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「ハングルの日」はなぜ10月9日なのか

チェ・ギョンボン、シ・ジョンゴン、パク・ヨンジュン著『ハングルについて知っておくべきすべて』(本と共に)

 ハングルを作り出した人物は世宗大王なのか、それとも集賢殿の学者なのか。世宗の単独創制説、すなわち親制説を主張するためには、世宗が韓国語の韻音体系や文字の運用法などを念頭に置き28個の字型を作った、という点を証明しなければならない。国語学の教授である本書の著者は、世宗は声韻学に造詣が深かったものの、昔の文字をあまねく参照し韻音体系に適合する文字の創造を一人で進めたという主張は説得力が低い、と語る。「世宗が文字の創制プロジェクトを主導し、これに集賢殿の学者らが参加、委託を受けて業務を遂行した」と見るべきというわけだ。

 ところで、両班(貴族)は果たしてハングルを学ぶ必要があったのだろうか。『朝鮮王朝実録』を見ると、中殿(王妃)・大妃といった王室内殿の最高位層がハングルを使い、王に代わってハングルで教示を下した、という記録がかなり出てくる。これを見ると、ハングルが公的な文書にも少なからず使われていたことが分かる。両班は漢文を中心とする文字生活を送っていたが、ハングルと漢文いずれも読み書きできた。そうした点から、朝鮮時代のあらゆる階層があまねく使っていたのはハングルであり、漢文は利用層が極めて制限されていた文字だった、と著者らは主張する。

 同書はハングルに関連する29のテーマを扱っており、そのほかにも「ハングルの正書法はどのような過程を経て今日に至ったのか」「ハングルの日が10月9日に定められた背景は何なのか」といったことを、周時経(チュ・シギョン)をはじめとする国語学者や朝鮮語学会、国文研究所といった団体の具体的な活躍の姿を通じ描き出している。

シン・ヨングァン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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