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【対北テロ支援指定解除】北朝鮮、20年来の足かせ外れる
このニュースのトピックス:北朝鮮核問題
【ソウル=水沼啓子】北朝鮮にとって、米国のテロ支援国家指定解除は、大韓航空機爆破事件の翌1988年に指定されて以来、20年に及んだ米国の「対北敵視政策」が終了し、米国から「普通の国」として認められたことを意味する。指定解除により、北朝鮮は国際金融機関の支援を受けることも可能となり、経済的な効果も期待できることになった。
北朝鮮は1990年代に大量の餓死者を出すなど慢性的な食糧難と経済難に苦しんできた。北朝鮮にとって、金融・経済支援を阻んできたテロ支援国家指定の解除は長年の念願であったはずだ。
北朝鮮はこれまでにテロ反対の立場を表明するなど、指定解除に向けた地固めを進めてきた。そして北朝鮮の核をめぐる6カ国協議に、この問題をリンクさせ、巧みな戦術を展開して指定解除を勝ち取った。
しかしテロ支援国家指定が解除されたからといって、これが直ちに経済再建に結びつくとする見方は少ない。世界銀行やアジア開発銀行から低金利の融資を受けるには、まず国際通貨基金(IMF)への加盟が必要となるからだ。IMFに加盟するには透明性・開放性が求められる。
一方で北朝鮮は「普通の国家」としての責任も負わなければならない。まず03年に脱退した核拡散防止条約(NPT)に復帰し、国際原子力機関(IAEA)の核査察を無条件で受け入れるという義務を果たす必要がある。
しかしそもそも北朝鮮は今後、本当に非核化の道を歩むのか。北朝鮮が非核化を達成すれば、そのときには米国との取引材料を失うことになる。今回のテロ支援国家指定解除で、米国との関係改善の足場は築かれたといえそうだが、非核化問題だけをみても米朝関係は曲折が予想される。