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佐賀県
県内でも共産に「蟹工船」ブーム 入党150人 選挙に追い風
[ワッペン・決戦の時 さが 衆院選へ]
派遣労働者や若者の所得が低迷し、全国的に格差問題が顕在化する中、小説「蟹工船」ブームに乗って、共産党の党員が県内でも増加している。同党県委員会によると、この1年で約150人が新規入党し、1990年代半ばの低迷期から約600人を上積みしたという。同委員会は「次期衆院選への追い風にしたい」と、演説会などで格差問題への切り込みを強めている。 (佐賀総局・布谷真基)
プロレタリア文学の代表作「蟹工船」(小林多喜二著)は1929年に出版。カムチャツカ沖でカニを捕る労働者の過酷な実態を描く。ワーキングプアなど現代の社会問題と重なり、紀伊国屋書店佐賀店でも、18週連続で文庫本ランキングの10位以内に入っている。
同党県委員会によると、今年8月までの1年間、毎月20-10人程度が新規入党しており、2006年1月以降の入党者は約280人に上る。年代層も18歳から90代まで幅広いという。同委員会は「格差問題や医療制度への不満が入党の要因」と分析する。
また、10年以上、部数の減少が続いていた同党の機関紙「しんぶん赤旗」も、党員の増加に伴い、今年に入って部数がプラスに転じた。日刊・日曜版を合わせると、昨年より約100部が増加しているという。
こうした状況を背景に、これまでほとんど交流のなかった医師会などの業界団体が党幹部の演説会に参加したほか、保守系政党との意見交換会も実現した。28日には、佐賀市内で大門実紀史参院議員を招いて演説会を開き、大門議員が日雇い労働者解消に向けた同党の努力を強調した。
同党は次期衆院選で、比例代表九州・沖縄ブロックの2議席(現在は1議席)の獲得を目指す。平林正勝党県委員長は「(候補を擁立する)佐賀3区はミニ集会と街頭演説を徹底させたい。比例も何とか(2議席獲得を)やれるのではないか」と手応えを感じている。
=2008/09/29付 西日本新聞朝刊=
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