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【主張】留学斡旋 夢育てる業界の改善急げ
海外留学の仲介会社「ゲートウェイ21」(東京都新宿区)が経営破綻(はたん)し、利用者の留学費用が返還されないおそれが出ている。
斡旋(あっせん)業者をめぐるトラブルは近年増加しており、業者の質向上が強く求められる。
留学希望者の中には長年にわたり費用をためていた人が多い。近く勤務先を退社予定で準備を進めていた利用者もいた。
留学のトラブルは被害も高額で、夢や将来を台無しにする。それだけにずさんな運営、経営は許されない。会社側はさらに納得のいく資金状態の説明や救済の努力を続けるべきだ。
同社は平成9年に設立された。語学留学や海外研修、ホームステイ先などを紹介する業界で「3本の指」に入るといわれたほどの大手で影響は大きい。
東京地裁に破産を申し立て破産手続き開始決定がでた。5日には債権者説明会が開かれている。
留学予定者約1300人が払い込んだ約9億5000万円の返済のめどが立たないほか、授業料などが払い込まれず留学が続けられないケースもあるという。
社長らの説明によると全国展開など経営拡大の一方、売り上げが伸び悩んでいた。流用はなかったとしているが、留学費用を返済できる資産がないという。
トラブルは同社にとどまらない。国民生活センターのまとめでは留学斡旋サービスに関する苦情や相談は、平成15年度以降、毎年500〜600件にのぼる。
法律で旅行業登録が義務づけられる旅行会社と異なり、留学斡旋業者独自の登録制度はない。インターネット上で宣伝している業者も多く、業界関係者も「数は把握できない」という状態だ。
NPO法人(特定非営利活動法人)「留学協会」が、留学の指導・助言をするアドバイザーの認定制度を行うなど、業界のレベルアップに取り組む例もあるが、加盟業者は一部にすぎない。
かつては自ら留学先に手紙を書くなどしたものだが、いまでは斡旋業者が渡航チケット手配から学校選び、手続きまでする。
留学のハードルが下がり、気軽にできる一方で、語学レベルが不十分のまま、帰国を余儀なくされるケースも起きている。業界の環境整備と同時に、安易な留学ではその目的を達成できない。十分な準備や自覚が必要だ。