【ジャカルタ=矢野英基】インドネシア・ナングロアチェ州の元独立派ゲリラ組織、自由アチェ運動(GAM)の最高指導者ハッサン・ティロ氏(83)が11日、亡命先のスウェーデンから29年ぶりにアチェを訪れた。アチェ和平を仲介したアハティサーリ元フィンランド大統領のノーベル平和賞受賞が発表された翌日とあって、アチェは改めて和平の喜びに沸いている。
ハッサン氏は、76年にGAMを結成し武装闘争を開始。79年から国外に逃れ、亡命先から闘争を指揮した。闘争はスハルト政権の過酷な弾圧を受け、05年8月の和平合意までに1万5千人以上が犠牲になったとされる。政府から恩赦が適用されたが、健康上の理由などで合意から3年が過ぎての帰国となった。
この日、州内各地から支持者がバンダアチェに集結。数万人が押し寄せたモスクでの礼拝で、「故郷に帰ることができてうれしい。今こそアチェを再建する時だ」とのハッサン氏の言葉を代読者が紹介した。
約2週間、州内に滞在し、親族や支持者らを訪ねる予定。