【ワシントン及川正也】米共和党大統領候補のマケイン上院議員の選挙遊説で、聴衆から民主党候補のオバマ上院議員を激しく中傷する発言や「(オバマ氏を)殺せ」と物騒な発言も飛び出し、マケイン陣営が対応に苦慮している。
米メディアによると、マケイン氏が10日に訪れたミネソタ州では聴衆から「オバマは米国を社会主義国にしようとしている」「オバマが率いる国で子供を育てたくない」と怒りをにじませた発言が相次いだ。
最近の遊説ではオバマ氏を「売国奴」「テロリスト」と叫ぶ「人格攻撃」や、共和党副大統領候補のペイリン・アラスカ州知事の遊説では「彼を殺せ」の暴言や黒人差別的なヤジが相次ぎ、殺気立った空気という。
マケイン氏は当初、聴衆のヤジに「オバマ氏は過激で極左」と応じていたが、あまりのエスカレートぶりに10日は「礼儀正しくしよう。オバマ氏は立派な人物で、怖がることはない」と支持者をなだめにかかった。
しかし、逆に支持者の怒りを買い、マケイン氏がブーイングを浴び、これを陣営スタッフが「マケイン!」の合唱でかき消そうとする異様な雰囲気。支持者は「超党派的活動」を訴えるマケイン氏に冷ややかで、かつて反政府過激派メンバーだった大学教授がオバマ氏の支援者だったことを追及し「攻撃的」になるよう迫っている。
10日のニューズウィーク誌調査ではマケイン氏は41%でオバマ氏52%に水を開けられ、支持者に不満が募っている。オバマ氏は「汚い攻撃があふれている」とマケイン陣営を批判している。
毎日新聞 2008年10月11日 18時17分