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対決を前に:鳴動・衆院選/下 共産党 埋没を危ぐ、第3極の存在感アピール /長崎

 ◇自・民対決での埋没、危ぐ

 「今の力関係からいって小選挙区での勝利は困難だ。本来は全選挙区に候補者を立てるべきだが、身の丈に合った選挙をやる」。共産党が先月16日に国会内で開いた次期衆院選の1次公認候補の発表会見。新しい選挙方針を説明する市田忠義書記局長は、党勢の実情を語った。

 共産党は昨年、全選挙区での候補者擁立を目標としてきた従来の方針を転換した。次期衆院選の選挙区は「参院比例の得票率8%以上」か「各都道府県で一つ以上」に候補者を絞り、比例代表に力を集中させる戦略を取る。県内の立候補予定者も長崎1区の渕瀬栄子氏(52)のみ。県内で選挙区候補が1人となるのは結党以来初の異例な事態だ。

 「われわれの力不足で選挙区に選択肢を示せないのは申し訳ない」。渕瀬氏が県庁内で出馬を表明した昨年11月、同席した党県委員会の山下満昭委員長はこう漏らした。支持者からは「候補者を立てずに票を伸ばせるのか」との異論もあったという。県内は社民党が候補擁立を断念して民主支援に回るなど「自民対民主」の対決構図が強まっており、共産党の埋没を招きかねない苦渋の決断だった。

 しかし、懸念材料ばかりではない。共産党を活気付かせる「現象」も起きている。

 この1年間の共産党への県内新規入党者数は例年の約1・5倍、約100人に増加した。党県委員会は79年前の小林多喜二の小説「蟹工船」が全国的に再脚光を浴びていることに注目する。非正規社員が増加し、格差拡大に不満を持つ有権者が、労働者の過酷な状況を描いた蟹工船と自らの生活をダブらせているというわけだ。

 雲仙市で建設会社を営む男性(57)は9月、自宅に渕瀬氏らを招いて座談会を開いた。自民支持だったというこの男性は「小泉構造改革で仕事がなくなった。民主党も信用できない」と招いた理由を説明した。

 昨年入党したという、長崎市内の男性会社員(29)は「政治に無関心だったが、弱者切り捨ての世の中に憤りを感じた」と語った。

 2大政党化への反発による第3極としての存在感を示し、党の埋没を回避できるのか。「頑張れば議席を伸ばせる。寸暇を惜しんで頑張ってほしい」。25日に大村市内で開かれた党県委員会の役員会。山下委員長は比例九州・沖縄の2議席確保(現1議席)を至上命題に掲げ、集まった約25人に発破をかけた。(この企画は宮下正己、山崎太郎、錦織祐一、柳瀬成一郎、下原知広、阿部弘賢が担当しました)

〔長崎版〕

毎日新聞 2008年10月2日 地方版

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