<聞かせて>人身売買の実態描く──映画監督・阪本順治さん

 
              
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<聞かせて>人身売買の実態描く──映画監督・阪本順治さん

2008/07/29配信


タイを舞台に人身売買や幼児売買春を描いた映画「闇の子供たち」が8月2日から順次公開される。幼児性愛者(ペドファイル)から性的虐待を受け、臓器売買の犠牲者となる子供たちの過酷な現実を生々しく映像化した。「虐待の場面をきちんと撮らないと、お客さんは自分とは遠い世界、と思ってしまう。身近に感じてもらうためにも描かないといけないと思った」と振り返る。

 主人公はバンコクに駐在する新聞記者・南部(江口洋介)。東京の本社からタイの臓器密売の情報を得て、取材を始める。一方、日本からバンコクにやってきた音羽(宮崎あおい)は現地の社会福祉センターで働き、幼児売春や人身売買のおぞましい実態を知る。

 原作は梁石日の同名小説。プロデューサーから映画化の依頼を受けて読んだとき、「全部創作であってほしいと願った」。資料を読み、幼児保護の非政府組織(NGO)などに話を聞くうち現実のことと分かった。なかでも日本人も買春にかかわっていることがショックだったという。

 タイでの撮影の際には、実際の売春宿も見て回った。根が深く、センセーショナルなテーマだけに、「ひとつ間違うと誰かを傷つけるかもしれないという恐怖心をずっと感じていた」と明かす。タイの子役たちだけでなく、国民までも侮辱することにならないか。ぎりぎりの精神状況に追い込まれた。

 観客には「とにかく知って、たじろぐところから始まる。何気ない日常に戻るのではなく、何かを持ち帰ってもらえれば」と期待を寄せる。「この問題についてはこれからも伝えていかないといけないと思っている」。力強い言葉に揺るぎない覚悟がのぞいた。(優)
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