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【経済】

中部空港、初の赤字へ 3月期見通し

2008年10月10日 朝刊

 中部国際空港会社は9日、2009年3月期連結決算の純損益が赤字に転落するとの見通しを明らかにした。景気後退や燃油サーチャージの高騰による旅客数の減少や、路線の撤退・減便などが要因で、赤字転落は実質的に開港以来初めて。

 稲葉良●(よしみ)社長が定例会見で明らかにした。11月10日の08年4−9月期決算発表で、正式に修正する。

 同空港は05年2月に開港。06年3月期から3年連続で黒字を計上し、09年3月期も当初は1億円の純利益を見込んでいた。

 国際線の旅客需要が前年同月比5%程度減となる月が続いた上、8月の夏季需要時には11%減と大幅に落ち込んだ。特に力を入れている国際貨物需要も上向き傾向になく、8月には同月として過去最少を記録。商業関連収入も旅客と来場者の減少で、前年同期比でマイナスとなった。

 稲葉社長は「当初の想定をはるかに超えた嵐の中。これまでで最も厳しい経営環境」との認識を示し、コスト削減で収益改善を図る方針を明らかにした。また、景況悪化が与える2本目滑走路実現への影響については「貨物需要も大きく落ち込むが、他空港に流れている貨物を持ってくるなど仕事はまだまだある」と述べた。

◆逆風、下営業努力で対抗を

 中部国際空港会社が2009年3月期決算で、05年の開港後の決算では初の赤字を計上する見通しとなったのは、燃料の値上がり分を運賃に上乗せする「燃油サーチャージ」が上昇し、空港使用料を支払う旅行者が激減したことなどが大きな要因だ。最近は燃料は値下がり傾向だが、米国の金融不安などで経済情勢はさらに悪化。中部空港の試練は当面、続きそうだ。

 「すべてが想像以上のマイナスだ」

 9日の記者会見。中部空港会社の稲葉良●社長は「お手上げ」といった表情を見せた。燃料高が去りかけたと思えば、世界的な金融不安が台頭。今後も航空需要の激減が避けられない情勢だからだ。

 ただ、だからといって中部空港は燃料高や不況という「嵐」(稲葉社長)が過ぎ去るのを待てばよい、というわけにはいきそうにない。2本目滑走路の建設の実現には今後も存在感を示し続ける必要があるからだ。

 幸いにも10月からの着陸料割引制度の導入が効果を発揮した格好で、日本航空とエアホンコンが11月以降の国際貨物便の新設や増便を決めた。

 景気が低迷する中での国際貨物便の「誘致」は容易ではないが、着陸料が高い成田空港などと比較した場合の優位性を航空会社などに訴えていくなど、今後も営業努力が欠かせないことは確かだ。

 不況にどう耐え続け、存在感を示していくのか。自治体や地元企業の「知恵」や「協力」も必要になりそうだ。(池井戸聡)

(注)●は「目」の右に「見」

 

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