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【社会】

自治体病院9割 医師不足 首都圏で本紙調査 6割が診療縮小

2008年10月13日 朝刊

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 関東一都六県(東京、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川)の自治体病院の九割近くで、医師が不足していることが東京新聞のアンケートで分かった。常勤医は必要数の80%にとどまっており、特に内科や小児科、産婦人科、救急部門などで不足していた。六割の病院が診療体制を縮小・制限しており、深刻な医師不足の実態が浮き彫りになった。 

 アンケートは、都県や市町村立の百四十二病院(診療所を含む)を対象に先月行い、65%の九十三病院から有効な回答を得た。

 通常の診療体制を組む上で医師が足りないと回答したのは八十病院(87%)で、診療科ごとの不足常勤医の数の合計は八百三十二人、一病院あたり一〇・四人に上った。九月一日現在の常勤医数は三千四百四十人。この中には必要数以上に医師がいる病院や診療科も一部含まれている。

 不足人数が三十人以上の診療科で、医師の充足率が最も低かったのは救急部門の61%(不足数三十人)。次いで小児科73%(八十二人)、消化器内科74%(三十九人)、産婦人科76%(五十二人)、内科79%(百十三人)の順だった。

 最近五年以内に診療科の廃止や中止、患者の受け入れ制限など、何らかの形で診療体制を縮小・制限した病院は六十一病院(66%)に上った。現在も五十五病院(59%)で制限が続いている。診療科の閉鎖・廃止は二病院、中止・休止は二十九病院だった。

 医師不足の理由(複数回答可)で最も多かったのは、二〇〇四年度に始まった新臨床研修制度の影響で、「大学病院の医局に医師を引き揚げられた」が四十四病院。次いで「診療体制強化や医療の質向上のため」と「応募者がいない」(各四十一病院)、「医師が開業して辞めた」(三十病院)、「過酷労働が原因で医師が辞めた」(十六病院)だった。

 

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