮮銀行に預金に行くんだ」と笑って返事をしてくれた。周 りは周知の隠語だからクスリと笑うだけだった。

 南昌には師団司令部があった。「慰安所」には内地人も朝鮮人も中国 人もいて、兵士は懐次第で相手を選んで遊んだのだろう。私は幹部候補 生の教育を、南昌から三十キロ以上も離れた田舎の連隊本部で受けた。

 「慰安所」は連隊本部の守備陣地の一隅に鉄条網で囲まれて営業して いた。教育の末期に候補生だけで本部の衛兵勤務につくことになった。 もちろん勤務は二十四時間である。

 私は営舎係だったので歩哨に立たないから何度も歩哨を引率して巡察 に出た。巡察区域の中に「慰安所」も含まれていた。前線の歩哨は常時 戦闘準備をしている。兵舎内の不寝番でさえ同様だ。鉄帽を被り、銃に は弾を装填し夜間はもちろん着剣である。その姿で「慰安所」の周囲だ けならまだしも、屋内も巡察し、責任者の差し出す現在の利用者数の記 録を確認する。軍規の維持とゲリラの奇襲攻撃を警戒しているからであ る。

 考えてみるまでもない、そこで遊んでいる兵士は丸腰どころではな い。もっと無防備で不用心な姿の筈である。その将兵を守るべき責任は 部隊にあるのは当然だ。それに性病予防の問題もある。そんな田舎に医 師や病院がある筈がない。性病予防のため軍医や衛生兵が検査を実施す るしかない。

 「慰安所」の経営者は中国人だったし、日本では当時公認の娼妓と呼 ばれた女たちも中国人だった。彼らも食料やその他の生活用品が必要 だ。大人数なのだから、それなりの輸送手段もいる。辺鄙な場所だから 部隊に頼る以外方法がない。部隊が移動する時もそうなるだろう。

 私の話す湖北省の言葉もだいたい通じたので、経営者と立ち話をして 彼女たちについてそれなりの様子も聞き出せた。今でも「慰安所」の両 側に部屋のある中廊下を巡察した不粋な自分の姿を思い出すが、こんな 漫画にもならない風景が現実にあったのだ。これは私の部隊だけではな いと思う。

 もう六十年も昔のことである。時代が変わり、また平時と戦時の違い もある。したがって娼妓(ここでは慰安婦に相当する)に対する解釈も 当然変化している。そうであるにもかかわらず、すでに証拠も不完全に なっていることを幸いに、今更これを問題にして騒ぎ出す者たちの狙い は何なのか。言えることはただ一つ、不完全だからこそ喚き散らしてい れぱ、何かが得られると狙っているということだ。

 戦場に身を曝し、敵弾の洗礼を受けた者として最後に言っておく。こ のことだけは確かだ。野戦に出ている軍隊は、誰が守ってくれるのだろ うか。周囲がすべて敵、または敵意を抱く住民だから警戒を怠れないの だ。自分以上に強く頼れるものが他に存在するとでも言うのならまた話 は別だが、自分で自分を守るしか方法はないのだ。

 軍は「慰安所」に関与したのではなく、自分たちの身を守るための行 為で、それから一歩も出ていない。

 「異常に多く実を結んだ果樹は枯れる前兆」で「種の保存の摂理の働 き」と説明されるが、明日の命も知れぬ殺伐とした戦場の兵士たちにも この「自然の摂理」の心理が働くと言われる。彼らに聖人君子か、禅宗 の悟りを開いた法師の真似をしろと要求することが可能なのだろうか。

 現実は少ない給料の中から、その三分の一を「慰安所」に持って行っ たことで証明されている。有り余った金ではなかったのだ。

 「兵隊さん」と郷里の人々に旗を振って戦場に送られた名誉の兵士 も、やはり若い人間なのだし、一方にはそうまでしてでも金を稼がねば ならない貧しい不幸な立場の女性のいる社会が実際に存在していたの だ。買うから売るのか売るから買うのかはともかく、地球上に人が存在 する限り、誰も止めることの出来ないこの行為は続くだろう。根源に人 間が生存し続けるために必要とする性さがが存在するからだ。

 「従軍慰安婦」なるものは存在せず、ただ戦場で「春を売る女性とそ れを仕切る業者」が軍の弱みにつけ込んで利益率のいい仕事をしていた と言うだけのことである。こんなことで騒がれては、被害者はむしろ高 い料金を払った兵士と軍の方ではないのか。

コメント

 私は小野田さんがウソをついているとは思いません。しかし暴力で自由を奪われ、慰安所に連行された人がいるのも事実です。

 やはり立場によって見方も、接し方も、考え方も違うのでしょう。芥川龍之介の「羅生門」・・・ヤブの中でしょうか。

 難しい問題です。・・・・

 私が小学4年生の頃でした。田舎で父と同級生だった小学校の教頭先生が自宅に来られたことがあります。父と二人で自宅の2階に上がり、神棚にあった日本刀を抜き、刃こぼれの跡を示しながら、「中国人の首を切った時にできた刃こぼれ」と話しているのを偶然聞きました。それから二階にあがるのが怖かったですね。

