阪神・岡田彰布監督(50)が、リーグ優勝を逃した責任を取って辞任することが11日、明らかになった。この日の試合前、横浜スタジアムのロッカールームに選手、コーチ、スタッフらを集めて辞意を伝えた。球団側は慰留を続けるが、本人の意志は固く、退団は避けられそうにない。
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優勝を逃した責任は指揮官に重くのしかかっていた。巨人の優勝が決定した10日夜、岡田監督は南球団社長に対して「これだけのゲーム差を開けながら優勝できなかった責任を取りたい」と辞任の意向を伝えた。
就任5年目の今季は平野、新井の加入もあって開幕から快調に首位を独走。優勝は確実と見られた。ところが、8月の北京五輪出場で矢野、新井、藤川の主力が抜け、失速。9月末には巨人の猛追の前に最大13ゲーム差を追い付かれた。同勝敗で迎え、天下分け目の決戦と言われた『10・8』でも完敗し、141試合目にして首位陥落。奇跡を信じて臨んだ10日・横浜戦にも敗れて2位が確定した。独走状態からのV逸に責任を感じ、辞意を固めた。
03年オフ、18年ぶりの優勝を成し遂げながら勇退した星野前監督の後を受け就任。1年目こそ4位に終わったが、2年目の05年には金本、今岡を中心とした強力打線にウィリアムス、久保田、藤川のJFKを確立してリーグ優勝を果たした。
以降2位、3位、2位と5年間でBクラスは1度だけ。2軍監督の経験から、選手の能力を見抜く眼力と起用に優れ、作戦面においても形にとらわれない自在な発想で勝利へと導いてきた。タイガースを常勝チームへと育て上げた手腕を、球団も高く評価。8月30日にはシーズン途中としては異例の形で、坂井オーナーから直々に来季の続投を要請された。
球団では岡田監督の帰阪を待って12日にも慰留する考えだが、この日の試合前にはロッカールームで選手らに対しても辞任の意向を伝えており、その決意は固い。18日から始まるクライマックスシリーズでの指揮は引き続き執るが「たとえ日本一になっても気持ちは変わらない」と周囲に漏らしており、退団は避けられそうにない。
悲願だった日本一を目指すここからの戦いが、皮肉にも背番号80にとって最後の舞台となる。