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山梨県出納局長自殺の裏に「巨大汚職」疑惑が発覚

 謎の自殺が、波紋を広げそうだ。

 11日午前7時ごろ、山梨県甲府市の県庁本館の通路で、背広姿の男性が死亡しているのを警備員が発見した。亡くなったのは、県幹部の1人、出納局長の中沢正史さん(58歳)。頭蓋骨が陥没しており、本館の上階から飛び降り自殺したとみられている。

 新聞・テレビはこの飛び降り自殺の事実は報じたものの、その動機は不明としたまま。本誌がその真相を探ったところ、中沢さんを死に追い詰めるほどの大がかりな汚職事件の内偵が進んでいた事実をつかんだ。警視庁関係者の証言だ。

「警視庁捜査2課が、東京の大手通信機器メーカーと山梨県首脳の癒着を暴こうと内偵をしていた矢先だったんです」

 この関係者によると、事件の舞台は山梨県の県立中央病院。現在、全国各地の医療機関では電子カルテの導入が進んでいるが、ここ県立中央病院でも、カルテをパソコン処理して会計窓口に送信したり、レントゲン写真をデータ化して外科や内科の診察室に直送するといった病院全体のオンライン化をするため、通信機器メーカー各社を相手に入札が行われた。

「この入札で、NECが一番安く入札したのに、富士通が落札したんです。なぜかというと、総合評価方式といって、『受注価格が安いだけじゃダメ、性能や技術面も加えて評価する』というやり方を県側が導入したんです。でも、入札が行われた当時から県サイドの口利き疑惑が浮かび上がり、業者間でチクリ合いがあったわけです」(警視庁関係者)

 警視庁はすでに富士通や県庁の周辺者から密かに事情聴取を重ね、立件の方針を固めていたようだ。

「ターゲットは、すでに現職を退いた山梨県首脳。この元首脳から口利きの指示が下り、幹部を通じて事業担当部署を動かしたとみています」(同)

 先ほど触れたように、全国各地で電子カルテの導入に伴い、病院内のオンライン事業の発注が相次いでいる。ひとたび山梨ルートが弾けたら、各地の国公立病院に波及するのは必至の情勢だ。

 果たして、警視庁はこの未曾有の疑惑に切り込むことができるかどうか。
(由利太郎)


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