Description of a work (作品の解説)
2006/11/26掲載
Work figure (作品図)
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マルタとマリアの家のキリスト

 1654-1655年頃
(Christus in het huis van Maria en Martha)
160×142cm | 油彩・画布 | スコットランド王立美術館

現存するフェルメール作品の中で最も初期に手がけられたとされる作品『マルタとマリアの家のキリスト』。署名、年記が確かなことからフェルメールの基準作のひとつとされる『娼婦(取り持ち女)』との比較によって、おそらく同時代かそれ以前に制作されたと考えられている本作に描かれるのは、主イエスの熱心な信徒であった姉マルタと妹マリアの家に主イエスが訪れた時、主の説教に聞き入り、もてなしの手伝いをしない妹マリアを姉マルタが咎めるも、「マリアは正しい。マリアは神の言葉を選んだのだ。それを取り上げてはならない」と主イエスに宥められる新約聖書に記された逸話≪マルタとマリアの家のキリスト≫で、現在のところフェルメール唯一の宗教画とされる。やや異質的な荒い筆跡や、ルーベンスを彷彿とさせる大胆でダイナミックな場面展開、当時、オランダ絵画の主流のひとつであったカラヴァッジョ一派のひとつユトレヒト派からの影響を感じさせる明暗法を駆使した表現など、本作は画家独自の様式からかなりの隔たりを感じさせる。また本作では登場人物の視線による人間関係の表現が試みられており、画家の作品制作における実験的な展開が示されている。なお多くの研究者から本作はこの頃、評価の高かった画家エラスムス・クウェリヌスの同主題の作品からの流用が指摘されている。


【全体図】
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姉マルタを諭す主イエス。本作に描かれるのは、主の説教に聞き入り、もてなしの手伝いをしない妹マリアを姉マルタが咎めるも、主イエスに宥められる新約聖書に記された逸話≪マルタとマリアの家のキリスト≫で、現在のところフェルメール唯一の宗教画とされる。



【姉マルタを諭す主イエス】
主イエスに諭される姉マルタ。やや異質的な荒い筆跡や、ルーベンスを彷彿とさせる大胆でダイナミックな場面展開、当時、オランダ絵画の主流のひとつであったカラヴァッジョ一派のひとつユトレヒト派からの影響を感じさせる明暗法を駆使した表現など、本作は画家独自の様式からかなりの隔たりを感じさせる。



【主イエスに諭される姉マルタ】
主の説教に聞き入る妹マリア。本作では登場人物の視線による人間関係の表現が試みられており、画家の作品制作における実験的な展開が示されているほか、多くの研究者から本作はこの頃、評価の高かった画家エラスムス・クウェリヌスの同主題の作品からの流用が指摘されている。



【主の説教に聞き入る妹マリア】

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