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「秋葉原事件うらやましい」身勝手な持論展開 土浦連続殺傷犯単独インタビュー

10月11日21時5分配信 産経新聞


 「秋葉原事件がうらやましい。僕より多く殺しているから…」。茨城県土浦市のJR荒川沖駅で3月、8人を刃物で殺傷した金川真大(かながわ・まさひろ)被告(24)が先月、水戸拘置支所(水戸市)で産経新聞の面会に応じ、東京・秋葉原で17人を殺傷した加藤智大(ともひろ)被告(26)への“嫉妬”をのぞかせた。「生きているのがつまらなかった」。人生に絶望して無差別殺人に走ったとされる金川被告。面会室での約10分間、被害者への謝罪は口にせず、「自殺する勇気がないから、死刑になりたかった」などと身勝手な持論を展開した。(高久清史)


 《9月25日午前8時半、水戸拘置支所の窓口が開いたと同時に、金川被告との面会を申し込んだ。1日に面会できるのは1組のみ。被告本人が応じなければ面会できない。待合室でしばらく待つと、自分の受け付け番号がアナウンスで呼び出された。金川被告が面会に応じるという。刑務官に促されて携帯電話などをロッカーに預け、金属探知機で検査された後、面会室に足を進める》


 《無人の面会室に入り、椅子に座る。4畳半ほどの部屋はガラス板で被告と面会者の席が仕切られている。包丁を持って駅構内を駆け抜け、8人を殺傷した男との対面が間近に迫り、記者の緊張感も高まる。待つこと約1分、男性刑務官に伴われた金川被告が入室してきた》


 《送検時の映像と同じ丸刈り。グレーのTシャツ、紺の短パン姿で、口の周りには無精ひげ。逮捕直後のような眼光の鋭さはなく、歓迎するような視線だ。金川被告は、はにかみながら着席した》


 《金川被告の起訴事実を振り返ると、次の通りだ。金川被告は3月23日午前11時ごろ、JR常磐線荒川沖駅構内で文化包丁とサバイバルナイフを使って男女8人を次々と刺し、茨城県阿見町の会社員、山上高広さん=当時(27)=を殺害、7人に重軽傷を負わせた。この事件の4日前には、土浦市の無職、三浦芳一さん=当時(72)=方の玄関先で三浦さんを文化包丁で刺して殺害した》


 刑務官「社名を教えてください」

 記者「産経新聞です。金川さん、あなたが何を思って事件を起こしたのか、あなたの言葉で教えてほしくて面会にきました。取材に応じてくれますか」


 《金川被告は、ほほ笑んだ表情をさらにゆるめてコクリとうなずいた。凶悪というよりは弱々しさを感じさせる雰囲気に、「学校にいる目立たないクラスメート」という印象を持つ》


 記者「『死刑にならなかったら、どうしよう』という不安を持っていると週刊誌のインタビューに答えていますが、その気持ちに変わりはないですか」

 金川被告「ないですね。この世の中から消えてしまいたい」

 記者「高校を卒業したころから、人を殺したいと思うようになったそうだすが、このころから死にたいと思ったのですか」

 金川被告「そうですね」

 記者「なぜ死にたいと思ったのですか」

 金川被告「生きていることがつまらなくなったんですよ」

 記者「何かきっかけがあったのですか、嫌な出来事があったのですか」

 金川被告「特にないですね」


 《茨城県警の調べに「死刑で死にたくて事件を起こした」と供述していた金川被告。動機を尋ねられることが嫌なのか、つまらなそうに淡々と答える。金川被告が人生に絶望した理由は、聞き出せない》


 記者「死にたいと思い、その手段として事件による死刑を選んだのですか」

 金川被告「そうです」

 記者「自殺するという方法もありますが?」

 金川被告「自殺というのはどんな方法であれ、自分で自分の体に痛みを加えることになるでしょう。そんな勇気はなかったですね」


 《「当然でしょう」という口ぶりだ》


 記者「あなたに刃物で切りつけられた被害者たちは、かなり痛みや恐怖を感じたと思いますが?」

 金川被告「関係ないですね」

 記者「傷つけた相手や遺族に対して、申し訳ないと思う気持ちは?」

 金川被告「ないですね」


 《ニヤリと笑う金川被告。その表情からは、罪のない2人の命を奪い去ったこと、7人の体を傷つけたことへの罪悪感、後悔が感じられない》


 《これまでの捜査では、金川被告が通り魔事件の4日前、「母親に口答えするから腹が立った」妹の殺害と、母校の小学校襲撃を計画していたことが明らかになっている》


 記者「当初は妹さんと小学校を襲う計画だったみたいですが、学校時代に嫌な出来事があったのですか」

 金川被告「ないですね。特にきっかけはなかった。ただ生きていることがつまらなかった。自分が通った学校は建物の構造を知っているし、先生が職員室や教室に入っているから、確実に殺人をできると思った」


 《しかし当日は学校で卒業式が行われ、保護者や教職員が大勢いたため断念。学校近くで偶然見かけた三浦さんを殺害した後、JR荒川沖駅での凶行に走る。世間を震撼させたこの通り魔事件は、6月に東京・秋葉原で17人を殺傷した加藤被告に大きな影響を与えた。加藤被告は金川被告の犯行を参考にし、殺傷能力の高い「ダガーナイフ」を購入した》


 記者「秋葉原の事件を知っていると思うけど、加藤容疑者(当時は起訴前)はあなたを意識し、犯行にナイフを使ったと供述していますが?」

 金川被告「うれしいですね。ただ、うらやましくもある。僕より人を殺しているから。それだけ、罪が重いから」

 記者「つまり、死刑になる確率が高くなるということですか」

 金川被告「そうですね」


 《ゲームの点数を競うかのように加藤被告をうらやむ金川被告。その狂気に戦慄が走る》


 記者「加藤容疑者は、会社などがうまくいかずに犯行に及んでいますが?」

 金川被告「おかしいと思う。彼は自分がうまくいかないことをすべて他人のせいにしていた。彼は八つ当たりで人を殺している」

 記者「加藤容疑者とあなたの違いが、僕には分からないのですが?」

 金川被告「僕はただ、この世の中から解放されたかっただけ」

 記者「ファンタジーの世界に行きたいと、インタビューに答えていますが?」

 金川被告「死んで、ファンタジーの世界に行きたい。向こうでは攻撃の魔法を使いたい」

 記者「攻撃の魔法で他人を傷つけるのですか」

 金川被告「違います。人間を支配しようとする悪者を倒すんです。人々を守りたい」

 記者「皮肉に感じる。今生きている世界では、その人々を傷つけたわけでしょう」

 金川被告「この世界から消えたかったんです」


 《約10分間の面会では終始にやつき、被害者と遺族への謝罪、事件への悔恨の言葉は最後まで出なかった。思いやり、感情が欠如した通り魔に更生は期待できないと感じた。金川被告は雑誌を読んで時間をつぶしながら、死刑判決を待ち望んでいる》

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最終更新:10月11日21時5分

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