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【テロ指定解除】米の専門家は「反対」 (2/2ページ)
このニュースのトピックス:北朝鮮核問題
デービッド・アッシャー氏
今回のテロ支援国家指定解除は、米側が北朝鮮の申告する核施設を検証できるとする合意を根拠としているが、まずこの合意がご都合主義であり効果がない。
北朝鮮の核兵器開発に対し米国や日本が求めるのは、核物質の兵器化や核弾頭ミサイルの配備、核兵器や関連技術の拡散のはずだが、今回の合意はそのいずれも阻止できず、北朝鮮を事実上の核兵器保有国として認知してしまうことに等しい。兵器化や核ミサイル配備に対する予防や阻止の措置も「検証の枠組み」に含まれていないのだ。
北朝鮮は現在も間違いなく主要な「テロ支援国家」だといえる。シリアへの核兵器開発の技術や施設の拡散だけでなく、イランの「イスラム革命防衛隊」への軍事支援一つをとってもテロ支援国家に相当する。
その北朝鮮の指定を解除することは日本にとって二重の危険を生むだろう。第一は米朝間の効果のない「核検証枠組み」により、北朝鮮が日本に照準を合わせて核弾頭装着のミサイルの配備を着実に進めることであり、第二は北朝鮮が日本人拉致問題の解決に努める動機を失うことだ。
北朝鮮への対処には確かに関与が必要だが、同時に封じ込めや抑止も欠かせない。今回のブッシュ政権の動きはその関与だけを先行させ、しかもその関与の内容が空疎となっている。
■デービッド・アッシャー 2001年から第一次ブッシュ政権で国務省東アジア太平洋局顧問として北朝鮮の核問題などを担当