 それから数ヶ月か、数年して、夢で父の生首が2階の部屋に転がっているのを見ました。正確に話せば、夢では父の生首を誰かが私に投げつけたのです。私はその父の首を両手で抱きかかえました。もちろん夢です。

 でも、それから怖くて2階には一人で上がれないようになりました。子供の頃に私が体験した最も怖い思い出です。厳しくも優しい父でした。でも、その怖い夢のことを誰にも話さず、今までだまっていました。あくまで夢の話しなのですから。だれかに話せば本当になるかと怖がっていました。

 自宅にだれもいない時、一人で2階に上がって、神棚にあった日本刀を抜き、その刃こぼれを自分で見たのは中学2年生頃だったと思います。かなり長い間見ていたように思います。夢で見た恐怖心を克服するのに3〜4年ぐらいかかりました。

 

ロシア軍の新兵器と旧型兵器の問題。(9月20日)  

届いたメール

   神浦さんこんにちわ。いつもご苦労様です。600万アクセス とはすごいですね。いろいろな方が読まれている証ではないでしょうか。

 ところで本日、ロシアの新型SLBMのコメントを載せておられましたが、軍拡競争にも困ったものですね。この件は外国の庶民がとやかく言っても、どうにもなるものではないと思いますが、一 つだけ納得いかない点があります。

 以前報道されていましたが、ロシア経済がガタガタの頃、退役 した原子力潜水艦の放射能漏れを懸念して、日本が解体作業を行っていたそうですね。これは現在も行われているのでしょうか。ロシアの経済も順調に成長してきた今日、新兵器で他国を威嚇するくらいなら、自国の軍艦の始末くらい自分でつけろと言いたくな ります。それならいいですよと放置されたのではたまったものではありませんので、難しいことだとは思いますが、低レベル放射性 廃棄物を日本海に海洋投棄するなど、放射性物質に関する意識の低さには困ったものです。

 以前に、「ロシア人は好きだけどクレムリンは嫌いだと」いう話を思い出してしまいました。

コメント

 ロシアで破棄された原潜の解体は、アメリカや日本の資金援助で行っていました。しかし今では解体作業が完了していると思います。

 先日、高知県沖の豊後水道の出口で、国籍不明の潜水艦が領海を侵犯しまた。なぜこの潜水艦がロシア海軍のものではないかというと、ロシア軍は乏しい潜水艦予算を戦略核ミサイル・システム(SLBM)の維持・更新に投入しています。いわゆる水上艦船や敵の潜水艦を攻撃する攻撃型潜水艦(SS,SSN)には使っていません。(外貨稼ぎに輸出用の潜水艦などは作っていました)。だから韓国軍を除けば、あの海域に出てくる潜水艦は中国海軍となります。

 ロシアはアメリカをいつでも核攻撃できる能力を維持することで、アメリカや国際社会から一流国としての対応を求めています。アメリカの頭部や心臓に銃口を突きつけることで、ロシアが「舐めるなよ」と脅しているわけです。ロシアは冷戦終結でソ連邦が崩壊し、経済が破滅しても、戦略核戦略だけは維持し続けました。ロシア軍は兵士ばかりか、将校にも給料が払えず、住む住宅がなく、食料が不足しても、戦略核だけは捨てませんでした。

 最近、重油や天然ガスなどのエネルギー高騰で、ロシア経済が好転し、ロシア軍への軍事支出が増えたといっても、やっと将校に給料が払え、住宅が提供出来るようになったばかりです。ロシア軍の兵士としては、いつまでも戦略核兵器ばかり優遇しないで、戦闘機や潜水艦などの通常兵力を強化しろというロシア軍内の一部の声が高くなっています。

 

 600万件、おめでとう。中国から毎日見ています。(9月19日)  

届いたメール

  神浦さん。中国在住の00です。

 

 ご無沙汰しています。 5月にメールを送って以来、ご無沙汰していました。 しかし、JRーCOMは、毎日、見ています。


 600万件のアクセスおめでとうございます。 神浦さんの発信に関心を持っている人がいかに多いかを示していると思います。

 こちら(中国)にいると、かえって中国のことが見えなくなります。 日本を含む外の情報から、中国について知ることが多いかも知れません。

 それにしても、オリンピックの開始とともにロシアのグルジア侵攻、オリンピックが終わると、北朝鮮の領導者様のお具合についてのニュースなど、息つく暇もないように世の中動いていますが、次の総理を誰にするかで、国政が機能していない日本をみていると、心配になってきます。

 毎日の新聞記事へのコメント、大変参考になっています。 これからも、コメント記事、関心をもって読ませていただきます。

 また、フルマラソンやサイクリングなど、体力練成もやっておられる様子。同世代として励みになります。

   それでは、また。 粉ミルクで騒いでいる中国より

                                     00

コメント

 ありがとうございます。600万件アクセスで多くの方から祝電(メール)を頂きました。改めて、皆さんにお礼を申し上げます。

 中国の粉ミルク問題の報道を見ていると、昔、日本で起きた粉ミルクのヒ素混入事件を思い出します。国が発展する過程で、同じような社会問題が起こるのかと、不思議な気持ちで見ています。

