2008年08月14日

【Jリーグ秋春制移行問題】サカダイの犬飼会長インタビューを考える。犬飼氏が就任したのはJリーグチェアマンではなく、日本サッカー協会の会長だということを思い知る(上)

 過去のリーグ戦方式を振り返ると、Jリーグが開幕した頃、サントリーシリーズとニコスシリーズという2ステージ制で行われていたが、違和感を覚えたことを思い出す。その違和感の理由としては、Jリーグ開幕当初93年頃、イタリアのセリアAが国内でも広く観られるようになった時期と重なり、イタリアセリエAをはじめとして、80年代最も日本人の身近にあったリーグ・ドイツのブンデスリーガや、スペインのリーガエスパニョーラ、イングランドのプレミアリーグなど、ヨーロッパのどの主要リーグが1シーズン制であったからである。ヨーロッパの主要リーグとの「違い」、それだけで違和感を覚えた2シーズン制であったが、スポンサーの問題であったりJリーグの参加クラブ数も問題であったりと、当時高校生だった私には理解の到底及ばない、2シーズン制で実施しなければならない理由があったのだと思う。
その後、96年に1シーズン制に変更されたとき、やっとヨーロッパの主要リーグと同じ方式でリーグ戦が行われると嬉しい気持ちになったのを思い出す。
私にとってこの頃、メリット・デメリットは関わらず、ヨーロッパの主要リーグと同じリーグ戦方式で戦うことが、潜在的にJリーグの成熟を確認する事柄の一つになっていたのかもしれない。
97年シーズンからは、1年で2シーズン制に戻った。2005年に1シーズン制に再度変更される8シーズンの間、2シーズン制は定着した。各シーズンの優勝クラブで争われるチャンピオンシップや2シーズン通じた勝ち点による総合順位と降格クラブの決定など、日本独自のリーグ方式に大いに盛り上がった。
ヨーロッパ主要リーグとはリーグ戦方式が異なっていたが、継続していることで日本独自のリーグ戦方式を手に入れたという実感があった。2000年を過ぎるころからJリーグの2シーズン制に違和感を覚えることはなくなっていた。

 そして今回、犬飼基昭氏が、日本サッカー協会常務理事から会長に昇格した際に(Jリーグ専務理事は退任)、日本サッカー協会とJリーグとでプロジェクトチームを組織して、2010シーズンを目標にJリーグの秋春制への移行を検討していることを明らかにした。
 この「Jリーグの秋春制移行問題」は、犬飼日本サッカー協会会長(以下JFA会長)が、秋春制への移行を検討していることを発言がニュースになるとすぐに、インターネット上で、特にブログを中心に大いに話題になった。特に降雪の激しい地域をホームタウンにする、山形・札幌・新潟・仙台のサポーターの多くが、「秋春制移行への反対」を表明した。
 私が、「秋春制移行問題」について知ったのは、実は、この犬飼JFA会長が秋春制に関して言及して以降だった。
Jリーグにおける秋春制問題についての調べてみると、2001年暮れに選手会から秋春制の移行の要望があり、Jリーグ側も2006年シーズン実施を目指して検討した過去があり(結果的に実施に至らなかった)、この秋春制移行問題が以前から議論されてきた問題であることを知る。また近年では、オシム前日本代表監督が、Jリーグの秋春制移行を要望している。
 これまで特に「秋春制移行」に関して、中立の立場もとっていたのだが、サッカーダイジェスト8/19 No.963号、8/26 No.964号の犬飼JFA会長と鬼武Jリーグチェアマンのインタビュー記事を読んで思うところがあり、この「Jリーグ秋春制移行問題」について考えてみようと思った。なぜ犬飼JFA会長は、秋春制への移行を2010年という早いタイミングで導入をしようとしているのか、Jリーグが開幕当初2シーズン制で開始したように、今、秋春制に移行しなければならない理由があるのではないか、もしそうであるならば、秋春制に移行しなければいけない理由は一体なんなのか。この点について考えてみた。
 
既に多くのニュース・ブログで秋春制移行による、メリット・デメリットは語られ、語り尽くされた感がある。大方の意見は、秋春制へ移行した際に生ずるデメリット以上のメリットを見出すことができない。よって秋春制への移行については、「反対」若しくは「時期尚早」であるという意見が大半である。ここでは簡単な箇条書きのみとするが、この秋春制移行が「誰に」とってのメリット(デメリット)なのか注目したい。
一般的に言われる秋春制移行によるメリット(デメリット)は、

<メリット>
・主要リーグとシーズン時期を合わせることで、国内外選手のリーグ間の流動性が増す
・国際試合が組みやすくなる
・夏期のプレー回避により、疲労軽減、Jリーグのクオリティが高まる
<デメリット>
・降雪地域のクラブでは試合実施が困難である
・降雪地域のクラブの試合では観戦環境が悪化する
・日本の学校年度が異なるため、新卒加入選手の受け入れ時期が難しい

であるが、上に挙げたメリットについては、すべて選手ひいては、日本代表にとってのメリットと言える。
Jリーグの秋冬制移行については、様々なステークホルダーが存在する。選手や、クラブ、Jリーグだけでなく、私たちサポーターや日本サッカー協会も利害関係があり、日本代表も利害関係にあるといってよい。ここで改めて痛感するのは、

犬飼氏が就任したのは日本サッカー協会の会長であって、決してJリーグのチェアマンではないということだ。


【Jリーグ秋春制移行問題】サカダイの犬飼会長インタビューを考える。犬飼氏が就任したのはJリーグチェアマンではなく、日本サッカー協会の会長だということを思い知る(下)
につづく

posted by toddocom |02:09 | Jリーグ | コメント(0) | トラックバック(0)
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