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「涙は意外だった」と益川さんの妻明子さん

 買い物中に包装紙に計算を始める。「36」という数字に奇妙なこだわり―。今年のノーベル物理学賞に決まった益川敏英京大名誉教授(68)は、変わったエピソードに事欠かない。深い理解で40年以上支えてきた妻明子さん(65)に、益川さんの“素顔”を聞いた。

 「涙は意外だった」という明子さん。記者会見で感極まって涙した夫の姿を「素直に喜びを見せずに突っ張っていたけど、感慨深いところがあったのでしょう」と語る。

 なれ初めは名古屋大大学院時代。物理学教室の事務職員だった明子さんの心を射止めた。1967年結婚。当時買い物に行き、明子さんが洋服選びに迷っていると、益川さんは横で包装紙に計算を始めた。「それならもう一緒に来なくていいわと言ったのよ」

 英語が苦手だが数学が得意。そのせいか数にこだわりがある。36という数が好きで、お風呂に入るのは午後9時36分。明子さんにも理由はわからない。「何かの言葉遊びなのかしらねえ」

 家では仕事をしない主義。小林・益川理論に取り組んでいた時は喫茶店に通い詰めた。近所の人から「コーヒーぐらい家で飲ませてあげたら」とからかわれたことも。夕方、玄関で物音がして見に行くと、かばんだけが置いてある。夫は考え事の続きをするため、近所を歩き回っていた。

 そんな益川さんにとって明子さんは一番の理解者だ。「無理を黙って聞いてくれる。彼女に任せて寄り掛かっていれば大丈夫という感じ」と益川さん。時には多忙から愛妻弁当を残して持ち帰ることも。「僕には空腹という概念がない」というのが言い訳だが「女房に『明日から作らない』と怒られるんだ」。

 週末には滋賀県の琵琶湖畔にある別荘で、クラシック音楽を聴きながら静かに過ごす。2人とも海外旅行をしたことはなく、授賞式で訪れるストックホルムが初めての経験になりそう。益川さんは冗談めかして「英語で講演するなら行かない」と発言したが、明子さんは「誰でもできる体験ではないですよね」と楽しみにしている。

[ 2008年10月12日 15:09 ]

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