 それから、私のHPは海外で読まれている方が多いようです。いろいろな国から届いたメールを頂きます。日本の新聞記事はネットで読むことができても、それにコメントしたり、解説するサイトが少ないからだと思います。

 日本から外国の大学(院)などで、国際政治などの勉強で留学している人は、ぜひ読んで頂きたいと願っています。日本の国防(防衛)の現状と問題点を知るためです。

 これからも、皆さんと一緒に成長していきたいと願っています。よろしくお願いします。

 

 600万アクセスおめでとうございます。(9月18日)  

届いたメール

  神浦さんこんにちは。

 本日J-RCOMを拝見し、600万アクセス達成を心より祝福します。

 「長かった…!」という感慨は、受験合格、念願の会社立ち上げと同様に大きいものと察します。

 話は変わります。昨日、今日と、海自の「潜水艦の音は録音しなかった」と、空自の「飛距離20kmのPAC3 が、60〜120km飛んで迎撃実験成功」など、素人目にも頓珍漢な「大本営発表」が目にできました。

 しかし、これは自衛隊や政府が一般国民を愚弄しているのではなく、意図的に能力、意思に欠けている、政治的空白の時期にあり何も決断できない、国際法も自陣営の装備の性能も知らない…と「演じている」という、極めて高度な「心理戦」の一環ではないのでしょうか。

  ただ何も決断できない。無責任体質が蔓延というのは、日本の規模、影響から言って無いように感じます 。

 昭和時代の学園漫画、青春漫画の王道パターンではありませんが、転校時、最初は自分を軟派とか文学少年のように見せかけておいて、計算通り「おいこら!お前生意気だぞ」とちょっかいを出してくる「自称不良」が「かかった」ら、本性を現し、敵(不良)を完膚なきまでに叩きのめし、自らの意思を解らせる作戦。

  …という強さも 日本は場合により、持っていると考えます。

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 あなたのようなアニメ世代は、今回のことをそのように考えるのですか。もしかして自称アニメ・オタクの麻生さんも同じ発想かもしれません。先日の水害発言(名古屋で)も、そのようにアニメ世界のように考えていた気がします。

 でもPAC3が発射後30秒で迎撃など、あまりにも長すぎると誰でも気がつくと思います。引用した共同通信だけでなく、時事通信の記事でも30秒になっていましたから、アメリカの試射・現地で空幕の広報が公表した数字だと思います。

 そんな基本的な数字を間違えるのに、射場のモニターを見ている観客が、迎撃の瞬間の映像を見て拍手喝采するシーンはTVニュースで流していました。まるで拍手喝采をするシーンを撮ることが目的で、この試射が行われたのではと疑うような広報シーンでした。

 また記者が間違った記事を書いても訂正されることは希(まれ)で、逆に自分の間違いを正当化する記事(誤った)を書く傾向があります。そのために読者は、どんどん事実と違った方向に引っ張られます。外報や軍事のように専門性の高い分野では、特によく顕著に見られる特徴です。自衛隊のカンボジアPKO(UNTAC)の時にその害を痛感しました。今までに、日本のミサイル防衛(MD)を称賛する記事を書いたために、今頃になってMDが間違っていると指摘されると、さらにMDを称賛する記事を書くような人の例です。

 

 「政権投げ出し」と政府の危機管理について。(9月17日)  

届いたメール

  神浦さん、福岡の00と申します。いつもHP楽しみに勉強させていただいてます。

  さて15日の読売に、石原信雄・元官房副長官の興味深いインタビューが載っていたの でご参考までに報告します。

  石原氏「細川護熙首相が(1994年4月に)辞意を表明し、次の(羽田)内閣ができるまで約20日間、ブランクがあった。当時、北朝鮮の核開発疑惑をめぐって、米国が実力行使をするかもしれない緊迫した状況だった。しかし、政治家に誰も相談することができない。私は、官房副長官を務めていて、本当に困った。」

 94年の核開発問題で、米国が北朝鮮の核施設を爆撃する腹を固めつつあったのは、やは り事実なんですねぇ。 94年2月に訪米した細川首相とクリントン大統領との会談は、当時は「日本の黒字減らしに数値目標を求めるクリントンに対して細川首相が断固拒否し、前代未聞の首脳会談の「決裂」という結果になった」とのみ報じられましたが、実際にクリントンが細川首相に要請したのは「北朝鮮攻撃」の際への備えとバックアップだったということのようです。

  当時、アメリカに「ノー」と言ってきた!と細川首相の人気はますます高まったのを鮮明に記憶しているのですが、その後、細川首相は国民福祉税騒動に佐川献金問題と迷走を繰り返し、4月に「政権投げ出し」となり、石原さんを心底困らせる仕儀になります 。

  この年の6月にジミー・カーター元大統領の訪朝により核問題は一気に落着して事なきを得るのですが、そういう「国家の大事」(しかも事柄上公表できない)を抱えていた にもかかわらず政権を投げ出した細川さんについては「爺さんの近衛文麿以下だよなぁ 」としか思えません。(安部、福田の方がマシかどうかは、もう少し歴史的事実が出てからでないと何とも言えませんが。)

