イタリアのスポーツ車メーカーのブガッティが2005年に発表したヴェイロンというスーパーカーは、16気筒8千cc、1001馬力のエンジンを積む。発進から時速100キロに達するまでわずか2.5秒。最高速度は時速400キロを超える。価格は欧州で100万ユーロ。欧州以外で買うと2億円近い。数百台の限定生産だが、既に完売したというから驚きだ。自分と家族の分を含め、数台購入した資産家もいるらしい。
クルマにそこまで大金をかけることは、凡人には理解できない。だが、私たちの周りにも、クルマを頻繁に買い替える人は少なくない。車検初回の3年目や、2回目の5年目に買い替える人は多い。10年目くらいの買い替えが一般的だが、走行距離が5万キロ未満とするなら、ある意味、もったいない話だ。
なぜ、買い替えたくなるのか。ひと言でいうと、クルマに魅力があるからだ。他人が何と言おうと、欲しいものは欲しい。生活を切り詰めてでも欲しい。嗜好(しこう)品は別として、これだけ特殊な耐久消費財は、ほかにない。
多くの人が魅力を感じる人気モデルは強い。新車で買うより待たずに買えるので、中古車の価格が新車より高くなるケースもある。人気モデルは数年乗っても普通のクルマより値落ち率が低く、人気が人気を呼ぶ。
意中の車を手に入れることに幸せを感じる人がいる限り、クルマの販売は堅調だ。魅力が低下すると衰退する。
若者の関心が携帯電話やパソコンに向かい、クルマが売れなくなったと言われる。本当のところは、若者が欲しくてたまらないと感じるクルマの魅力を、提案できなくなっているだけなのではないだろうか。(窯)