■個室ビデオ店放火、小川容疑者
大阪市浪速区の個室ビデオ店「試写室キャッツなんば店」で15人が死亡した放火事件で、殺人容疑などで逮捕された無職、小川和弘容疑者(46)が平成16年秋、母親の死亡に伴い、遺産や実家の売却などで現金計約5000万円を得たにもかかわらず、わずか2年間でギャンブルなどに使い果たしていたことが12日、分かった。小川容疑者は消費者金融で借金を重ね、今年4月からは生活保護を受給していた。
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13日から大阪地裁は、小川容疑者の10日間の勾留(こうりゅう)延長を認めた。浪速署捜査本部は、小川容疑者が収入のあてがなくなったことなどから絶望感を抱いたとみて、これまでの生活状況を詳細に調べ、放火に至った心理状況の解明を急ぐ。
調べでは、小川容疑者は2年、公務員だった母親の退職金を頼りに大阪府門真市に3階建て住宅を購入した。6年に妻と離婚してから生活が荒れ始め、競馬やパチンコにのめり込むようになったという。
13年には大手電機メーカーの希望退職に応じ、約1000万円の退職金を受け取ったが、1年後には消費者金融から借金を重ねており、わずか1年で退職金を使い果たしたとみられる。
16年には母親が病死し、一人っ子だったため遺産をすべて相続。生命保険金や実家と門真市の自宅の売却で、総額約5000万円を手にしたという。
小川容疑者はこの金で100万円余りの借金を返済するとともに、約1300万円で大阪府東大阪市の中古マンションを購入した。手元には約3500万円が残った計算だが、2年も持たずに使い果たしたとみられ、18年夏ごろには再び消費者金融から借り入れを始めていた。
知人によると、小川容疑者はキャバクラに通い、「自分の女に店をさせている」と吹聴。ブランド品を身につけ、ギャンブルのかけ金も高額になっていた。
19年4月には借金は600万円になり、マンションを売却して返済。その後、賃貸マンションに移ったが、家賃も払えなくなり、今年4月から生活保護を受給していた。
小川容疑者は電機メーカーを退職後、タクシーや代行運転の運転手などの仕事がいずれも長続きしなかった。無職になった昨年末以降は、鬱病(うつびょう)や心臓病で入院するなど体調が悪化していたという。
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