 石原さんの憂国のコメントを引用して、終わります。

  「首相や閣僚、副大臣、政務官は、国民の生命、財産を預かっている。内閣が総辞職するまでは職務に専念してもらいたい。福田さんはまじめな人だから、責務を果たしてく れるだろう。」

 総選挙のドタバタ中に、「有事」など起きませんように・・。

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 私が緊張したのは、金正日が脳卒中で倒れたということを知ったときでした。もし、北朝鮮が崩壊を始めたら、日本政府はきちんと対応できるのかということです。その場合、日本の首相は即断即決を迫られる難題が次々と起きると思います。

 北朝鮮から武装難民が日本海に出てくると、自衛隊に初の治安出動を命令する可能性が高いと思います。日本に難民一時収容所を設置することも考えられます。無論、北朝鮮に緊急で食料や医薬品を送ることも必要です。

 これは戦争をやるよりも難しい仕事かもしれません。いろいろな状況で、いろいろな立場の人を助けるのですから。

 日本の政治も軽くなりましたね。もっと日本の政治の質を上げるために、我々は何をすればいいのでしょうか。嘆いてばかりいてもダメですね。こんどの総選挙では誰かの応援に積極的に動いてみるかと考えています。でも応援した人が地元にいないのです。私自身がもっと危機感を高めないとダメですね。

 

 昨夜のJ−WEVEを聞きました。(9月16

日)  

届いたメール

  神浦さん、お久しぶりです。

 ずーっと前の札幌Offでお会いしました00です。 昨夜のJ-WAVEが面白かったので感想をメールさせていただきます。

  あの番組では現場から総理に情報が上がるスピードが (早いのか遅いのか?は分かりませんが)遅かった事と 現在、実質的には総理不在のタイミングで、 防衛出動の権限を持つ総理不在だからこそのタイミングでしょ? という仮説を持つキャスター角谷氏が、その裏づけになるコメントを 神浦さんから取ろうとして、息詰った展開になっていましたね。

  多分、その仮説が成り立つためには、過去そのような事例が存在する。或いは急遽その必要が生じた程度に何か軍事的な変革があった事が必要と思われます。

  その場合であっても、潜水艦が自らの身を晒すようなインパクトが必要なのか?

 総理不在で軍事行動の意思表示に必要な手順が途切れているから その途切れ具合を確認するという目的だけで『戦略兵器』を出さなくても もっと効果的な確認手段がある事が示されれば、仮説は成り立たなくなる気がします。

  あそこで是非とも神浦さんには、自説の展開のみならず その解説(仮説)の展開に必要な軍事的な"常識"を提示して いただきたかったと思います。

  角谷氏の仮説に対し、その論拠を一つずつ解きほぐして その後に『そんな対した事ではなく、あれは一種の事故で 自衛隊の対応は教科書に掲載されてもよい素晴らしい対応 だった』と締めくくっていただければ、後味もよく 『ゲスの勘ぐり』も是正できたのでは?と感じています。

  軍事的行動となると直ぐに『陰謀説』が湧いてくるジャーナリズムに バカバカしさを感じる人は多数いるかと思いますが、それを是正できる立場にある人はごく少数です。

  その立場にある神浦さんには、これからも是非とも 『週刊誌的バカ騒ぎ』を抑え『冷静に俯瞰する目』を提供していただきたいと思います。

 長文失礼いたしました。今後ともご活躍を祈念しております。

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 放送を聞いていなかった人のために説明すると、

 あたごが潜望鏡を発見したもは午前6時56分で、7時にアクティブ・ソナーを当てています。7時30分ごろにあたごは潜水艦の可能性が高いと判断します。7時40分にあたごから連絡を受けた第3護衛艦隊司令部から護衛艦隊司令部(EF)に連絡。48分にEFから自衛艦隊司令部(SF)に連絡。SFが自衛隊の潜水艦ではないことを確認したのが8時13分です。SFは8時18分に統合幕僚監部に連絡。8時27分に統幕の内局運用当局者から防衛相秘書官に連絡、8時28分に秘書官から防衛相に連絡、同、統幕から、内閣情報集約センターに連絡。そして8時39分に「あたご」が潜水艦を見失う。(この部分は読売新聞 9月15日付け 朝刊より)

 角谷氏は潜水艦の発見から官邸への連絡が遅いと指摘します。しかし私は数日前からこの潜水艦を海自が密かに追跡していたと思っています。あるいは潜水艦を海自が追い込んでいた可能性もあります。そのことに対して私の関心は強いのです。官邸への連絡よりも、海自がどのような作戦をやったかです。ですから中国の潜水艦が潜望鏡を上げた段階で、今回は相手が鬼ごっこの”負け”を認めたことになります。そかしそのことを海自と政府は何も言わないでしょう。その言わない日本政府が怪しいとということになります。

