約100着の制服が見つかった教諭の自宅マンションには、“鑑賞”のためか、上下紺色で名札付きの女子中生の制服8着が、壁際にズラリと並んでいた。
窃盗容疑で捕まったのは、大津市立仰木中学校の教諭、織田吉浩容疑者(39)=同市国分。
大津北署の調べでは、平成18年5月22日深夜から早朝にかけ、滋賀県竜王町立竜王中学校の教室に、窓ガラスを壊して侵入。机の上にあった女子の制服8着や靴下、ブラウスなど計25点(15万円相当)を盗んだ疑い。同校は自転車通学が多く、ジャージーで登校→校内で制服に着替え→再び着替えてジャージーで下校する生徒が大半。動機の解明を急ぐ同署は「容疑者は同校の卒業生でもなく、勤務経験もない」と説明した。
逮捕のきっかけは今月10日。容疑者が自分の中学で担任する2年の生徒が、昼休みの教室で「カメラあるんちゃう?」と声を上げた。
生徒が指さしたのは黒板の上に掲示され、クラスの教育目標が書かれた紙。箱状の段ボールの工作物に張られており、約3ミリの穴があった。
生徒の報告で学校側が容疑者に事情を聴くと、「自分が設置した」と話したため、大津北署に通報。調べに「制服を盗んだ」と自供し、11日に逮捕した。
その後の捜査で、教室の前後にある黒板上の掲示物の裏から、小指の先大の小型カメラ計7台を発見。配線は、稼働していなかった1台を除き、天井裏の排気口近くに隠されていたビデオデッキにつながっていた。
体育の授業前、女子が着替える教室に、高感度がウリの電荷結合素子(CCD)カメラを前後各3台ずつ設置。黒板の角と中央に隠されており「あらゆる角度からの撮影が可能」(捜査関係者)だった。
さらにタイマーで作動するようセッティング。同署は「時間割を把握する容疑者が、体育前の時間帯にセットしていた可能性が高い」とし、カメラ映像を解析し、余罪を追及する。
仰木中によると、容疑者の担当教科は国語で、10年前から同校に勤務。バスケットボール部の顧問でもあり、「教育熱心な先生」と説明した。