2006年1月12日(木)
パイロットの方々へ
(筆者の思い)
2006年1月12日、豪州AAP社が報じたところによれば、2005年2月にNZで墜落して2人の豪州人乗客が亡くなった軽飛行機の操縦士が、事故前に大麻を吸っていたことがわかりました。
そして捜査機関は、大麻吸引以外の事故原因を見つけられませんでした。
死体検案書には次のように書かれています:
操縦士Steven Brown(36)は事故の12〜24時間前に大麻を使用した。
豪州の旅行者Lewis夫妻は、Christian Aviation社の軽飛行機をチャーターし、ArdmoreからTaupoまで空中遊覧していた。
大麻吸引は飛行機操縦能力に影響を与えるが、その程度は様々で、大麻が事故原因であると結論できるわけではない。
大麻使用で操縦士の精神機能・操縦能力が障害された可能性はあるが、証明はできない。
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Brown操縦士の親族は、彼が大麻を使わない人間だと強く主張しました。
しかし死体検案書は、検知されたレベルから煙の受動吸引ではないと判断しました。
これを受けてNZ交通省は、交通産業における薬物やアルコールの濫用を調査する“物質障害班”を組み、次のような報告書を発表しました。
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Taupo飛行場へ計器で接近中、飛行機は正規路から左にそれ、Tauhara山に衝突した。
商用の操縦士免許を持つ熟練した操縦士が、なぜ最終接近路からそれてしまったのか、不明だ。
Christian Aviation社に近い筋は、操縦士は熟練した高い評価の操縦士だと述べている。
警告装置のTAWSを備えていれば、衝突は回避できた。
実は、Brown操縦士は1995年に大動脈弁の置換手術を受けていた。
診断書によると、心臓は悪化しており、医学的には飛行に耐えられないとされていた。
しかし事故飛行当日、彼の心臓は飛行能力におそらく影響しなかった。
飛行機の機械的欠陥が事故を起こした証拠は見つからなかった。
天候は悪かったが、計器で接近・着陸するには十分だった。
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“物質障害班”はさらに、違法薬物や飲酒を確認する検査体制の欠落、大動脈弁置換を受けた操縦士に対する不十分な健康管理、TAWS警告システム導入の遅れ、の3点を指摘しました。
この事故原因が大麻であろうがなかろうが、大麻が世界に広まりつつある現代において、車の運転能力をも下げる[1]とされている大麻吸引や飲酒後の飛行機操縦は、断固止めていただきたいと思う次第です。
特に操縦士の方々には、大麻が事故を起こしうることをしっかり知っておいてほしいものです。