 しかし国籍不明の潜水艦が日本の領海を侵犯した事実だけは残ります。わずか7キロでも領海侵犯は侵犯です。

 わたしにとって、何時何分に誰が誰に連絡したといういうのは事務処理で、今回のようなケースではさほど需要ではないと思いました。しかし角谷氏は中国の潜水艦が官邸サイドの危機管理能力を調べるためにわざと領海侵犯した可能性を疑います。なにしろ今は福田首相の指揮監督は地に落ちていますから。そこで角谷氏はそのことを問題視して私に追及するのです。そこで私は「今回の事件は軍事では大きな事件ではない。海自の行動は教科書に載せられるぐらい上手にできた」と話しました。

 今回は、海自が下手をやっとか、官邸の危機管理がどうのという事件ではないのです。角谷氏も言っていましたが、これは政治評論家(シビリアン)と軍事評論家(ミリタリー)の認識の違いがあるのかもしれません。

 ところで、あのFM放送の番組は関東エリアだけと思っていました。北海道で聞いていただけたなんて凄いですね。角谷さんとは仲がいいので、北海道の知り合いから「聞いたよ」ってメールが来たと伝えておきます。喜ぶと思います。

※後日、この方からメールが届いて、今は、横浜に転職してお住まいとのことでした。

 

 「国籍不明潜水艦 高知沖で発見の件」でお尋ねします。(9月15日)  

届いたメール

  神浦元彰さん

前略

  いつもタイムリーな軍事情報をありがとうございます。 興味深く拝見しております。 さて 本日の標記、最新情報について下記の疑問がございます。 ご多忙のところお手数と思いますが、宜しくお願い致します。  草々


               記

★所長のご説明ですと、潜望鏡の発見前から国籍不明潜水艦を追尾していたとのこと、 であれば事態の掌握はかなり前からできていたと思います。
 

 それなのに首相への報告時間が潜望鏡発見から1時間30分後にされた。 報告の準備はかなり前からできる状況で、報告に1時間以上掛かったのは何故でしょうか?  気になるところです。

                                           

                                           以上

コメント

 政府は99年3月、能登半島沖の「不審船領海侵犯事件」を受けて、小渕首相(当時)は「海上警備行動」(自衛隊法82条)を発令し、初めて海自は護衛艦の速射砲による警告射撃と、P3C哨戒機による爆弾投下(警告)を行い、武力を行使しました。

 この事件を受けて、外国の不審船が領海侵犯をした場合、連絡を受けた首相の判断で海自に海上警備行動を発令するように内規を改めました。04年11月に中国の潜水艦が沖縄の先島諸島で領海侵犯したときにも「海上警備行動」は発令されました。対象となる不審船の中に、領海を侵犯した国籍不明の潜水艦を含めたのです。

 公海上であれば、海自の潜水艦やP3Cが米空母などに接近する潜水艦を阻止したり、追跡することは珍しいことではありません。その場合は、海上警備行動の発令対象にならないので、官邸に報告する必要はありません。音紋などの特異情報を収集して保管します。後日、母港に帰港した潜水艦の情報(衛星写真など)で艦名を照合します。

 今回は、@ 日本の領海を侵犯した、A 潜望鏡を見せて潜水艦であることを露呈させた、この2点で官邸に報告したのだと思います。

 人の家の庭に入ってきたので、アクティブ・ソナー(石ころ)を当てて追い払ったのです。冷戦時代に対馬海峡の海底には、ロープ状の水中マイクロホン網を設置し、ソ連の潜水艦が通峡するのを探知していました。同じものが、南西諸島に沿った線に設置されていると見るのが軍事常識です。中国の潜水艦は中国のいう第一防衛線を通過したときに日米の潜水艦探知ラインが捕捉すると考えています。

 日本の潜水艦が装備する曳航ソナーは数百キロの探知能力があります。騒々しい中国の潜水艦なら、日米の潜水艦、護衛艦、P3C哨戒機、対潜ヘリの対潜能力からのがれることは出来ません。普段はパッシブ・ソナーで静かに聞いているだけです。アクティブ・ソナーを当てられることは、足元に警告の一発(銃弾)を撃たれるようなものです。

 あたごが日本の領海に接近してくる潜水艦を等距離で追跡し、「お前はすでに捕捉されている」と威嚇したのです。姿を隠してナンボの潜水艦ですから、姿を見つけられた段階で負けです。

 官邸の危機管理室の防衛担当者には、海自はもっと早い段階で報告していたかもしれませんが、潜水艦がそのまま領海に入らず、立ち去っていれば何の問題もないことなのです。海自も追跡していたことは知らんプリです。中国の潜水艦も追尾されていたことに気がつかないでしょうね。

 今回も中国の潜水艦のか弱さが目立った事件でした。海自の能力が低いとか、官邸の危機管理能力が弱いなんて話しではありません。

 あの潜水艦の艦長は帰国して上司から叱られるでしょうね。まあ、元はと言えば海自を舐めた中国海軍の知識が乏しかったわけです。

 

 横浜港の米軍ノースドックと相模原の米軍補給廠について。(9月14日)  

届いたメール

  神浦さん 以前、グルシアの件で、メールを差し上げたものです。

 9月13日の北朝鮮の有事の際についてのJ-COMのメールの返事の中で、 相模原の米軍補給廠と、横浜港のノースドック(金港町)とが取り上げられ ていますが、この輸送の主体は横浜線ですよね。 現在の横浜線の首都圏通勤路線としての役割からみると、緊急輸送のために この線が使い物になるとは到底思えないのですが。

 現実問題として、もはや戦後直後のように桜木町に機関区があるわけではなく輸送を行う貨物機関車は、横須賀線の新川崎(鶴見機関区)にしかないは ずです。この意味から、一番大事な輸送経路上、現行のJR路線は使えない (使うことによって、国内での首都圏の混乱を起こし、政治問題になりやすい。)のではないでしょうか?

