世界的な金融危機で与党内に衆院解散先送り論が強まったことに伴い、民主党は08年度補正予算案など与党の重要法案成立を容認することによる「解散誘導」戦略の軌道修正を始めた。鳩山由紀夫幹事長は10日、社民、国民新両党幹事長と会談し、14日からの参院予算委員会審議で追及姿勢を強める方針で一致した。早期解散に意欲を示した麻生太郎首相の月刊誌への寄稿をとらえて解散への決意をただすなど、対決色を再び打ち出す構えだ。
「参院で首相問責決議案を出すくらいの対決姿勢を示す必要がある」。国民新党の亀井久興幹事長は10日の3野党幹事長会談で、こう指摘した。民主党が進めてきた新テロ対策特別措置法改正案の早期採決容認方針では、解散に追い込めないという意味だった。
鳩山氏は会談後の会見で、首相の寄稿について「今まで以上に厳しく追及する方が解散を導きやすいというのがご本人の話だ」と指摘。「それならもっと対決的な方向に行くべきだ」と述べた。ただ、「補正予算の賛否の問題は別」とも述べ、補正予算案賛成の立場は変えない考えも示唆。国対幹部は10日、「押したり引いたりすればいい」と述べ、補正予算案賛成や新テロ特措法改正案早期採決容認で解散に誘い込む既定方針に現時点で変わりはないと強調した。
もっとも、金融危機の急激な進行で解散の見通しが不透明になったことは確かだ。民主党は10日、▽預金者保護のペイオフの上限金額引き上げを検討▽3月末に失効した金融機能強化法の2年間復活--を柱とする金融危機対応策をまとめ、政府に提案することを決定した。党内には「先延ばししてくれた方が政権獲得後の準備ができるからありがたい」(中堅)と「解散先送り」を半ば覚悟する声も出始めている。【田中成之、小山由宇】
毎日新聞 2008年10月10日 19時54分(最終更新 10月10日 20時49分)