インド洋での給油継続のための新テロ対策特別措置法改正案を巡る民主党の対応が、党内外に波紋を広げている。福田政権下で反対を唱え審議を長期化させたのとは一変し、自ら早期採決を与党側に促す態度が「事実上の賛成」と映るためだ。安倍晋三、福田康夫両氏の政権放り出しを批判しながらその原因を作った問題でのひょう変ぶりには、整合性のつく説明が求められそうだ。
「審議を短期で終わらせるということは、補正予算案と同じく賛成するのか」。9日開かれた民主党外務防衛部門会議で出席者がただした。武正公一「次の内閣」副外相は「そんなことはない。淡々と反対するという意味だ」と説明した。
会議には、集団的自衛権行使に慎重な党内グループ「リベラルの会」代表世話人の平岡秀夫衆院議員ら数人が参加。メンバーの一人は「賛成するなら大変なことだと思った」と語った。
新テロ対策特措法は先の通常国会で、野党が参院で過半数を占める「ねじれ国会」の象徴となり、衆院通過から成立まで約2カ月かかった。ところが今回は民主党が審議を短縮しようとするあまり、同党の対案の趣旨説明を自ら省略しようとし、与党の要求で行われるねじれぶりだ。
共産党の志位和夫委員長は9日の会見で「与党に同調して解散をこいねがう態度だ」と批判。与党の衆院テロ対策特別委員会メンバーは「前回あれだけ騒いだだけに違和感がある」と指摘した。【上野央絵】
毎日新聞 2008年10月10日 東京朝刊