 現状を見るにつけ、陸上輸送が可能なのは、国道16号のバイパス(通称、 保土ヶ谷バイパス)と横浜横須賀道路、横須賀インターから横須賀基地に通 じる、本町バイパス、そして平成埠頭へのルートしかないのではないかと 素人考えでは思うのですですが。

  横浜港のノースドックはあくまで、首都圏臨海部への輸送経路(第一京浜、 第二京浜)としての役割しかない非常用の埠頭だと想像するのですが。

 米軍が、朝鮮戦争時代の日本国内での兵站計画をベースとしたものしかもっ ていないとすると、これはおろかな計画だろうとおもいますし、自衛隊自体 が、相模原の意識した計画があるとは思えないですが...

コメント

 相模原補給廠の野戦病院システムはコンテナに分散して内蔵されて保管されています。横浜港まではトラックや大型トレーラーを使うと思います。昔のように貨物列車から荷物を降ろし、港までトラックで運ぶ手間(時間)を省くためにです。相模原補給廠のコンテナの一部は横田基地に運ばれ、C−17などの大型輸送機で韓国に空輸することもあると思います。また、東名高速道から山陽自動車道を経由して、九州など西日本の港湾施設に運ぶ場合もあると思います。

 横浜港のノースドッグの上陸用舟艇はインド洋のディエゴガルシア島から運ばれて来ました。これからイラクで戦争が始まる直前だったので、ちょっと違和感を持ちましたが、それだけ北朝鮮との関係が緊張してからだと思います。あの上陸用舟艇は常に防水や防錆のペンキが塗られ、燃料とエンジンのオイルが抜かれて、バッテリーは外されたドライな状態で保管されています。ですからバッテリーを取り付け、エンジンオイルを入れ、燃料タンクに燃料を入れれば、すぐに動き出す状態です。むろん朝鮮半島有事に備えた事前配備です。C−17輸送機や輸送トラックに乗せることのできないコンテナを運ぶための上陸用舟艇です。

 毎年、ノースドッグに整備状態を見に行っていますが、行くたびに整備状況が高まり、横浜に移送されてきた頃のボロさはなくなりました。横浜にお住まいなら、相模原補給廠の野戦病院セットと、ノースドッグの上陸用舟艇を定点観察されることをお勧めします。たしか野戦病院システムは一度だけ訓練を公開したことがると思います。

 さらに付け加えれば、朝鮮半島(北朝鮮問題)が片づけば、米軍相模原補給廠は日本に返還されると思います。その時、地元に返還されて再開発されるか、陸上自衛隊の即応連隊が宇都宮から移駐してくるか。そのどちからになると思います。

 

 J-RCOMへの願いです。(9月13日)  

届いたメール

  待望

  平素より明解なるJ−RCOMにはお世話に成っており、有難う御座います。

  さて、 日本は米「概念計画5029」に基くような対策プラン、シナリオを持って 準備は出来ているのだろうか。 北朝鮮崩壊による日本への影響(難民、治安、防衛など)についての 所長 神浦元彰論を是非読みたい。

  日本版アーミテージは居るのだろうか・どうすればそのような元自衛官が 現れてくれるのだろう。政府は何故という人物を養成、重用しないのか. 所長 神浦元彰見解を是非 是非 是非

 なぜ、国防を語ると国民は横を向くのか、国会議員はなぜそれでも国防を語らぬのか 所長 神浦元彰論を是非読みたい。

                                 日本J-RCOM党  予備役生

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 本日のWhat New にも書きましたが、日本が北朝鮮崩壊で想定する問題は、第一に武装難民が漂着することだと思います。武装難民といっても、そのまま北朝鮮に留まると、民衆の蜂起で殺される可能性の高い保衛部(諜報・治安機関)の者でしょう。それも日本を目指して逃げてくるのではなく、日本海を航行中に船の機関などの故障で漂流し、日本の船に救助されて日本の港に漂着した場合です。

 自動小銃や機関銃、RPG7程度は持っていると思いますから、海保の特殊部隊や警察の銃器対策班では対応できないと思います。そのような場合は、政府が自衛隊に治安出動を命令して、武装難民に対処させる必要があると思います。もし難民が武装解除を拒めば射殺することもあります。

 北朝鮮からの武装難民を武装解除させれば、その者立ちを韓国に送り返すこになります。そのような協定は、”おそらくある”と思っています。日本は北朝鮮崩壊の時に、備蓄米(100万トン?)を韓国に提供する代わりに、北朝鮮からの難民を韓国が受け入れるという密約です。韓国は日本のコメを北朝鮮のために緊急移送して、北朝鮮から飢えた人が、小型の船や陸地を通って逃げ出す難民を止めたいと考えています。

 また相模原(神奈川県)の米軍補給廠には、野戦病院セットが3セット備蓄してあり、横浜港のノースドッグ(米軍)にある上陸用舟艇で朝鮮半島に緊急搬送します。もし、北朝鮮が韓国に生物・化学弾頭を撃ち込んできた場合の緊急医療システムの根幹になります。そのような緊急移送を日本側は全面的に協力し、韓国における被害の回復に万全を期す必要があります。

 

 日本で政治家が軍事を語らないのは、ひと言でいえば、国民も政治家も「軍事を知らない」からだと思います。今、自民党総裁選で出馬している石破氏は、自ら「軍事の論客」と言っていますが、明らかに軍事オタクの領域です。イージス艦あたごの事故のときは、パニクっていて、軍事を知っている者のリーダーシップとは無縁で・・・・・・・・。小池さんは元防衛大臣と言っていますが、実績ゼロです。首相補佐官時代(安全保障担当)の実績は「マダム寿司」です。自慢げに守屋前事務次官と対立したといっても、「守屋の利権(主に沖縄利権)を奪おうとした」だけです。対立といっても原因は利権の奪い合いです。小池氏の軍事知識は、「私は人の悪口をはっきり言わないように心がけています」・・・・・ということで。

 野党も同じです。民主党の前原氏は自ら安全保障が得意といっていますが、この方も防衛利権だけに敏感で、防衛利権の話しがあると必ず名前が出てきます。この方の軍事知識の程度は、「私は人の悪口をはっきり言わないように心がけています」・・・・・ということで。

 日本は北朝鮮が崩壊して、朝鮮半島に誕生した新しい国(統一国家)が米国と安全保障条約を結べば、北朝鮮の脅威は消滅します。また台湾は馬英九総統の誕生で、中国との親密度が高まり、一気に中国経済との一体化が進行しています。もはや中台軍事対立は過去の出来事になろうとしています。アメリカは台湾へのF−16戦闘機の輸出を見合わせると発表しています。

 日本政府は朝鮮半島、台湾海峡という2つの軍事危機が消滅した時、新たな日本の国家戦略の構図を描くことが出来ていません。中国を無理やり日本の仮想敵にするには無理があるほど相互依存が進んでいます。今はこのことを真剣に考えないと、日本に自衛隊無用論が高まると思います。それこそ、軍事を知らない亡国論です。

 

 イージス艦「あたご」が事故原因を争う方針だそうです。(9月4日)  

届いたメール

  こんにちは。神浦さん。初めてメールを差し上げます。名古屋に住んでいる00と申します。35歳の会社員(商社関係)です。

 このホームページは3年前頃から拝読しています。いつも神浦さんの鋭い切り込みと、明解な分析方法に、何か事件(軍事関連)が起これば、すぐここにアクセスする習慣がついてしまいました。

 おかげさまで軍事の面白さ(よい意味で)を知ることができました。ありがとうございます。

 今回はちょっと神浦さんのお考えを知りたくなりメールしました。それは本日のNHKニュースでやっていたのですが、イージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故で、海難審判が横浜で始まったそうです。

 そのニュースで気になったのですが、「イージス艦の当直士官が海難審判所では清徳丸の責任を争う」と報じていました。清徳丸が急に舵を切ったために衝突したと主張するそうです。今さらそんなことを言っても誰がそのことを証明するのでしょうか。イージス艦の航海レーダーの記録(画像データ)が残っているのでしょうか。

 今までにイージス艦に衝突責任があると報じられていたので、何だか変な気持ちになりました。清徳丸に乗っていた2人の親子は死亡しています。それでも清徳丸側の責任が新たに問われることになるのでしょうか。

 まだまだ厳しい残暑が続くそうです。お体に気をつけて残暑を乗り切ってください。そうそう、うちのヨメも神浦さんのフアンです。「昼間、神浦さんがテレビに出ていたよ」って、よく話してくれます。頑張ってください。

コメント

 残念ながら、あたごの航海レーダーの画像データは記憶(保存)されていなかったようです。ただ機関室にある前方監視のビデオ映像に、衝突寸前の清徳丸が映っている(保存済)だけです。あの画像では清徳丸が急にコースを変えて、あたごに衝突したという証明は難しいと思いました。

 しかし海上では衝突防止のため、すべての船に「見張り」の義務があります。清徳丸側も当然ながらその「見張り」の責任があります。あたごとしては、海難審判で責任の度合いを軽減するために、清徳丸の見張りの不十分を主張するのだと思います。刑事裁判でいうところの法廷戦術ですね。

 私としては、あたごが衝突直後に後進全速をかけたような気がします。すなわちあたごのブリッジでは清徳丸の接近にまったく気がついておらず、衝突の衝撃で初めて気がついた様な対応をとっています。清徳丸が衝突直前に急に舵を切ったために衝突したという主張は認めて貰えないのでは。

 私は30歳の頃から小型のヨットを始めて、すぐにエンジンやキャビンがついたクルーザー・ヨットに転換しました。あたごが事故を起こした海域は、東京湾から伊豆大島や伊豆七島方面に行く時に通過する海です。いわば私たちの遊び場だった海域なのです。ですからちょっとだけ衝突した事情を客観的に考えることができます。海は楽しい時も怖い時もあります。私自身、油断していて怖い思いをしたことが何度もあります。その油断も、ほとんどが「見張り不十分」が原因です。たぶん、これはヨットをやっている方の共通した認識と思います。

 奥さんによろしくお伝えください。これから秋になるとランニングを再開します。この年になると、夏は暑くてランニングは無理です。涼しくなってそろそろ再開です。10月中旬にはマラソン大会(10キロ)にエントリーしています。これから少しは身が締まってテレビに映ると思います。

 

 米国の黒海派遣について考えました。(9月1日)  

届いたメール

  神浦さん

  横浜にすんでおります、00と申します。国際政治については、 ちょっとTVなどで名前が良く出る国際軍事評論家の00と 中学・高校が同期のものです(笑)。

  じつは、今回のグルシア(ジョージア)問題は、日本では北京オリンピック の報道で一切報道していない時期から、CNNなどのニュースを見ていて、 日本の報道が、事実に関して違和感を覚えるような偏った報道でしか、 一般人は語られていないのではないか?と思っているものです。

  たしかに、日本から見た場合、プーチン体制でのロシアは、友好関係の高い 米国、欧州に外交的には近い立場をとるべきかもしれないのですが、 あえて、黒海、カスピ海という地政学的にみて、あまり深入りすべき場所でないケースにインテリジェンス(といっても、単純に情報集めでなく分析力ですが。00の解説などをきいてても、この点でいまいちなんですけどね。)が発揮されていないとみているのですが。

 前置きは長くなりましたが、

  今回は、なぜ、米国がCoastGardの船舶を利用して援助物資を運ぶ必要性があったのか? 護衛にエイジス艦をつけるにしてもですが。 プレゼンスとして、大学教授時代からロシア分析のプロといわれた、黒珍 (ライス国務長官ですが(笑))が、自己のブッシュ後の就職活動のために、最後のおろかな行為におよんだ(ロシアの熊を刺激した)としか見えな いのですが。

  共和党の古くからのパックスアメリカーナとモンロー思想が根底にある考え からみれば、あえて、自国を出す必要もなく、今回、グルシアの大統領を消 しかけたフランスのサルジオのフランス艦やメルケンのドイツ艦を出すだけ で十分なはずだと思うんですが。

 たしかに、地中海には、第四艦隊があり、これが行動するという言い訳はで きるとは思いますが、イラン、イラク問題や、ベイルート問題からかんがみ て、あえて地中海艦隊のエイジス艦を出す戦略的必然性(外交を含めてです が。)がないように思うのですが。

  米国といえど、NATOの一部にたしかなっているわけで、NATO対CISの対決構造を作るにしても、今回はロシアの熊をつついたのは、おろかな行為以外のなにものでもないと見ているのですが。 ポーランドももともとNATOからみたら、過去の第1次、第2次大戦のときと同様、下手な暴発を起こす火種国家であり、NATOからみた場合、あえて、 ポーランドにMD基地を設置する価値すらないとみるのですが。

 こういう観点での考察をどのジャーナリズムも分析していないようにみうけ られますので、長文になりましたが、神浦さんの分析なりを拝見したくこのメールを差し上げています。

  今回のグルシア問題は、ロシアの周辺諸国の内紛(とくに自治州で、もとも とグルシア政府が統治していない地区の問題。)にNATOが引き込まれるとい うおろかな選択をしているとしか思えないもので。

 プーチンからみても、パキスタン情勢の変化等からチェチェンの再発、中国におけるチベット問題からみて、あえて、行動すべき価値ある地位ではないと(ポーランドがNATOに入りたがっているとしても、NATOが無視している間は、ほっとけれる地域であるわけですから。

コメント

 日本のメディアの中(一部)に、グルジア軍の南オセチア進攻は、アメリカやNATOがけしかけたという報道がありました。ロシア軍をグルジアにおびき出して、国際的な反露的な世論を起こすためだそうです。でも、これは明らかに間違いだと思います。本日のWhat Newに書きましたが、グルジア侵攻でロシアが得たものと、失ったものを比較すると、ロシアが得たものが大きいと思うからです。

 ロシアが得た何より大きな成果は、グルジアがロシアを迂回する欧米向き燃料の輸送路ではないという点を露呈させたことです。これでグルジアの政治的な価値は激減しました。

 アメリカが黒海(グルジア)に海軍と沿岸警備隊の艦船を派遣したのは、ロシアの得た成果を軽減させる程度の効果しかなく、反撃や対露圧力にはほど遠いと思います。


 
※これ以前のデータはJ−rcomFilesにあります。